先週の血統ピックアップ
・8/28 キーンランドC(GIII・札幌・芝1200m)
内で粘るヴァトレニ、外から伸びるウインマーベルの間を突いて、伏兵ヴェントヴォーチェが鋭く抜け出しました。序盤は後半に待機し、3〜4コーナーで馬場が荒れていないギリギリのラインを通ってショートカットに成功。これがラストの伸びにつながりました。ルメール騎手の好騎乗です。
父タートルボウルは、これまでにトリオンフ(小倉大賞典、小倉記念、中山金杯)、タイセイビジョン(京王杯2歳S、アーリントンC)、アンデスクイーン(レディスプレリュード、エンプレス杯、ブリーダーズGC)、ベレヌス(中京記念)などを出しています。ヨーロッパ血統だけあって北海道の洋芝では好成績を挙げています。
わが国で5年間種付けし、2017年に死亡。ヴェントヴォーチェは4年目の産駒ですが、この世代は他にタイセイビジョン、ベレヌスが出ており優秀です。
これまで日本で重賞を勝ったタートルボウル産駒はすべてサンデーサイレンスを併せ持つ配合でしたが、本馬は持っていません。
・8/28 新潟2歳S(GIII・新潟・芝1600m)
ウインオーディンとシーウィザードの競り合いを、内から伸びたキタウイングがまとめて交わしました。牝馬の新潟2歳S制覇は、2010年以降ではマイネイサベル、ハープスター、ヴゼットジョリー、ウーマンズハートに次いで5頭目です。
父ダノンバラードは今年の2歳世代が絶好調。現在、JRA2歳種牡馬ランキングではエピファネイアに次ぐ第2位で、当レースは3頭出しでした。
2015年から日本で2年間種付けをしたあと、2017年にイタリアで、2018年にイギリスで供用され、2019年に買い戻す形で日本に帰ってきました。
地方競馬のダートグレード競走はロードブレス、ダノンレジーナが勝っており、JRAの重賞はこれが初制覇です。
三冠馬コントレイルと同じく「ディープインパクト×アンブライドルド系」という配合構成で、2代母はデヴィルズバッグやグローリアスソングの全妹にあたる超良血。受胎率は低めですが、この活躍ぶりはフロックではないでしょう。これからが楽しみです。
今週の血統注目馬は?
・9/4 飯豊特別(2勝クラス・新潟・芝1400m)
新潟芝1400mと相性のいい種牡馬はドゥラメンテ。連対率25.0%は、2012年以降、当コースで産駒が20走以上した55頭の種牡馬のなかで第1位。
当レースにはティーガーデンが登録しています。前走のユニコーンSは12着と敗れましたが、デビュー以来初のダート挑戦で、なおかつ重賞だったことを考えれば大敗も致し方ありません。
ニュージーランドトロフィーでは5着と健闘しており、状態さえ問題がなければ巻き返し可能でしょう。
今週の血統Tips
8月終了時点のJRAにおける新種牡馬成績を見てみると、勝利数トップはサトノクラウンの6勝。
以下、マインドユアビスケッツとデクラレーションオブウォーが4勝、リアルスティール、ビーチパトロール、ミッキーロケットが3勝で続きます。
過去5年間の8月終了時点における新種牡馬トップは以下のとおり。
2017年 ロードカナロア 7勝(50戦)
2018年 ジャスタウェイ 9勝(44戦)
2019年 キズナ 11勝(73戦)
2020年 ドゥラメンテ 9勝(65戦)
2021年 シルバーステート 7勝(45戦)
今年のサトノクラウンは6勝ですから、ここ何年かでは最も低い数字となります。
ただし、「33戦」と出走回数が少ないので、アベレージ的には悪くありません。勝率を比較するとジャスタウェイに次ぐ好成績です。
初年度の血統登録頭数は123頭と、同期のなかではナンバーワン。秋競馬もどんどん産駒がデビューしてくるはずなので、数字は順調に伸びそうです。