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【フィリーズR AI予想】先週は注目馬が好配当を演出! 好調なAIが混戦を読み解く

  • 2022年03月07日(月) 18時00分

単勝オッズ6.7倍(3番人気)のアスクビクターモアが優勝(c)netkeiba.com、撮影:下野雄規


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

人気薄の一発を警戒しておきたい桜花賞トライアル


AIマスターM(以下、M) 先週は弥生賞が行われ、単勝オッズ6.7倍(3番人気)のアスクビクターモアが優勝を果たしました。

伊吹 着差以上の完勝と言って良いのではないでしょうか。道中はずっと2番手を追走。ゴール前の直線半ばで抜け出し、そのまま押し切りました。好走馬の傾向に合致していたこともあり、私は最終的に◎を打ったのですが、期待通りの競馬をしてくれて良かったです。

M アスクビクターモア自身は重賞初挑戦だったものの、後に重賞を制した馬とも対戦経験があったので、それなりに注目を集めていましたね。

伊吹 4走前のデビュー戦(3着)は勝ったジオグリフと0.3秒差、2走前のアイビーS(3着)も勝ったドウデュースと0.1秒差。なかなかオープン入りできませんでしたが、今思えば巡り合わせが悪かっただけですし、この馬に関してはキャリアの積み重ねがプラスに働いた気もします。

M あとはこのレースと相性が良いディープインパクト産駒である点に期待した方も多かったのではないでしょうか。

伊吹 私もそのひとりです。これでディープインパクト直仔は弥生賞における通算成績が[7-1-2-13]。単純に好走率が高いうえ、単勝回収率は330%に、複勝回収率も106%に達していました。ラストクロップとなる現2歳世代は6頭しか血統登録されていないため、さすがに来年の弥生賞で狙うのは難しそう。当面は血統以外の要素を重視しつつ、次に台頭してくる種牡馬や父系を見極めたいと思います。

M ちなみに、前回の当コラムでAiエスケープが注目馬に指名していたボーンディスウェイは3着。単勝オッズ25.5倍(9番人気)の低評価を覆しました。

伊吹 大健闘と言って良いでしょう。決して楽な展開ではなかったと思いますが、ゴールまで脚色が衰えませんでしたね。多くの競馬ファンが評価に悩んだであろうこの馬をしっかり推奨してきたのですから、お見事と言うほかありません。今週も楽しみです。

M 今週の日曜阪神メインレースは、桜花賞トライアルのフィリーズR。昨年は単勝オッズ13.9倍(8番人気)のシゲルピンクルビーが優勝を果たし、3連単10万9810円の高額配当決着となりました。波乱含みの一戦というイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。

伊吹 実際、過去10年の3着以内馬30頭中11頭は単勝7番人気以下。伏兵の台頭が目立つレースです。


M 上位人気馬も好走率はそれほど高くありませんね。

伊吹 一応、単勝2番人気以内の馬は2012年以降[4-5-2-9](3着内率55.0%)でしたから、人気の中心となっているような馬を無理に嫌う必要はなさそう。ただ、単勝3〜5番人気の馬は2012年以降[3-1-1-25](3着内率16.7%)ですし、上位人気グループの馬を信頼し過ぎないよう心掛けるべきでしょう。

M そんなフィリーズRでAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、キミワクイーンです。

伊吹 今週はそれなりに注目が集まりそうな馬を挙げてきましたね。

M 前走の阪神JFは10着どまり、3走前の新潟2歳Sも6着どまりでしたが、今回と同じ1400mのレースだった条件クラスの2戦はしっかり勝ち切っています。実績上位ではあるものの、人気の中心はナムラクレアでしょうし、妙味あるオッズがつく可能性もありそうです。

伊吹 上位人気グループの馬が基本的に信頼できないレースであることを考えると、ちょうどこのあたりの馬をどう評価するかが買い目作りのポイントになりそう。好調なAiエスケープが高く評価していることを踏まえつつ、キミワクイーンの戦績と好走馬の傾向を照らし合わせていきましょう。

M まず、阪神JFからの直行組である点はどう見ますか?

伊吹 それなりに高く評価して良いと思います。昨年は阪神JFから直行してきた馬が1〜2着を占めましたし、それ以前を含めても前走がGIだった馬はまずまず堅実です。


M ひと通りマークしておくに越したことはなさそうですね。

伊吹 ちなみに、2014年以降の過去8年に限ると、前走の条件がGI以外だったにもかかわらず3着以内となった15頭のうち13頭は、前走の着順が4着以内、かつ前走の4コーナー通過順が2番手以下でした。ビッグレースからの直行組を除くと、大敗直後の馬や前走でハナを切っていた馬は強調できません。

M なるほど。他に注目しておくべきポイントはありますか?

伊吹 関東圏やローカル場のレース、そして今回より短い距離のレースを主戦場としてきた馬は過信禁物です。2016年以降の3着以内馬18頭は、いずれも“京都・阪神、かつ1400m以上のレース”において“着順が6着以内、かつ4コーナー通過順が3番手以下”となった経験のある馬でした。


M キミワクイーンが出走した関西圏のレースは、10着どまりだった前走の阪神JFのみ。残念ながらこの条件に引っ掛かっていますね。

伊吹 2度目の関西遠征なので上積みはあるかもしれませんが、それでもやはりある程度は評価を下げるべきだと思います。さらにもうひとつ付け加えておくと、近年は馬格のない馬が苦戦していました。


M キミワクイーンは前走の馬体重が420kg。出走予定メンバー内の比較でも、相当に小柄な部類です。

伊吹 多頭数になりそうですし、持ち味を活かせないままレースが終わってしまう可能性もあると見るべきでしょう。

M 伊吹さんのお話を伺う限りだと、素直に信頼して良いかどうか微妙なところですね。

伊吹 正直なところ、私は軽視するつもりでした。ただ、近年のフィリーズRは枠順別成績にも大きな偏りがあって、枠番が5〜8枠の馬は2019年以降[0-0-2-28](3着内率6.7%)。現時点で有力と見ている馬の多くが外寄りの枠に入ってしまったら、一から各馬を評価し直す必要があります。その場合はキミワクイーンの取捨も改めて検討しますし、Aiエスケープの評価が高いことを考えると、無理に逆らわない方が良いのかも。最後の最後まで悩むことになりそうです。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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