日本の競馬にも大きな影響を及ぼすアルカナ・ディセンバーセールが来月開催
2年連続ジャパンC出走予定のグランドグローリーが上場予定
やや鮮度が落ちたネタで恐縮だが、フランス血脈の大活躍が見られたのが、10月22日と23日の日本における競馬だった。
まず22日(土曜日)に東京で行われた、距離1600mGII富士S。11月20日に阪神で行われる、この路線のシーズンの総決算となるGIマイルチャンピオンシップ(芝1600m)へ向けた、東日本地区の前哨戦となる一戦を制したのは、1番人気に推されていたセリフォス(牡3、父ダイワメジャー)だった。
これが3度目の重賞制覇となったセリフォスは、母シーフロントの2番仔なのだが、そのシーフロントがフランス産馬で、2016年のアルカナ・ディセンバーセールにて13万5千ユーロ(当時のレートで約1647万円)で購買されて日本へやってきた馬なのだ。
シーフロント自身は、シャンティーのLRモーリスジルベール賞(芝1600m)を制した他、ドーヴィルのG1ジャンロマネ賞(芝2000m)で4着に入着した実績を持つ馬だ。従兄弟に、北米で走ってG1パシフィッククラシックS(d10F)を制したゴービトウィーンがおり、血統背景も申し分ない。
そして、翌23日(日曜日)に阪神で行われた、3歳3冠最終戦のGI菊花賞(芝3000m)は、ハナ差の大接戦の末に、アスクビクターモア(牡3、父ディープインパクト)がボルドグフーシュ(牡3、父スクリーンヒーロー)に競り勝って、クラシックのタイトルをモノにした。この1、2着馬がいずれも、フランスの馬産と深い所縁がある母の産駒なのだ。
アスクビクターモアの母カルティカは、生まれたのイギリスだが、現役生活を送ったのはフランスだった。1勝を挙げた他、トゥールーズのG3フィーユドレール賞(芝2100m)3着、シャンティーのG2サンドリンガム賞(芝1600m)4着、ロンシャンのG3コンデ賞(芝1800m)4着など、重賞入着実績を重ねた馬である。
カルティカが繁殖にあがり、デインヒルダンサーを交配されて生まれた初仔が、G1コロネーションS(芝7F213y)、G1ロートシルト賞(芝1600m)を制した他、G1仏1000ギニー(芝1600m)3着などの実績を残した名牝ケマーである。
カルティカが日本にやってきたのは、フランスで4頭の産駒を残した後の2017年だったが、現役を退いた直後、2011年のアルカナ・ディセンバーセールに上場された時の同馬は、12万ユーロ(当時のレートで約1276万円)で購買されている。
さらに、菊花賞2着馬ボルドグフーシュの母ボルドグザグもまた、フランスで産まれ、フランスで競馬をした馬だった。パスカル・バリー厩舎からデビューした同馬は、2歳時に3戦し、G3レゼルボワール賞(芝1600m)を含めて無敗の3連勝をマーク。この3戦のみで現役を退き、繁殖入りしている。
同馬も、2012年のアルカナ・ディセンバーセールに上場され、キングズベストを受胎中だった同馬は20万ユーロ(当時のレートで約2169万円)で購買されて、日本にやってきた。こうしてみると、セリフォスの母も、アスクビクターモアの母も、ボルドグフーシュの母も、市場では比較的お手頃な価格で購買されていたことがわかる。
さらに3頭とも、サンデーサイレンスを2代目もしくは3代目に持つ種牡馬を交配されて、活躍馬を送り出しており、フランス血脈にサンデーサイレンスというのは好相性なのであろうと推察する。ただし、この3頭の繁殖牝馬の中のボルドグザグは、自身が2代目にサンデーサイレンスを持っており、ボルドグフーシュはサンデーサイレンスの3×3の近親交配を持っている。
その、日本の馬産と競馬にも大きな影響を及ぼしているアルカナ・ディセンバーセールが、今年は12月3日から6日まで開催される予定だ。
アルカナ社に確認したところ、G1ジャンロマネ賞(芝2000m)勝ち馬で、昨年に続いて2年連続でジャパンC出走を予定しているグランドグローリー(牝6、父オリンピックグローリー)、この秋のG1ヴェルメイユ賞(芝2400m)勝ち馬スウィートレディ(牝4、父ロペドヴェガ)、昨年のG2ロックフェルS(芝7F)勝ち馬ハローユー(牝3、父インヴィンシブルスピリット)、昨年のG1仏オークス(芝2100m)3着馬ブルガリータ(牝4、父シーザスターズ)らが、上場を予定している。
さらに、20年のG1オイロパ賞(芝2400m)勝ち馬ドニャー(牝6、父テオフィロ)が、期待の若手種牡馬ザラクを受胎して上場されるのも注目されるし、あるいは、アスクビクターモアの半姉ニードジーラ(牝8、父ヘンリーザナヴィゲーター)が、オアシスドリームを受胎して上場されるのも、日本の生産者の食指が動くところだろう。
はたして今年はこのマーケットから、どんな馬たちが日本にやってくることになるか。競馬ファンにとっても興味深いところである。