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【安田記念・鳴尾記念予想】春のGIもいよいよ終盤戦 注目馬の調教を徹底解説!

  • 2022年06月01日(水) 18時00分

傾向から見る東京芝1600mおすすめの調教適性とは?


 先週は日本ダービー。いつも予想を参考にしてくださる方なら「どうして、今年は最終追い切りが栗東坂路で4F目最速ラップを本命にしなかったんだろう」と思われたかも知れません。そう、◎ドウデュースは最終追い切りがDPでした。ここには主観と客観の微妙なバランスが混じっていて、主観のお話をすると、ラップの踏み方以上に「併用調教」を重視したいレースであったこと。また、ドウデュース自身は最終追いDPで朝日杯FSというGIを勝っていること。

 また、客観のお話をすれば、間違いなく長くいい脚を使うことができる走りができると思ったこと。これに加えて、普段の調教の様子を見ていると、有観客の大歓声にも動じることがないだろうと思ったこと。

 それだけにゲート裏の輪乗りを見て、大丈夫、と思ったのが私なんですが、その様子を見た友道調教師は「ちょっと大人しすぎるんじゃないか」と不安になったそうです。調教師っていう仕事は常にハラハラしていないといけないんだ、とあらためて感じる一言でした。

【鳴尾記念/ヴェルトライゼンデ】

 netkeiba.comの予想オッズでは上位。いくらAJCCで2着、日本ダービーは3着とはいえ、1年4ヵ月ぶりのレースでこんなに人気するんだあというのが、正直な印象。もちろん、この馬の強さは知っていますが、やはり調教内容を見ると、今回は静観、軽視、というのが妥当かなと思ってしまいます。

 その理由はCWでの追い切りがない点。最終追い切りが坂路でダービー3着などの実績があるので、坂路自体が決して悪いわけではありませんが、そういった場合は必ず中間にCWでの追い切りを課していました。坂路では好時計を連発しているので、これが好仕上がりということになるんでしょうが、中身はどうかなと思います。

調教Gメン研究所

CWでの追い切りがない点が気になるヴェルトライゼンデ(5月31日撮影)


【鳴尾記念/カイザーバローズ】

 初重賞挑戦だった前走新潟大賞典は2着。しっかりと結果を出したという見方でよいと思いますが、当時は3ヵ月ぶりのレースでしたが、追い切りは6本。決して調教の負荷としては強い方ではなかったと思います。

 そういった意味では、中3週の今回の方が追い切りの負荷はしっかり。最終追い切りはCWで併せ馬に遅れてしまいましたが、前走だって最終追いがCWで併せは遅れ。双眼鏡越しに見ていると、気になるような遅れ方ではありませんでしたし、好調なのは間違いないでしょう。

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好調なのは間違いないカイザーバローズ(写真左、6月1日撮影)


【安田記念/セリフォス】

 前走NHKマイルCは朝日杯FS以来というレース。休み明けでもきっちりと馬の能力を発揮できるような状態に仕上げる厩舎らしく、4着といっても決して悲観するような内容ではなかったような気がします。

 最終追い切りには藤岡佑介騎手が跨りましたが、CWでカイザーバローズと併せ。前日の坂路でも感じたことなのですが、少し気持ちが高ぶっているように見えますし、だからこそ、半マイル追い切りならスピード十分な動きになったんだと思います。このあたりはレース当日のテンションとリンクするのでは、と少し心配になるところもありますね。

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少し気持ちが高ぶっているように見えたセリフォス(5月31日撮影)


【安田記念/ダノンザキッド】

 あくまで結果論になってしまいますが、前走中山記念は本質的に中山競馬場が向いていないという処理の仕方でよいと思います。ホープフルSは? という意見があることは100も承知ですが、前走のレースっぷりを見ていると、決して中山は得意ではないと思います。そういった意味で陣営も東京なら、という思いがあるのでしょう。

 1週前追い切りは坂路で4F50.8秒で自己ベストを更新。この動きがありますから、最終追い切りは終い重点。この流れは非常に良いと思いますが、気になるのは追い切り本数が少ない点。先週末の追い切りを抜いたことで5本の仕上がりということなんですが、過去の安田記念は追い切り本数の多い馬が好走する傾向、という視点からは評価を下げるしかなくなってしまいます。

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追い切り本数が少ない点が気になるダノンザキッド(5月31日撮影)


【安田記念/ソウルラッシュ】

 昨年12月から継続しての連勝、重賞も初制覇という勢い。その連勝も含め、過去5勝はすべてCWなのに対して、今回は最終追いが坂路。この点をどう解釈するかということになります。レース間隔が詰まっての関東遠征と見ればよいのかも知れません。

 1週前追い切りがCWで併せ馬を課すという負荷は変わらずですから、決して全体的な調教量として好走時よりも少ないわけではありません。それだけにこの最終追いだけでどこまでの評価にすべきなのか、非常に迷う部分ではありますが、ラップの踏み方だけを見れば、逆に評価してもよいくらいかなとも思います。

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評価に迷うソウルラッシュ(5月31日撮影)


◆次走要注意

・5/29 白百合S【ヴェローナシチー】(1人/2着)

 単勝1倍台の1番人気だったことを思えば、2着という結果は当然物足りません。ただ、勝った馬が強かったということは、勝ち馬がメンバー2位の上がりをマークしたことで理解できます。夏は全休の予定で、秋は菊花賞を目指すということですから、距離は延びれば延びるほど楽しみ。

[メモ登録用コメント] [菊花賞]最終追い切り坂路4F目最速ラップなら勝ち負け

◆開催おすすめの調教適性

<東京芝1600m>
◎最終追い切りが坂路馬場で4F目最速ラップ
○最終追い切りがウッドチップトラック馬場でラスト1F最速ラップ

 2回開催東京芝1600mはトラック>坂路でしたが、開催が進むにしたがって、最終追い切りは坂路が優勢に。NHKマイルCもヴィクトリアMも最終追い栗坂4F目最速ラップですから、これらの傾向を重視すれば、当然、調教適性としてはこうなります。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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