無敗馬バーイードか、昨年の覇者ミシュリフか、それとも…
英国競馬における夏の風物詩となっているヨーク競馬場のイボア開催が、日本時間の今夜スタートする。
4日間開催の初日のメイン競走は、10ハロン路線の大一番G1インターナショナルS(芝10F56y)だ。
今年は古馬6頭、3歳1頭の計7頭立てとなったが、このうち3頭がウィリアム・ハガス厩舎の管理馬となっている。中でも最大の注目は、ブックメーカー各社が1.4倍〜1.44倍のオッズを掲げ、圧倒的1番人気に支持しているバーイード(牡4、父シーザスターズ)だ。
シャドウェルの自家生産馬バーイードは、3歳6月にデビュー。したがって、春の3歳クラシックとは無縁だったが、走り始めるや破竹の快進撃を見せ、連勝街道を驀進。
昨年のグロリアスグッドウッドを舞台としたG3サラブレッドS(芝8F)を制し、デビューから4連勝で重賞初制覇を果たすと、続くG1ムーランドロンシャン賞(芝1600m)、ブリティッシュチャンピオンズデイのG1クイーンエリザベス2世S(芝8F)も制し、無敗の6連勝で3歳シーズンを終えた。
4歳となった今季も快進撃は続き、初戦となったニューベリーのロッキンジS(芝8F)、続くロイヤルアスコットのG1クイーンアンS(芝8F)、前走グッドウッドのG1サセックスS(芝8F)をいずれも危なげのないレースで制し、無敗の連勝を“9”に伸ばしている。
バーイードの父シーザスターズは、G1凱旋門賞(芝2400m)やG1英ダービー(芝12F6y)を含むG1・6勝馬。
その産駒も、G1ゴールドC(芝19F210y)3勝を含めて長距離G1・7勝のストラディヴァリウスをはじめ、12Fより長い距離で活躍する馬が圧倒的に多い。
なおかつ、バーイードの1歳年上の全兄フクムも、G1コロネーションC(芝12F6y)勝ち馬で、その血統背景からはむしろ、なぜマイルでこれだけ強い馬が現れたのか、訝しく感じられるほどだ。
ウィリアム・ハガス師はかねてから、どこかのタイミングでバーイードを10F戦に使ってみたいと公言してきたが、それがついに、インターナショナルSで実現することになったのである。
2階級制覇を目指すバーイードに立ちはだかるのが、昨年のこのレースを6馬身差で快勝している、ジョン&セイディ・ゴスデン厩舎のミシュリフ(牡5、父メイクビリーヴ)だ。
5歳となった今季初戦のG1サウジC(d1800m)は14着に大敗した後、じっくりと立て直しが図られ、ヨーロッパの芝戦線に戻ってきたのがサンダウンのG1エクリプスS(芝9F209y)で、ここは3歳世代のヴァデニ(牡3)にクビ差及ばずの2着。
続いて出走したのがアスコットのG1キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(芝11F211y)で、ここはパイルドライヴァーの3着という結果だった。
勝利こそ逃しているものの、依然として高い能力を保持していることを実証する競馬を続けているが、気懸りなのが、ここ2戦で見せている「出遅れ癖」だ。
ゲートから出るのを躊躇うというのは、競走馬として芳しからぬ精神状態にあることが多く、ここもスタートが最大のカギとなりそうだ。逆に言えば、スムーズにレースに入って行けるようなら、初距離のバーイードにとってミシュリフは高い壁となるはずだ。
3歳世代の看板を1頭で背負うことになったのが、ゴドルフィンのネイティヴトレイル(牡3、父オアシスドリーム)だ。2歳だった昨季は4戦し、G1ナショナルS(芝7F)、G1デューハーストS(芝7F)を含む無敗の4連勝をマーク。欧州最優秀2歳牡馬のタイトルを手中にしている。
今季初戦のG3クレイヴンS(芝8F)も快勝した後、G1英二千ギニー(芝8F)で2着に敗れ、デビュー6戦目にして初黒星を献上。しかし、次走のG1愛二千ギニー(芝8F)を制し、クラシック制覇を達成。初めて10Fの距離に挑んだ前走G1エクリプスSは、勝ち馬ヴァデニから1/2馬身差の3着と、悪くない競馬をしている。
脇を固めるのが、7月23日にインターナショナルSと同コース・同距離で行われたG2ヨークS(芝10F56y)を1・2着したサーバスカー(セ6、父サープランスアロット)、ドバイオナー(セ4、父プライドオヴドバイ)らだ。
なお、昨年のこのレースの2着馬アレンカーは、直前に受けたスコープ検査の結果が芳しくなく、出走を取り消している。
インターナショナルSの模様は、グリーンチャンネルで生中継(23時〜24時)されるので、皆様もぜひご注目いただきたい。