海外の騎手リーディング、チャンピオントレーナー情勢
リーディングに輝いた騎手はなんと牛の牧場出身
23日(土曜日)にサンダウン競馬場で行なわれた開催をもって、英国における21/22年の障害シーズンが閉幕。ポール・ニコルス調教師(60歳)がチャンピオントレーナー(賞金収得部門)のタイトルを獲得した。
ニコルス師は23日のサンダウン開催で、グレナティーン(セン8、父グレートプリテンダー)で制した、1着賞金9万2192ポンドのG1セレブレーションチェイス(芝15F119y)など、3つの重賞を含む5勝をマーク。今季の賞金収得額が296万4486ポンドとなり、2位のニッキー・ヘンダーソン調教師に約54万ポンドの差をつけて首位に立った。
1982年に障害騎手としてデビュー。7年にわたって騎乗した後、デヴィッド・バロンズ調教師のもとで2年にわたってアシスタントとして経験を積み、1991年に開業したのがニコルス師だ。
1999年のチェルトナム・フェスティバルにおいて、コールイクイネームでG1クイーンマザーチャンピオンチェイス、フラッグシップユベラルズでG1アークルチャレンジトロフィー、シーモアビジネスでG1ゴールドCを制し、大ブレークのきっかけとなった。
チェルトナムのゴールドCは、これをきっかけに今日まで4度制している。さらに、2012年にはネプチューンコロンジェでG3グランドナショナル制覇を果たしている。05/06年シーズンに、初のリーディングを獲得。今回がニコルス師にとって13度目のリーディングで、マーティン・パイプ師がもつ15回という最多記録まで、あと2回と迫っている。
今季のニコルス師は、フロードンでG1ラドブロークスチャンピオンチェイス、グレナティーンでG1ティングルクリークチェイスとG1セレブレーションチェイス、クランデゾーボーでG1ベットウェイボウルチェイスを制するなど、7つのG1制覇を果たした。
また、騎手リーディング(勝ち星部門)は、204勝をあげたブライアン・ヒューズ(36歳)が首位となった。2位のサム・ツイストンデイヴィーズが105勝だから、ほぼダブルスコアの圧勝だ。
年間200勝到達は、ピーター・スキューダモア、トニー・マッコイ、リチャード・ジョンソンに次いで、歴代4人目のことだった。北アイルランド出身で、イングランドを拠点にして05/06年シーズンにデビューしたのがヒューズだ。
09年1月に、アルフィーフリッツに騎乗してG2ロシントンメインノーヴィスハードルを制し重賞初制覇。14/15年シーズンに初めて年間100勝を達成した後、18年2月にウェイティングペイシェントリーでG1アスコットチェイスを制し、G1初制覇を果たしている。19/20年シーズンに、年間142勝をあげて初のリーディングを獲得。20/21年シーズンは、ハリー・スケルトンに続く第2位だった。
一方、騎手リーディング(賞金収得部門)は、205万1684ポンドを収得し、2位のブライアン・ヒューズに約15万ポンドの差をつけて首位に立った、ハリー・コブデン(23歳)だった。
英国南西部にあるサマーセット州の、リーディング・トレーナー、ポール・ニコルス師のヤードからも遠くないエリアで、牛の牧場を営むコブデン家に生まれたのがハリー・コブデンだ。歩きはじめるよりも早く、自宅にいた馬に乗りはじめ、9歳の時からポニー競馬に出場した。
ロン・ホッジス厩舎で見習いとして修業した後、14/15年シーズンにアンソニー・ハニーボール厩舎からデビュー。1年後の15/16年から、トップトレーナーのポール・ニコルス師のもとに移り、このシーズンに30勝をあげて、「乗れる若手」として一気に台頭した。
15年11月にニコルス厩舎のオールドガードに騎乗してG3グレートウッドハードルを制し、重賞初制覇。16年11月にアーヴィングでG1ファイティングフィフスハードルを制し、G1初制覇を果たした。
18年3月には、キルブリッケンストームに騎乗してG1スパノーヴィスハードルを制し、チェルトナムフェスティバルの主要競走に初優勝している。そして、18/19年シーズンに、騎手リーディング(賞金部門)で初めて首位に立つと、19/20年が2位、20/21年も2位と、この部門上位の常連となった。21/22年のハリー・コブデンは、ブレイヴマンズゲイムで制したG1コートスターノーヴィスチェイス、クランデゾーボーで制したG1ベットウェイボウルチェイスなど、5つのG1を含む8つの重賞を英国で制している。
また、47勝をあげたケヴィン・ブローガンが、デビュー3シーズン目にして、コンディショナル(見習い)・ジョッキー・チャンピオンとなっている。