▲第2回は実際に起きた不幸なエピソードを語り合います(撮影:興梠真穂)
前回のコラムで「1年くらい経ったかと思うほど最初の1カ月が長かった」と話していた大野騎手。その言葉だけでどれだけ最初の1カ月が過酷だったかを物語っていますが、第2回ではそこを深掘りします。
初めてのヨーロッパでいきなり一人暮らしとなるとご飯を食べるのにも一苦労…。同じく2013年にフランス遠征をしていた佑介騎手からもフランス独特の文化による苦悩があったそう。今回はそんな掘れば掘るほど出てくる過酷なエピソードの数々を紹介します。
(取材・構成=不破由妃子)
突発的な災難から日常的な災難まで
佑介 向こうでは自分でアパートを借りて住んでいたの?
大野 そうです。最初は完全にひとり暮らしで、夏休みに入ってからは日本から家族がきました。
佑介 子供は4人だっけ?
大野 はい。小学6年生から5歳まで4人です。
佑介 奥さん、すごいなぁ。小さい子供を4人も連れて、よくフランスまで行ったよ。
大野 家族がきたとき、空港まで車で迎えにいったんですけど、右車線、左ハンドルの感覚がいまいち掴み切れてなくて、縁石に乗り上げてしまったんですよね。で、パンクして…。子供4人連れてきて疲れ切っている奥さんを、着いた早々ずっと待たせるっていう(苦笑)。
▲家族が来て早々に車がパンク(撮影:興梠真穂)
──恐ろしいシチュエーションですね(苦笑)。
佑介 パンクは結局どうしたの?
大野 コーディネーターさんに色々と電話してもらったんですけど、全然繋がらなくて。結局、車を置いてタクシーで帰りました。で、そのタクシーにぼったくられて…。
佑介 災難続きの一日やな(苦笑)。まぁ空港にいるタクシーは危ないっていうよね。
大野 そうみたいですね。ずいぶんゆっくり走ってるなぁとは思ったし、途中でガソリンスタンドに寄ったりして。そのあともグルグルグルグル回って、メーターを上げられて…。
佑介 途中で気づいたの?
大野 それがね