▲3戦無敗の芝マイル戦へ挑むソダシ(C)netkeiba.com
ノーザンファームしがらきが管理をサポートする有力馬について、松本康宏場長にお話をうかがう当コーナー。今回は勝利した桜花賞以来の芝マイル戦となるヴィクトリアマイルに挑むソダシついてインタビューしました。
(取材・文=netkeiba編集部)
今後の路線は「アメリカのBCやサウジ、ドバイも選択肢に」
──前走(フェブラリーS)を振り返って。
松本 デビュー前にしがらきで調教している時はダートの方が走るかなという印象だとスタッフとも話をしていたので、あのメンバーで3着を確保できたのは、やっぱりダートでも走れる馬なのかなと再認識しました。
──ダート戦は2回目でしたが、前々走(チャンピオンズC)との違いは?
松本 我々の認識としては、チャンピオンズCの時はもう少しレース間隔が欲しかった。ソダシは精神面がかなり重要な馬なので、詰めて使うとあまり良い結果を出せないというのが過去の傾向からありました。だから1回1回リセットしてあげてフレッシュな状態で送り出すのが一番だと考えていました。
秋華賞でも精神面の脆さを出していたので、可能であればもう少し間隔があった方がよかったかなという中でのレースだったので、ダートがどうこうという負け方ではなかった。レース後に吉田隼人騎手や、須貝調教師からは、ダートの走り自体がダメだったとかではなさそうだったので、そういった意味では再度仕切り直して、フェブラリーSの時は距離がどうこうよりはしっかりと精神的に落ち着いた状態に持って行けたかなと思います。
──今回は秋華賞以来の芝レースとなりますが、芝に戻した経緯をお聞かせください。
松本 ローテーションを決めているのは調教師さんがオーナーさんと相談してのことなのですが、恐らくダートで適しているレースがないので、牝馬限定で、適したマイルということでそういう選択になったのかなと、勝手に想像しています。
──これからは二刀流路線ですか?
松本 恐らくそうなると思います。個人的な考えでは、芝とダート両方を走れるとなると、マルシュロレーヌがBCディスタフを勝ったように、アメリカのダートのBCも非常に面白い選択肢になるのかなと思いますし、サウジやドバイのような芝やダートで行くのも面白いかなと個人的には思っております。
吉田隼人騎手は「非常に良い状態で、十分仕上がっています」と
──1週前追い切りでは抜群の動きでしたが、仕上がりはどうですか?
松本 実際にその場で馬を見ていた訳ではないですが、動きも良かったみたいですし、吉田隼人騎手とその後電話で話した中では、「非常に良い状態で、十分仕上がっています。」と言っていたので、仕上がりとしては十分かなと思います。心配していた精神面の部分に関しても凄く良い状態で、トレセンの方でもリラックスした状態で調教もできているし、調教後の常歩も凄くリラックスした状態でできているとのことなので、馬としては十分走れる態勢は整っていると思います。
▲「十分走れる態勢は整っている」という1週前追い切り(撮影:井内利彰)
──前走後はしがらきで調整でしたが、その時の状態は?
松本 正直、レースで言うと阪神牝馬Sも使えなくはなかったのですが、阪神牝馬Sを使ってしまうと、ヴィクトリアマイルまでの間に肉体的にも精神的にもフレッシュにする間隔がなかったので、阪神牝馬Sは使わずヴィクトリアマイル1本という形になりましたので、特に調整での不安はなく、順調に予定通りのローテーションで来れたかなと思います。
──精神状態も良さそうですね。
松本 そうですね、走ることに対してもそうですし、馬にストレスがかからないようにというところを重点的に調整していました。
──普段のソダシはどんな仔ですか?
松本 いや、全く普通ですね。手もかからないですし、そんなイライラする訳でもなく、優等生だと思います。
──母ブチコはゲート難もありましたが、そういう激しさはないのですね。
松本 ほぼ見せないですね。僕が見ている間は全然大丈夫ですし、普段から携わっているスタッフに聞いても、特にそういった煩わしい点はないと聞いています。
──母と似ている点、異なる点はありますか?
松本 似ている点は白毛というところじゃないですかね。ブチコはぶちがあったのであれなんですけど。基本的にはブチコもゲートでああいうことはありましたけど、普段しがらきで調整している分には特に手のかかる馬でもないですし、ただブチコの場合は、馬運車に乗る時であったりとかはちょっとナーバスになるところはあったので、結局狭いゲートというのも苦手だったのかと。その点ソダシに関してはそういうところはないのかなと思います。
あとはブチコ自体は普段大人しくても、ちょっと何かイレギュラーなことがあると、スイッチが入ってしまって、そうするとうるさくなったりすることがありましたので、そういった点ではソダシも、結果としてはリフレッシュさせることで良い結果が出せる馬だなと感じている部分なんですけど、スイッチが入ると気難しさを出すのかなということは感じます。
▲ゲート難を抱えていたソダシの母、ブチコ(撮影:下野雄規)
──芝マイルは3戦無敗、やはりマイルがベストでしょうか?
松本 そうですね、競馬場にもよるのかなと思いますが、東京の1600mに関しては問題ないのかなというのも感じてますし、別に2000mでも良いのかなと。札幌記念も、軽い斤量とはいえ、ラヴズオンリーユーを破った訳ですから、そういった意味で、1600m〜2000mくらいの距離であれば十分スタミナは保つでしょうし、マイルは本当に実績があるので、最後までしっかりとした脚は使える距離なのかなとは思います。
──週末は雨予報もありますが、この辺りはどうですか?
松本 恐らく関係ないと思いますけど、元々パワーがあるタイプかつ、スピードもあるという馬なので別に良馬場でも走れると思いますし、もし重馬場になった場合には、それを苦にする馬がいるのであれば、その分ソダシは全く苦にしないとは思うので、そういった面では、有利に働くところはあるのかなと思います。
──鞍上の吉田隼人騎手も特別な思いを持っているようですね。
松本 昨年の秋とかも、年末年始にかけても、3戦連続負けた時に、本人なりにも色々悩んだり考えた中で、話を聞かせてもらって、僕なりの考えも伝えさせていただきましたけど、常日頃から凄く競馬に対して真面目に取り組む騎手なので、そういった中で、少しずつ復活というか、良い競馬ができる兆しも見えてきましたので、今回の競馬でまたさらにどういったチャレンジというか、結果を出してもらえるのかなというのは非常に楽しみにしています。
▲デビューから全てのレースでソダシの手綱を握る吉田隼人騎手(撮影:高橋正和)
──ヴィクトリアマイルへの意気込みをお願いします。
松本 最近ちょっとしがらきの馬もあまり活躍できていないですし、ソダシを含めた数頭しがらきからも出させてもらっているので、そういった馬たちがしっかり走って、結果を残してくれて、無事に帰ってきてくれるのをただただ願うばかりです。
(文中敬称略)