▲共にダービーを制した友道調教師が語る“騎手・福永祐一” (撮影:下野雄規)
2018年にワグネリアンで初めてダービーを勝ったあと、「自分に欠けていた大事なピース、それがダービーだった」と語った福永祐一騎手。以降、福永騎手の勢いは増し、わずか4年間でダービー3勝、コントレイルで牡馬三冠も達成しました。
今春もジオグリフで皐月賞を制するなど、ファンの方にとっても厩舎関係者にとっても、これまで以上に信頼度の高いジョッキーに。そこで、福永騎手をよく知る関係者の方々にご登場いただき、「福永祐一騎手の変化と進化」を第三者目線で詳らかにしていこうという企画。
川田将雅騎手、四位洋文調教師に続き、ラストに登場するのは友道康夫調教師です。福永騎手のターニングポイントとなった、ワグネリアンでのダービー。共に制した友道調教師は、「新馬戦こそ彼に乗ってほしい」と語ります。はたしてその理由とは? また、週末に迫るダービーに向けて、福永騎手のジオグリフとはライバル関係となる、ドウデュースについても伺いました。
(取材・構成=大恵陽子)
↓掲載スケジュール↓
5/23(月)川田将雅騎手
5/24(火)四位洋文調教師
5/25(水)友道康夫調教師
「何が何でも」ではなく「その馬の一生を考えて」
――昨年の日本ダービーを福永祐一騎手が勝った直後の特別コラムで「ワグネリアンでダービーを勝ってからは乗り方が変わってきた」とおっしゃっていました。改めて詳しく教えてください。
友道 私がそんな目で見ているからかもしれないですけど、余裕が出てきたと思います。あくまで外から見ていると、という話ですが、昔はゲートを出る前から「こういう作戦でいこう」と考えていて、それに当てはめようとしている感じがあったのが、最近は臨機応変にゲートが開いてから作戦を組み立てられているように感じます。「こうなったらこっちに行って」という一つ一つのことが咄嗟に判断できるようになってきたんじゃないかと思います。
――日本ダービーを勝ったことで、いい意味での“余白”ができた、と?
友道 喋っていても余裕が出てきたように感じます。ジョッキーとしてはどのレースも「絶対に勝たないといけない」と思っているとは思いますが、その中でも「何が何でも!」という感じがなくなったな、と。表現が難しいんですけどそれはいいことで、今はその馬の一生を考えて乗っているように思いますし、それがいい方に向いていると思います。
――たとえば、馬群を嫌がる馬を勝たせようと思ったら馬群に入れなければいいわけですが、長いスパンで見るとどうかと言うと…。
友道 逃げたり、2〜3番手外につけて勝つことができればそれでいいですけど、そうすると先々良くないと思います。新馬戦もそうですよね。競馬を教えていくレースだと思います。
――友道厩舎は新馬戦や未勝利戦で福永騎手の起用が多いですが、その辺りの考えもあってですか?