▲キーファーズ松島正昭代表のインタビュー、最終回 (撮影:桂伸也)
いよいよ今週末に迫った日本ダービー。ドウデュースを所有するキーファーズ松島正昭代表の特別インタビューも、今回がいよいよ最終回です。
ラストのテーマは「松島オーナーの人生にとって“競馬”とは?」。松島オーナーの夢は「武豊騎手で凱旋門賞を勝つこと」と様々なメディアで報じられてきましたが、真意は違うのだと言います。松島オーナーが友人である武豊騎手に捧げる、心からのエールとは?
(取材・構成=不破由妃子)
エイダン・オブライエンにもクールモアにも直談判
──所有馬が初めてターフに登場してから、間もなく8年。海外にも馬を持ち、GIも制し、今週はドウデュースが優勝候補の一角としてダービーに出走します。実績も話題性もうなぎ上りといったキーファーズですが、今、松島オーナーにとって“競馬”というのは、人生においてどんな存在ですか?
松島 そうやなぁ…プレッシャー、重圧やね。勝った負けたの感情もあるし、お金のやりくりも大変やけど、それ以上に喜びもある。とにかく土日が重圧ですよ。
──人生のスパイスのような?
松島 そうですね。刺激と重圧。まぁここまでくると、重圧を感じられるのもいいもんやなと思います。なんせ今の世の中には刺激がないですもん(笑)。
2、3頭持って楽しんでいればよかったのに、今や海外にいる馬にまで目を向けなアカンから大変やけど、競馬のおかげで楽しい重圧を味わわせてもらってますよ。
──繁殖牧場を開くこと以外に、馬主としての野望はありますか?
松島 野望ねぇ。ドウデュースのような馬にもう一度出会いたいと思いますけど、なかなかああいう馬には出会えないからね。野望といっても、僕は大金持ちじゃないから、バランスというものがあるじゃないですか。これ以上できない…みたいなところまで行ってしまったらアカンから、考えながらやってますよ。
たとえどんなにお金があっても、夢を叶えることは絶対にできない。そこに情熱とかいろいろな思いがあって初めて夢は叶うものであって、気持ちが入ってへんお金で夢を叶えてもうれしくないしね。難しいですね。
──そんなオーナーの情熱の矛先は、やはり武豊騎手で凱旋門賞を勝つこと。
松島 あれはね、そもそもは作ったものなんです。別にマスコミにぶち上げたわけじゃないけど、そんな話をしていたら人伝に表に出てしまってね。僕の夢は凱旋門賞を勝つことじゃない。“武豊”が凱旋門賞を勝つことなんです。でも、それじゃあ記事にならんから(笑)。
だって、自分でも馬を持っているのにおかしいでしょ? だから、「豊くんに乗ってもらって凱旋門賞を勝つのが夢です」って言うようになったんです。