サンデー系の未勝利記録が「22」まで伸びたアイビスSD
先週の血統ピックアップ
・7/31 アイビスサマーダッシュ(GIII・新潟・芝1000m)
後方に控えたビリーバーが勝負どころで馬群を縫って進出し、逃げたシンシティをゴール前でとらえました。一昨年の3着馬で、昨年は11着と惨敗していたのですが、このところレース内容が良化しており、一時のスランプからは脱していました。
父モンテロッソはドバイワールドCの勝ち馬。その父ドバウィはヨーロッパの大種牡馬で、昨年の優勝馬オールアットワンスの直系先祖でもあります。つまり、2年連続でドバウィの系統がこのレースを制したことになります。
系統をさらに2代さかのぼるとシーキングザゴールドに到達するのですが、アイビスサマーダッシュはこの血と相性抜群で、昨年まで3年連続で連対を果たしていたライオンボスも持っています。今年もサンデーサイレンス系は勝てなかったので、レース創設以来続くこの系統の未勝利記録は「22」に伸びました。
・7/31 クイーンS(GIII・札幌・芝1800m)
インから伸びたテルツェットがゴール前の競り合いを制して2連覇を達成しました。昨年は函館、今年は札幌と、異なる競馬場で行われた同一重賞を連覇したことになります。
当レースでも過去にアイムユアーズが記録しているほか、ラッキーライラック(エリザベス女王杯)、レディアルバローザ(中山牝馬S)、ゴルトブリッツ(アンタレスS)なども達成しています。思い浮かぶのはこのあたりですが、もっとあるかもしれません。ちなみに海外では、女傑エネイブルがふたつの競馬場で行われた凱旋門賞を連覇しています(シャンティイ、パリロンシャン)。
勝ったテルツェットはディープインパクト産駒で、リアルスティールとラヴズオンリーユーの4分の3同血(父が同じで母同士が親仔)。3代母モネヴァッシアは名種牡馬キングマンボ(キングカメハメハの父)の全妹、4代母ミエスクは80年代の世界最強マイラー、という超良血です。将来、繁殖牝馬としてきっと優れた産駒を送り出すことでしょう。
今週の血統注目馬は?
・8/6 北辰特別(1勝クラス・札幌・芝1800m)
札幌芝1800mと相性のいい種牡馬はエピファネイア。サンプルは少ないのですが、過去15回出走して1着3回、2着3回。勝率20.0%、連対率40.0%と優れた成績を挙げています。当レースにはポケットシンデレラとメイレンシュタインの2頭が登録しています。いずれも、さほど人気にはならないと思われますが、一発の魅力があります。
今週の血統Tips
日曜日は札幌でエルムSが、新潟でレパードSが行われます。複数のJRAダート重賞が同日に行われるのは、年間を通じてこの日だけです。来年、南関東の羽田盃と東京ダービーの賞金が大幅に増額され、中央馬やその他の地方所属馬も出走可能になります。今後、ダート路線はこれまで以上に注目を集めることになるでしょう。
7月の競馬が終わった時点の全日本ダート種牡馬ランキング(中央ダート+地方)は、1位ヘニーヒューズ、2位パイロ。これは昨年と同じですが、注目したいのは3位にロードカナロアが入っていること。周知のとおり、アーモンドアイ、サートゥルナーリア、ダノンスマッシュなどを出している芝向きのスピード型の種牡馬です。
ダートでは、レッドルゼルのような大物もいますが、数はわずかで、多くの産駒が幅広く着実に稼いでいる印象です。それでいながらこの順位に食い込んでいるのは立派です。
父がキングカメハメハ、母の父がストームキャットと、芝馬のわりには硬めの血で構成されているため、交配相手の牝馬がダート向きであれば、容易にダート向きに転換していくところがあります。
今年は兵庫のジンギが兵庫大賞典、白鷺賞、六甲盃などを勝っていますが、他に重賞を勝てそうなレベルの馬はほとんど見当たりません。JRAではメイショウウズマサとダノンスプレンダーがオープンクラスを勝っており、若い世代には将来強くなってきそうな素質馬が何頭かいます。
日曜日に行われるダート重賞のうち、札幌のエルムSにロードエクレールが登録しています。逃げ馬なので楽に行くことができれば勝機もあるでしょう。