▲期待の素質馬ソーヴァリアントを管理する大竹正博調教師にインタビュー(c)netkeiba.com
昨年12月のチャレンジC優勝後、骨折が判明し休養していたソーヴァリアント。勝ち上がりこそ時間を要したものの、1勝クラスは6馬身差、重賞でも3馬身半差など、その豪快な勝ち方に大舞台での活躍が期待されていました。
そんなソーヴァリアントに対し大竹師は、空白期間を埋める以上の活躍をさせたいと期待のコメント。いよいよ9カ月ぶりに復帰する現在の状態や大舞台を見据える今後の課題について伺います。
(取材・文=佐々木祥恵)
上のクラスを見据えて「ほぼ毎日ゲート練習に通いました」
──最初にトレセンに入厩してきた時の印象を教えてください。またオルフェーヴル産駒ということで、気性面はいかがでしたか?
大竹 1歳の時は結構うるさいという話を聞いていましたので、種馬の性質を考えた上で調教に取り組んでいました。ただ入厩当初はおっとりしていしました。馬格もありましたし、調教では当時は手こずるようなことはありませんでした。むしろ調教を進めていく上でスイッチが入らないというか、もっさりした感じがしました。
──2歳時はレースで出遅れが続いていましたが。そのあたりはどうだったのでしょうか?
大竹 ゲート練習やゲート試験では結構速かったので、前に取りついて競馬をする馬だと思っていたのですけど、トレセンでは見せないうるささを競馬場では出していたので、そのあたりが影響したのかと思います。
▲トレセンでは見せないうるささを見せ勝ち上がりは年明け1月に(撮影:下野雄規)
──最初はおっとりしていたと仰っていましたが、現在はどのような性格ですか?
大竹 まだスイッチが入る部分はあるのですけど、だいぶ古馬らしくなったと感じます。
──調教でも見せるのでしょうか?
大竹 前運動や調教から上がってきた時に、時々ダク(速歩)になってしまったりしていますね。
──ではそのあたりがもう少し解消して無駄な力を使わないようになればさらに良さそうですね?
大竹 はい。でも決して悪い方向にはいっていないと思います。
──この馬の強みは?
大竹 実践では労せずして前の位置を取れて、終いもしっかり伸びてくれるというところですね。
▲昨年8月の2勝クラスでは番手からの競馬で後続を3馬身半突き放して快勝(c)netkeiba.com
──距離は2000mか2200mを使ってきましたが、初めからこのくらいの距離に適性があると思っていたのですか?
大竹 はじめはもっと長くても良いのかと思っていたのですけど、このあたりの距離が良さそうですよね。
──2歳時はスタートが課題でしたが、それも克服しましたね?
大竹 後方からの競馬のスタイルでは早々に壁にぶつかると思いましたので、ほぼ毎日ゲート練習に通いました。馬も理解してくれて、ゲート内での駐立もだいぶ良くなりました。今も他の馬よりもゲート練習に行く頻度は高いです。
──チャレンジCに優勝後から、骨折休養を挟んでここまでの過程を教えてください。
大竹 当初は中山記念を使う予定で1月下旬に帰厩したのですが、その後骨折が判明して手術を行い、山元トレセンに放牧に出ました。牧場でリハビリしつつ、ある程度のペースまで調教を進めていただきました。
▲チャレンジC優勝から約1カ月後に骨折が判明(c)netkeiba.com
──休養を挟んで成長を感じましたか?
大竹 横幅がさらに増してきました。ただ一旦スイッチ入ってしまうとまだまだチャカチャカしてしまうので、そこがクリアになればと思います。
──オールカマーを目指して帰厩ということですね?
大竹 はい。本当に良い状態で戻ってきました。骨折箇所を気にしながらという調整ではないですし、以前のようにしっかり調教は積めています。
──能力がありながらも遠回りしてきた印象がありますが?
大竹 いろいろあって未勝利を脱するのにも4戦を要してしまいました。馬の力云々ではないところで回り道してこちらが空白を作ってしまいましたので、その部分を埋め合わせるだけではなくて、もっとこの馬の強い姿を見せられるようにしたいと思います。
▲もっとこの馬の強い姿を見せられるように(c)netkeiba.com
──それでも前走のチャレンジCは、本当に強かったですよね?
大竹 前の位置に取りついて、彼の理想とする競馬ができました。
──ではソーヴァリアントの復帰戦、意気込みをお聞かせください。
大竹 骨折の長期休養明けということもあるので、まずは秋競馬や来年に向けて内容のあるパフォーマンスを見せてくれればと思っています。
(文中敬称略)