▲岩田望来騎手がシャフリヤールの成長を語る(撮影:下野雄規)
今年のジャパンCで外国馬4頭を迎え撃つ日本総大将シャフリヤール。その走りを裏側で支える岩田望来騎手、表側で勝利へ導くC.デムーロ騎手への両面インタビューを実施。
前編は今年の2月に念願の重賞初制覇を決め、今月の初め盛岡競馬場で行われたJBCレディスクラシックを制し、JpnI初勝利を達成するなど、勢いが増す岩田望来騎手。年々勝ち鞍を増やし、今年は初の年間100勝に迫る活躍を見せています。
岩田騎手は藤原英昭厩舎に所属し、昨年のダービー馬シャフリヤールの調教にデビュー前から跨っています。やはり“ダービー馬の背中を知る”という経験は大きいようで、「自分の競馬人生の財産」と言います。そんなシャフリヤールへはこの中間も追い切りに騎乗。シャフリヤールの成長を背中で感じてきた岩田騎手だからわかる、これまでとの“違い”を語っていただきました。
(取材・文=松山崇)
ダービー制覇は嬉しいが…「背中にいるのが自分だったらいいな」
──岩田望来騎手はデビュー前からシャフリヤールの調教をつけていらっしゃいますが、ファーストコンタクトの瞬間は覚えていらっしゃいますか。
岩田 覚えていますよ。「いかにもディープインパクト産駒らしい、柔らかい背中をしているな」という印象で、ダービーを勝つかどうかはともかく、大きいタイトルを獲れる馬なんじゃないかな、と思いました。「これが良い馬なんだな」と明らかにわかる感触でしたから。
──2歳3月の段階でシャフリヤールの取材をさせていただいたことがあるのですが、ノーザンF空港の厩舎長の方は「成長を促すためにじっくり進めたい」とおっしゃっていました。実際、シャフリヤールは新馬戦の後、共同通信杯、毎日杯と、間隔をあけてレースを使われていきますが、その過程で、変化や成長は感じましたか?
岩田 毎日杯を使ってから、グッと良くなりましたね。同世代で、エフフォーリアが無敗で皐月賞を勝ちましたが、あの馬に勝つとしたらこの馬(シャフリヤール)なんじゃないかな、と。体つき、動き、反応など全部が良くなって、それこそ「伸びしろしかない」という感じでした。
──その予感通り、見事にシャフリヤールは第88代のダービー馬となりました。その時の率直な感想をお聞かせください。
▲予感通り、ダービー馬に(撮影:下野雄規)
岩田 もちろん嬉しかったですが、それと同時に「その背中にいるのが自分であったらいいな」とも思いました。
──岩田騎手にとって「ダービー馬の背中を知っている」ことは、どのような意味を持ちますか?
岩田 今後の競馬人生において、そういう(ダービーを勝つような)馬に出会えたら、すぐにわかると思います。ダービー馬の背中を知っているという事実は、自分の競馬人生を変え得るような大きな財産ですよね。
──さて、前走の天皇賞・秋は、海外遠征からの帰国緒戦でしたが、何か変化は感じましたか?