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【ローズS AI予想】重賞初挑戦の今回は狙い目!? AIが推す大穴の強調材料をチェック

  • 2022年09月12日(月) 18時00分
netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)


超人気薄の馬がたびたび好配当決着を演出している


AIマスターM(以下、M) 先週はセントウルSが行われ、単勝オッズ1.7倍(1番人気)のメイケイエールが優勝を果たしました。

伊吹 これだけの実績馬に対して言うのも何ですが、本当に強い馬ですね。道中は5番手につけて、先行集団を射程圏内に入れつつの追走。ゴール前の直線に入ってもまったく脚色は衰えず、残り200m地点で早々と先頭に立ち、そのまま押し切っています。道中2番手のポジションから粘り込んだ2着のファストフォースも、中団から伸びた3着のサンライズオネストらに0.2秒差をつけていて、完全に勝ちパターンの競馬。そのファストフォースをさらに0.4秒も突き放したわけですから、お見事と言うほかありません。

M 折り合いに不安を抱えているメイケイエールですが、今回は終始スムーズでした。

伊吹 もちろんペースや隊列の影響もあったと思いますけど、こんなレースができるのであれば今後も楽しみですね。池添謙一騎手を含む陣営の尽力が、ここにきて実を結びつつあるのではないでしょうか。管理する武英智調教師は開業5年目で、今年は既に26勝(集計対象はJRAのレースのみ。以下同)をマークしています。ちなみに、2021年の年間3着内率は23.1%だったのですが、2022年の3着内率は現在のところ34.4%と、トップトレーナー並みの水準まで上がってきました。リーディングトレーナー争いに加わってくる日はそう遠くないかもしれません。

M セントウルSの勝ち時計は1分6秒2で、従来の記録を0.5秒も上回るコースレコード。“本番”のスプリンターズSでも相当に注目が集まりそうです。

伊吹 近年のスプリンターズSは前走好走馬が優勢。特に差しの競馬で好走した直後の馬は安定していました。妙味あるオッズにはならないと思いますが、無理に逆らうべきではないでしょう。

M 今週の日曜中京メインレースは、秋華賞トライアルのローズS。
昨年は単勝オッズ5.8倍(4番人気)のアンドヴァラナウトが優勝を果たしました。なお、その2021年は単勝オッズ49.2倍(12番人気)のエイシンヒテンが2着に食い込んだこともあって、3連単11万7100円の好配当決着となっています。

伊吹 基本的には波乱含みのレースと見ておいた方が良さそうですね。過去10年の3着以内馬30頭中11頭は単勝7番人気以下の馬でした。



M 単勝3番人気以内の馬はそれなりに健闘しているものの、単勝4〜6番人気の馬は3着内率が16.7%どまり。中途半端に人気を集めている馬は疑ってかかった方が良いのかもしれませんね。

伊吹 おっしゃる通りだと思います。より詳しく見ていくと、単勝4〜8番人気の馬が2012年以降[4-2-1-43](3着内率14.0%)だったのに対し、単勝9〜15番人気の馬は2012年以降[0-5-4-53](3着内率14.5%)。好走率がほぼ同じで、当然ながら後者の方が期待値は高いわけですから、単勝二桁人気クラスの伏兵もしっかりチェックしておくべきでしょう。

M そんなローズSでAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、ヒヅルジョウです。

伊吹 話の流れに合わせたかのような、絶妙なところを挙げてきましたね。少なくとも、上位人気の支持を集める可能性は相当に低いのではないかと思います。

M ヒヅルジョウは前走で1勝クラスのレースを勝ち上がったばかり。実績面で極端に見劣りするということはありませんが、今回はよりキャリアの浅い馬やオープンクラスのレースで善戦したことのある馬がいますし、人気の盲点になりそうな雰囲気です。

伊吹 少なくともAiエスケープは勝負になると見ているわけですから、前評判の低さを不安視する必要はないはず。別の角度からもチェックすべく、レースの傾向とこの馬のプロフィールを見比べていきましょう。

M まずは臨戦過程について伺いたいと思います。重賞どころか2勝クラス以上のレースを使うのも初めてですが、この点はどのように見ていますか?

伊吹 私はそれほど気にしていません。過去10年の3着以内馬30頭中9頭は、前走が1勝クラス以下のレースだった馬。通用する確率はそれほど低くないはずです。むしろ、このローズSは実績馬の扱いに注意したい一戦。前走が格の高いレースだった馬を含め、大敗直後の馬は期待を裏切りがちでした。



M これはわかりやすい。前走で6着以下に敗れていた馬は、3着内率が6.2%にとどまっています。

伊吹 好配当決着となった2021年も、1〜5着馬はそれぞれ前走の着順が5着以内。直近のパフォーマンスを素直に評価するべきでしょう。

M 1勝クラスのレースとはいえ、勝ち切った直後である点は強調材料と見て良さそうですね。

伊吹 同じく臨戦過程に関して言うと、前走との間隔も重要なポイント。2017年以降の3着以内馬15頭中14頭は、オークスから直行してきた馬か、前走との間隔が中3〜7週の馬でした。



M 前走との間隔が極端に詰まっている馬や、オークス組を除く休養明けの馬は過信禁物と見ておいた方が良いかもしれませんね。

伊吹 ヒヅルジョウは前走との間隔が中3週。ギリギリとはいえ、この条件もしっかりクリアしています。今年は前走の着順や前走との間隔に不安を抱えている馬が多いので、ある程度は高く評価して良いのではないでしょうか。

M おそらく超人気薄であることを考えると、これらの傾向はなかなか魅力的です。

伊吹 ただ、不安要素がまったくないわけではありません。過去10年の3着以内馬30頭中19頭は、父か母の父がディープインパクト系種牡馬。該当馬は3着内率も35.8%に達していました。



M ヒヅルジョウは父がハービンジャーで、母の父がグラスワンダー。残念ながら、この条件には該当していない側の一頭ということになります。

伊吹 さらに言うと、父も母の父もディープインパクト以外の種牡馬、かつ生産者がノーザンファーム以外の馬は2012年以降[2-2-1-75](3着内率6.3%)、2017年以降[1-0-0-33](3着内率2.9%)。馬券に絡んだのは2017年1着のラビットランが最後です。

M ヒヅルジョウの生産者は中地康弘氏。この傾向を重く見るならば、あまり強調できませんね。

伊吹 私自身も、今回は他の馬を中心とした馬券で勝負しようと考えていました。もっとも、どちらかと言えば不安要素の少ない馬であり、無理に嫌う必要がないのは事実。そのうえAiエスケープも高く評価しているわけですから、押さえておくに越したことはないのでしょう。できれば買い目に組み込んで、一発を期待しながらレースを見守りたいです。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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