
▲大阪杯へ時間を巻き戻し、NF天栄の木実谷場長にエフフォーリアについて伺います(c)netkeiba.com
レースが終わるまでは調教も予想も、競馬は何が正解か分かりません。たとえば調教ではいいタイムを出して勝利につながる馬と、結果的にそれがオーバーワークとなって敗れてしまう馬がいます。体力も個性も異なるからこそ生じる差異ですが、時間を巻き戻してみることで個々の勝因や敗因が見えてくることがあります。
そこで、宝塚記念出走予定馬の「巻き戻しコラム」を実施。昨年、三冠馬コントレイルを抑えて天皇賞・秋を勝つと、有馬記念も制し年度代表馬に輝いたエフフォーリアは、なぜ大阪杯で9着に敗れてしまったのでしょうか。同馬をサポートするノーザンファーム天栄の木実谷雄太場長が「今だから分かること」を分析。宝塚記念で巻き返しを図ります。
(取材・構成=大恵陽子)
昨秋の蹄のトラブルが結果的に…
──前走の大阪杯はまさかの9着と残念でした。大阪杯に向かう過程について教えてください。
木実谷 昨年の天皇賞・秋を勝った後、ノーザンファーム天栄に移動する馬運車の中で落鉄をしました。その際、蹄鉄を固定している釘が蹄に刺さり、外傷を負ったため、有馬記念を勝った後は蹄のケアもあって3週間ほど楽をさせました。蹄のケアに重点を置いたため、1月20日頃までは蹄鉄を履かずに裸足で、乗り運動も控えていました。
──普段よりも休む期間が少し長かったようですが、乗り始めてからの調子はどうでしたか?
木実谷 馬もだいぶ成長して、筋肉など体の疲れの回復は早かったと思いますし、大阪杯から逆算して順調に乗り込めました。冬場としては毛ヅヤも良かったので、体調面もいいと感じていました。
──そうすると、トレセンに送り出す直前の雰囲気というのは?
木実谷 この時点では、特にいつもと変わりないように思われました。

▲いつもと変わりないと思っていたはずが結果は9着…。(c)netkeiba.com
宝塚記念へ、気持ちに重点を置いた調整
──状態はいいように思われた中、大阪杯はまさかの9着。時間を「巻き戻し」て、今だから分かることを探っていきたいと思います。大阪杯のレースはどんな印象を持ちましたか?
木実谷 最初の1コーナーに入るまでのポジション取りや、ジョッキーのアクションに対する反応を見て、こちらでもう少しできることがあったんじゃないかな、と思うところがありました