母仔制覇達成 ビリーヴの名繁殖ぶりを改めて証明する結果に
先週の血統ピックアップ
・10/2 スプリンターズS(GI・中山・芝1200m)
3番手追走から直線で早め先頭に立ったジャンダルムが、3歳馬ウインマーベルの猛追をクビ差抑えました。母ビリーヴとの母仔制覇達成です。
母はスプリンターズS、高松宮記念など芝短距離重賞を計4勝した名牝。引退後はアメリカへ渡って繁殖牝馬となり、7頭の仔を産んでいます。
初仔のファリダット(父キングマンボ)は安田記念3着、5番仔フィドゥーシア(父メダグリアドーロ)はアイビスサマーダッシュ2着、6番仔エリシェヴァ(父スマートストライク)は函館芝1200mのレコード樹立と、違う種牡馬と交配されても変わることなく優秀な産駒を出しています。繁殖牝馬としての能力が高い証拠です。
そして、どの産駒も母に似たスピードタイプであるのは注目に値します。7番仔で末っ子の本馬は7歳にしてGI初制覇。重賞はデイリー杯2歳S、オーシャンSに次いで3勝目です。
父キトゥンズジョイは北米チャンピオンサイアー2回の名種牡馬で、芝のマイルから中距離がベスト。決してスプリントタイプではありません。
本馬は母ビリーヴの適性に引っ張られる形で短距離路線で素質を開化させました。2代母グレートクリスティーヌが特殊な父母相似配合となっており、この部分がスピードの源泉となっています。種牡馬としても楽しみな存在でしょう。
・10/1 シリウスS(GIII・中京・ダ1900m)
中団を追走したジュンライトボルトが残り300mで先頭に立ち、ハピの追撃を3/4馬身抑えて初の重賞タイトルを獲得しました。
2歳夏のデビューから芝路線を進み、3走前からダート路線に鞍替えしました。転向緒戦のジュライSは久々と落鉄の影響で2着と敗れたものの、続くBSN賞を難なく快勝。
今回は重賞だけあって格上馬もいましたが、それらを問題にせず重賞ウィナーの仲間入りを果たしました。
エアグルーヴ牝系はキングカメハメハと相性抜群で、ドゥラメンテ、ルーラーシップ、アンドヴァラナウトなど多くの活躍馬が出ています。
本馬もこのパターン。「キングカメハメハ×スペシャルウィーク」はリオンディーズと同じ組み合わせ。本馬は2代母ソニックグルーヴがパワー型のフレンチデピュティを父に持ち、なおかつ前肢の繋ぎが急角度に立っていて硬く、デビューすらできなかったという馬だったので、その影響もあってダートをこなしたのではないかと思われます。
4分の3兄グルーヴィット(父ロードカナロア)は中京記念の勝ち馬ですが、新馬-500万下とダートで連勝しています。まだGIIIを勝ったばかりで、トップクラスとは差がありますが、楽しみな馬であることは間違いありません。
今週の血統注目馬は?
・10/9 三鷹特別(2勝クラス・東京・芝1400m)
東京芝1400mと相性のいい種牡馬はロードカナロア。連対率25.6%は、2012年以降、当コースで産駒が20走以上した108頭の種牡馬のなかで第2位。当レースに登録馬のある種牡馬のなかではトップです。
登録馬のカフェサンドリヨンとヴィアドロローサはロードカナロア産駒。どちらにもチャンスはあるので注目です。
今週の血統Tips
今週は東で毎日王冠、西で京都大賞典が行われます。いずれも天皇賞・秋のステップ競走に指定されており、1着馬に優先出走権が与えられます。
ただ、2015年を最後に、毎日王冠組、京都大賞典組とも、天皇賞・秋で連対していません。つまり、本番に結びつかない前哨戦となっているわけです。ローテーションの多様化と、調教技術の進歩により、春からぶっつけで天皇賞・秋に挑み、勝ち負けに持ち込む馬が増えました。
毎日王冠、京都大賞典とも、ディープインパクト産駒の成績が飛び抜けています。過去10年間、前者で7回連対し、後者で5勝しています。
毎日王冠に同産駒は3頭登録していますが、京都大賞典はディアスティマしか登録していません。昨年8月以来1年2ヵ月ぶりの出走となります。阪神芝3200mでレコードタイムを樹立した経験があるように、阪神適性、能力の高さとも素晴らしいものがあります。実戦勘がどこまで戻っているかでしょう。