▲現在急成長中、克駿騎手の強みとは(撮影:桂伸也)
第2回となる今回は克駿騎手のデビューからの歩みに迫ります。初年度にJRA賞最多勝利新人騎手を獲得するなど早くから活躍していた克駿騎手ですが、本人としては満足のいく結果ではなかったとのこと。しかしそんな克駿騎手を佑介騎手は「デビュー当時から“上手いな”と思ってた」と明かします。
「本当に上手かった」と挙げたレースはなんと克駿騎手の初勝利レース。同じレースに騎乗していた佑介騎手は、新人克駿騎手のある動作にビックリしたと当時を振り返ります。そんなエピソードから克駿騎手の強みや、福永騎手の特別指導だけじゃない、もう一つの躍進の理由が明らかになります。
(取材・構成=不破由妃子)
デビューしたばかりでこんなことができるんや
──デビュー年(2015年)に39勝を挙げ、JRA賞最多勝利新人騎手を獲得。その後も毎年コンスタントに30〜40勝を挙げられていたわけですが、このデビューして数年の成績について、ご自身ではどう受け止めていましたか?
克駿 全然ダメだなと思っていました。重賞も勝てませんでしたし、G?も全然乗ってなくて。
佑介 G?でいうと、2020年までは4鞍だもんな。それが去年一年だけで9鞍。一気に増えた。
克駿 はい。確かにコンスタントに30〜40は勝っていましたけど、リーディングの上位には全然入っていけなくて。トップ10に入るような人は、毎週たくさん勝つことがあるので、週ごとにガラッと順位が替わったりするじゃないですか。でも、年間30〜40くらいの数字だと、リーディングの順位はずっと同じような位置で。勝っても負けても一緒だなぁと思ったりして、デビューして5年くらいは全然満足できなかったです。
佑介 デビュー当時から「上手いな」と思ってたけどな。なかでも初勝利のレース(2015年3月14日・中京2R・3歳未勝利・タピエス)は、本当に上手かった。
克駿 佑介さん、いつもあのレースを褒めてくださいますよね。
▲克駿騎手の初勝利となったレース(c)netkeiba.com
──どういう点を褒められるんですか?
克駿 佑介さんを抜いたタイミングで、僕がステッキを持ち替えたんですけど、それをすごく褒めてくれるんです。
佑介 持ち替えるタイミングや動作も含めて、めっちゃ冷静やったから。アピールするためにやったわけでもないし、動きをちゃんと考えて持ち替えていたから、デビューしたばかりでこんなことができるんやって、ビックリした記憶がある。だって、初勝利なるかっていう勝負どころだよ? 普通は必死やん。上手い子が出てきたなぁと思ったよ。今ならわかるけど、克駿は冷静。レース後に熱くなっているところとか見たことがない。
克駿 熱くなることはまったくないですね。
佑介 「あ〜、失敗した…」とぼやくくらい(笑)。
克駿 そうですね(笑)。先輩に怒られることはあっても、後輩を怒ったりすることは絶対にないです。僕、5年目くらいまで、めっちゃ怒られてましたから(苦笑)。1年目はとくに、ものすごく制裁が多くて