古馬GIに向けたトライアル重賞に注目
先週からクラシックのトライアルが始まり、これについて、本番に向けての意味合いが収得賞金によって変わってくるというお話は前回この冒頭で書いたと思います。実際、チューリップ賞に出走したウォーターナビレラは休養を重視した結果、追い切り本数が少なくなりましたが、それでも5着という結果。やはり重賞ウイナーの力を見せたと思いますし、次走への上積みは相当大きいような気がします。
さて、今週は古馬GIに向けたトライアル重賞もあります。金鯱賞は大阪杯に向けての重要な一戦。昨年の年度代表馬エフフォーリアが出走予定だけに、この馬への挑戦権をかけたレースという気もします。そういった意味で、連勝中のジャックドールが人気するのも納得ですが、実際は果たして。
【中山牝馬S/ミスニューヨーク】
3勝クラスを勝った後、5回目の重賞挑戦となった前走で勝利。その舞台が中山競馬場で、3勝Cの中山。ということで、中山のコースがフィットする走りなのは間違いありません。前回のマイルから1F距離延長でコーナーが4つにはなりますが、3勝Cがこの距離でしたから、ここも問題ないでしょう。
1週前追い切りがCWで併せ馬に先着するというパターンは3勝Cを勝った時と同じ。相手の格は違いますが、この馬自身が3F36.8秒、1F10.9秒ですから、動きとしては間違いないもの。あとは中11週というレース間隔で5本の追い切り。この馬自身はレース間隔があいて、追い切り本数が少なくても結果を出した実績はありますが、重賞でこの調教量がどうなのか、でしょう。

中山のコースがフィットするミスニューヨーク(3月8日撮影)
【金鯱賞/ジャックドール】
1勝Cから4連勝ということで、人気になっても不思議ない勢いですが、まさかnetkeiba.comの予想オッズが抜けた1番人気とは。逃げて最後までしっかりした脚を使うので、そういった意味の信頼感が高いということなのでしょう。
中5週のローテーションですが、調教量は豊富。1週前追い切りが前走のCWではなく、坂路という点が気になりますが、併せ馬ではきっちり先着。最終追い切りはCWで速いラップをしっかりと追走して、最後は素晴らしい伸び。状態に関しては文句ないだけに、あとは初めての重賞が壁にならなければ。

状態に関しては文句ないジャックドール(3月8日撮影)
【金鯱賞/レイパパレ】
この馬に関して、1週前追い切りの動きが好走と凡走の判断基準になっていて、大阪杯や宝塚記念のように併せ馬で先着すれば好走、オールカマーのように同入もしくは手応え劣勢なら凡走としていました。
しかし、今回は併せ馬を課すことなく単走。前を見ながら進めたようですが、いずれにしても馬体を併せるところまではいっていません。これがかなり気になったんですが、最終追い切りは数字だけを見ると、4F52.7秒でラストは12.2秒。非常にいい動きだったんでしょう。このあたりは重賞捜査網で解説したいと思いますが、次に向けて、少し余裕を残している全体的な調教内容なのかな、といった気はします。

今回は単走での追い切りとなったレイパパレ(3月8日撮影)
【フィリーズR/ナムラクレア】
フェニックス賞、小倉2歳Sと連勝して、ファンタジーSが2着。距離がマイルに延びた阪神JFでは5着ですから、距離が延びてパフォーマンスが下がっているのは成績からわかる事実ですから、今回の距離短縮は間違いなくプラスでしょう。
今回は1週前追い切りがCWという、初めてのパターンですが、これが併せ馬で古馬3勝Cに先着。そして、最終追い切りは坂路で4F51.3秒と速い全体時計にもかかわらず、ラスト2Fが23.7秒。最後は11.6秒ですから、文句なしの動きです。トライアルにはなりますが、そんなことを感じさせない、ほぼ完璧な仕上げです。

ほぼ完璧な仕上げのナムラクレア(3月8日撮影)
【フィリーズR/マイシンフォニー】
前走は休み明けですが、1週前追い切りがCWで6F78.9秒と素晴らしい時計をマークしての仕上げ。追い切り本数は多くありませんでしたが、併せ馬で先着した気持ちの強さがレース結果として良い方向になったんだと思います。
今回は中3週ということもあり、強い負荷の追い切りはありません。そして、追い切りはすべてCW。これで距離が初めての1400mというのは、個人的にはかなり調教適性がずれると考えています。前向きさで距離を克服する可能性はあると思いますが、前走勝った距離が1800mということを考えても、今回の距離がベストではないような気がします。

今回の距離がベストではないような気がするマイシンフォニー(3月9日撮影)
◆次走要注意
・3/5 3歳未勝利【サンライズモストロ】(12人/7着)
ゲートをうまく出ることができず、道中は最後方からの競馬。見せ場もないままに終わるかと思いましたが、向正面あたりからエンジンがかかると、メンバー2位の上がりは使いました。追い切りでは動く馬ですから、レース慣れした次回は楽しみ。
[メモ登録用コメント] [ダート]最終追い切りが併せ先着なら勝ち負け
◆開催おすすめの調教適性
<中京芝2000m>
◎追い切り本数が標準以上の併用系統の調教タイプ
○最終追い切りがトラック馬場でラスト1F最速ラップ
過去5年の金鯱賞を見ても、トラック調教を課していない馬は勝っていないという調教傾向。昨年の春開催中京芝2000mでは併用調教の1、2、3着で3連複989.7倍という配当があったくらい。坂路よりもトラック、これがこの時季の中京芝2000mです。