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【鮫島克駿騎手】GI制覇への執念は誰にも負けない 春の悔しさはジャスティンパレスと最後の一冠で晴らす

  • 2022年10月16日(日) 18時01分
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▲トライアルを制したジャスティンパレスと菊花賞へ挑む鮫島克駿騎手(c)netkeiba.com


2歳時にGI・ホープフルSで2着だったジャスティンパレスが神戸新聞杯を勝ち、最後の一冠・菊花賞に臨みます。

コンビを組むのは神戸新聞杯に続き鮫島克駿騎手。レースでは初騎乗でしたが、追い切りに3週続けて跨り、「僕にとって最大のチャンスだった」と強い覚悟を持った神戸新聞杯を勝ってのコンビ継続です。今春にはフリーになり、夏は初めて北海道に拠点を置くなど変化の一年を過ごす鮫島騎手。ジャスティンパレスと向かう菊花賞への思いとは。

(取材・構成:大恵陽子)

このチャンスを生かさないと、菊花賞でも乗れない


──神戸新聞杯を優勝、おめでとうございます。

鮫島 ありがとうございます。

──3週続けて追い切りに乗っていて、ジャスティンパレスにかける思いの強さが伝わってきました。

鮫島 初めて騎乗する馬なので、杉山晴紀先生とも相談して追い切りに乗せてもらうことになりました。それ以外の日でも、ゲートが難しい馬なので金曜日に2週続けてゲート練習に行きました。厩舎で跨ってゲートまで行って、終わるとまた厩舎に戻るまでの1時間半、しっかりとコンタクトを取りました。

──調教ではどういう馬だと感じましたか?

鮫島 まだ幼さが抜けていないというか、乗り手をもて遊ぶようなところがあるのかなと思いました。子どもっぽくて元気で、そこは人間がしっかりコントロールできるようにしないといけないと思いました。

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▲中間にしっかりコンタクトを取った(写真手前)(9月22日撮影:井内利彰)


──幾度かレースで出遅れたこともあった馬ですが、馬とのコンタクトを重ねて、レースでは好スタートを決めました。

鮫島 練習の時点では難しさを感じましたけど、練習の甲斐もあってしっかりゲートを出てくれて、クリアできたかなと思います。

──春のクラシック2戦に比べて神戸新聞杯では前目のインを取りに行きましたね。


鮫島 狙っていたポジションでした。有力馬より前目でレースをしたいというのと、この週は逃げ切りが多かったり、インでレースを運んだ馬がとても強い馬場傾向だったので、最低でも内ラチから2頭目、できればラチ沿いがいいなと思って乗っていました。

──ここが一つの勝負ポイントだったようにも感じられます。直線での走りはどうでしたか?

鮫島 すごく良かったですね。

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▲道中は4、5番手のラチ沿いから直線抜け出し3馬身半差の完勝(c)netkeiba.com


──以前は直線でフラフラすることもあった馬ですが、そのあたりは?

鮫島 フラフラするのには2パターンがあると思います。苦しくてフラフラしちゃう馬と、余裕がありすぎてフラフラしちゃう馬と。この子は後者だと思うんですよね。調教の段階でもまだ子どもっぽいところがあったので、1頭になっちゃうとまだフラフラする面もあるんですけど、春よりはマシで、だいぶしっかりしてきている最中なのかなと思います。

──そうなると、期待はさらに膨らみますね。鮫島騎手自身は神戸新聞杯後に「最大のチャンスだと思っていた」と、覚悟が感じられる言葉を発していました。

鮫島 クラシック最前線で戦ってきた馬で、僕は春のクラシックは乗っていませんでした。菊花賞に向けていただいたこのチャンスを生かさないと、菊花賞でも乗れないと思いましたし、勝ったとしても必ず乗れるとは思っていませんでした。なので、レース前は「しっかりこのチャンスを生かしたいな」と思っていて、神戸新聞杯を見たオーナーや先生が評価してくださり、再度乗せていただけることになりました。

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▲1度のチャンスを見事生かした(c)netkeiba.com


欠点がないのが一番いいところ


──鮫島騎手は今年8年目ですが、デビューから所属した浅見秀一厩舎が今春、定年により解散となって、フリーになりました。夏はこれまでは小倉で騎乗していたのが、北海道に滞在するなど変化の一年ですね。

鮫島 フリーになったのは大きいです。毎朝、浅見厩舎の馬をベースに調教に騎乗していたので、メインでサポートしてもらっていた厩舎が急になくなることで不安はありました。そんな中でもたくさん他厩舎に乗る機会も増えましたし、フリーになったからこそ新しいことにトライしたいなと思い、この夏は初めて函館・札幌にフル参戦することを選びました。

──途中、騎乗馬の関係で新潟や小倉にスポット参戦することもありましたけど、北海道で重賞制覇を含む19勝と大活躍でした。

鮫島 北海道では滞在競馬ならではの難しさや、勝った時の喜びなどをしっかり肌で感じられました。北海道で乗っているイメージがない僕にたくさんの騎乗依頼をくださった関係者のみなさんには感謝の気持ちでいっぱいです。夏は充実していました。

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▲今年の函館2歳Sをブトンドールで勝利(c)netkeiba.com


──いい流れで菊花賞へ向かうこととなります。ジャスティンパレスの長所はどんなところだと感じていますか?

鮫島 どこが一番というより、全体的に何も欠点がない点が一番いいところだと思います。弱点がなくて全体的にレベルが高い馬だと思います。

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▲何も欠点がないところが長所(c)netkeiba.com


──京都競馬場が改修工事のため、菊花賞は昨年に続き阪神競馬場での開催となります。昨年も菊花賞に騎乗しましたが、コースのイメージはどうですか?

鮫島 難しいコースではあると思います。条件戦ではほとんど使われないコースで、乗り慣れているジョッキーがいないですし、他のジョッキーがどういう動きするのかを読むのが難しいです。内回りコースなので、そこはちょっと意識した競馬はしたいです。他にも、3000mなので道中のリズムやいろいろ考えないといけないことがあると思うので、しっかり対応したいです。

──菊花賞は期待しています。

鮫島 神戸新聞杯で非常に強い勝ち方をしたジャスティンパレスと最後の一冠・菊花賞に挑めることは本当に嬉しいです。本番ではたくさんの支持をいただくと思いますので、しっかりそれに応えたいです。精一杯騎乗するので、ぜひ僕とジャスティンパレスの走りを応援していただけたらなと思います。

(文中敬称略)

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