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女傑の憂鬱

  • 2006年04月10日(月) 23時49分
 4月5日、船橋「マリーンカップ」は、最後きわどい勝負になった。逃げたトーセンジョウオーが直線半ばで失速、直後の好位グループがいっせいに襲いかかる。内レマーズガール、中グラッブユアハート、外レイナワルツ、ジーナフォンテン。混戦を断ったグラッブユアハートは、自身の瞬発力もさることながら、隙のない位置取り、ジャストミートの追い出し。今日に関しては鞍上の腕の方が大きくみえた。「前走(エンプレス杯=単1.4倍で4着)の敗因が今もよくわからない。返し馬の印象は、今日の方が柔らかく感じたけれど…」(安藤勝己騎手)。いずれにせよ、昨秋のクイーン賞(2着に10馬身差)のような圧倒的な勝ちではなかった。

マリーンカップ(サラ3歳以上牝馬 別定 交流GIII 1600m 不良)

○(1)グラッブユアハート (56・安藤勝) 1分38秒2
△(2)ジーナフォンテン  (56・佐藤隆)  1/2
▲(2)レマーズガール   (56・武豊)   同着
△(4)レイナワルツ    (55・兒島)   1
◎(5)ローレルアンジュ  (57・的場文)  3
 ……………………
 (6)ミライ       (55・金子)
△(8)トーセンジョウオー (56・後藤)
△(9)テンセイフジ    (56・酒井)

 直線の攻防はそれなりに迫力を感じさせ、少なくとも馬券的には手に汗握るレースだった。ただし、南関東で行なわれる牝馬G自体、濫造の感が強く、多くの場合レベルの点で胸が張れない。今回1600m1分38秒2、高速馬場で一見悪くない数字にみえるが、同日「ふさの国オープン」(実質B級)が38秒8だから、牡馬一線級にほど遠い。例えば、ナイキアディライト、ドンクール、あるいはマイネルボウノットあたりで、1分37秒台が楽々出たイメージか。グラッブユアハートは、これで交流G・5勝目、好敵手レマーズガールなどすでに6勝。とうてい女傑といえない馬が、淡々粛々、狙い通りの荒稼ぎを続けていく。むろん馬に罪はなく、陣営の戦略もフェアプレイ。しかし、かつてのロジータ、ファストフレンドに比べ、その実力はいったいどうか。レース体系、番組に問題あり…いつもながらそう思う。

 2着は同着。一歩早めに動きインを突いたレマーズガール、道中外々を追い上げたジーナフォンテン。贔屓を含め後者に価値を認めたいが、ゴール際伸びかかって止まったあたり、さすがに8歳という寂しさも否定できない。レイナワルツは、この日もまた善戦止まり。道中スムーズにレースを運び、4コーナーの脚いろなど一気に突き抜ける勢いだった。結果4着は、本質的に決め手不足、パンチ不足か。◎ローレルアンジュは、道悪の57kgで道中追走に苦労した。直線まずまずの伸びはみせたが、馬場も考えるとこれでいっぱい。JRA時の実績はさておき、マイル戦がやや忙しくなっている。先につながる競馬をしたのはミライだろう。離れた3番手から徐々に進出、あわやという見せ場を作った。単調な逃げ馬からようやく脱皮。昨年レースレコードで浦和桜花賞を勝っている。低調、停滞の牝馬Gに、何とか風穴をあけてほしい。

      ☆      ☆       ☆

マイルグランプリ(4月12日大井 サラ3歳上別定 南関東G2 1600m)

◎アジュディミツオー (57・内田博)
○ナイキアディライト (57・石崎隆)
▲イブキオネスト   (57・石崎駿)
△クールアイバー   (57・森下)
△チョウサンタイガー (57・酒井)
△トウケイファイヤー (57・有年)
△トキノコジロー   (57・山田信)
 ブルーローレンス  (57・的場文)
 ベルモントファラオ (57・御神本)
 コアレスハンター  (57・戸崎)

 王者アジュディミツオーが登場する。東京大賞典連覇、明けて川崎記念も制しGI・3勝。南関同士のレース出走は正直ピンとこなかったが、考えてみれば、優勝賞金3500万円の大井G2、しかも別定57kgで使えるわけだ。痛恨の出遅れ、不完全燃焼に終わったフェブラリーSからおよそ2ヶ月。何ごともなく態勢を整えるところが、同馬のタフさ、生命力でもあるだろう。かしわ記念、帝王賞、GIロードへ向け好発進を期待する。力関係、距離、コース適性…少なくとも大きなポカは考えられない。

 順当ならナイキアディライトとスピード勝負。アディライトの場合、ミツオーと違うのは、その目標が続くGIではなく、はっきり今回という点か。昨年は1分37秒8、同レース史上No.2の時計で圧勝だった。対ミツオーも、実は直接対決2勝2敗、日本テレビ盃で2年連続先着している。スタートを決めて一気に行くだけ。迷い、思惑がないことは、こういう一戦となると大きな強みだ。

 前走東京シティ盃、負けて強しと思わせたイブキオネストが3番手。チョウサンタイガーは大井右回りに若干の不安があり、むしろ薄めで面白いのは、マイル向き、森下Jと手が合うクールアイバーと考えた。4歳トウケイファイヤーは、世代レベルも含めそろそろ正念場といえるだろう。羽田盃馬トキノコジローは、あくまでもハマった際。ブルーローレンスは久々を割り引くと相手が強く、ベルモントファラオには展開が厳しい。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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