実力馬にふさわしい再度の上位独占

スタニングローズが優勝(c)netkeiba.com
スタート前に、オークスで蹴られて不運な競走除外になったサウンドビバーチェ(父ドゥラメンテ)が軽く放馬し、また馬体検査。波乱を思わせる空気が流れた。さらに、注目のスタートで上位人気の3頭がもつれ合うような形になり、スターズオンアース(父ドゥラメンテ)が前半からずっと最後方近くを追走する展開となって、波乱を思わせた。
だが、オークスを「1、2、3」着した人気の3頭は、かなりの不利と、「前後半59秒7-58秒9」=1分58秒6の、内回りの先行タイプに有利な流れにもかかわらず、東京2400mのオークスで上位を占めた実力馬にふさわしく、4着以下には明確な差をつける再度の上位独占だった。
スタニングローズ(父キングカメハメハの最終世代)は、シャープな好気配。紫苑Sはプラス14キロで余裕残しとされたが、中間の慎重な調整で、当日輸送にもかかわらず前走と同じ488キロ。春よりひと回り成長していた、外にヨレ気味のスタートだったが、たちまち理想の好位追走に持ち込み、持てる能力全開に成功。
近年、オークスから直行の出走が多い。だが、秋に向けた展望と、その馬の特徴を考慮し、なんとしても秋華賞で結果を出したいとするなら、ひと叩きは自然なローテーションであることを示してもいる。
同じ高野友和厩舎のナミュール(父ハービンジャー)は、新馬を含めポン駆け3戦3勝。減っていた体が戻ると同時に、明らかに成長していた。使うとまた馬体減の心配もあったので、こちらの直行は周到な展望通り。スタートでスタニングローズに外に弾かれる不利は、そのあとの位置取り、最後の直線の進路にも少なからず影響したと思えるが、同じ高野厩舎の所属馬であり、同じ生産牧場の馬。
オーナー(所属クラブ)こそ異なるが、見事なワン・ツーが決まったから、あの不利は大きかったなどとは振り返りにくい。スローバランスに近く、レース上がりは「46秒6-34秒8」。直線で内側を通らずに上位に進出した馬の少ない中での快走だった。
1番人気のスターズオンアースは、自身が出負けしたところに、隣のナミュールが弾かれて前に入る形になってしまったのが痛い。致命的な出負けをしたのは事実であり、多頭数18頭立ての内回りだから、こちらも前に入られた不利は結構大きかった、などと敗因にはしにくい関係のオーナーと生産牧場の馬。今回は自身(スターズオンアース)のスタートの失敗をすべてにするしかない。
しかし、4コーナーではほぼ最後方。猛然と内寄りの馬群を割り、短い直線で勝ち馬と半馬身差、ナミュールとは微差の3着。上がりは断然最速の33秒5だった。牝馬3冠こそ逃したが少しも評価は下がることはない。
まったく人気はなかったが、外に回りながら上がり34秒4で4着に突っ込んだ伏兵メモリーレゾン(父オルフェーヴル)は、流れと通ったコースを考慮するとフロックの内容ではない。少しタイムを要するレースなら、もっと差はなかった。
4番人気のアートハウス(父スクリーンヒーロー)は残念な5着だったが、上位3頭とはオークスとほぼ似たような着順なので、現状では力通りか。
1分59秒0で、勝ち馬と0秒4差8着のストーリア(父リオンディーズ)は、今回が初めてのトップクラス相手だったことを考慮すると、目を引く好馬体と合わせ、これから大きくパワーアップする可能性を秘める。
近年の傾向通り、改めて近年の秋華賞は「オークス」との結びつきがきわめて強いことを示す結果になったが、馬場コンディションの良化と、近年は各陣営ともに無理なローテーションで消耗の頂点に立つようなオークスではなくなったことにより、オークスで示された高い能力は、秋の秋華賞でも、さらにはこの先にもつながることを示している。