「あの時の謙くんは、カッコいいなと思いました」

──池添謙一騎手はジョッキーとして武英智調教師の1つ先輩です。現役時代はどんな感じだったんですか？

池添　現役時代というよりも、小さい頃から知っています。競馬学校在学中はみんな余裕がないし、1年生と2年生って躾ける役目もあるから仲が悪いことが多いんですけど、ヒデ(武英智調教師)はこんな感じなので僕の部屋にしょっちゅう来ていました。馴れ馴れしかったです(笑)。

武英　いやいや、めっちゃ先輩と思っていました。(池添)謙くんの部屋にジャンプやサンデー、マガジンとか漫画を読みに行って、あとは……。これ、言っていいですよね？

池添　いいよ(笑)。

武英　謙くんって、足の裏をこちょこちょすると寝るんですよ。「ヒデ、今日消灯時間に足の裏こちょこちょしに来て」と言われてやっていたら、スースー寝息が立ったのでやめたんです。そしたら、「やめんな」って言われて「起きてんのかーい！」と思いました。

池添　ちょっとした変な性癖です(苦笑)。ジョッキーになってからもよくご飯や飲みにも行って、ホント仲良いですね。


──メイケイエールに池添騎手が騎乗することに決まったのも、仲良しだからこその経緯があったとか？

池添　ヒデと北海道の仲のいい友達とのゴルフに向かっている最中に、キーンランドCで騎乗したダイアトニックが「スプリンターズSには使わなくなった」という連絡が入ったんです。で、ゴルフ場に着いてスタートする時に何気なしにヒデに「スプリンターズなくなった」と言ったんですよね。そしたら「え！ じゃあメイケイエールに乗ってもらえます？」と言われて、そこで決まりました。

武英　謙くんが「え、いいの？」と言うから、「逆にいいんですか？」と聞きました。当時は乗るのを嫌がる人もいっぱいいたと思うんです。なので、断られることを半分覚悟で言ったら、「ジョッキーとして断る理由がある？」と言われて、その時にちょっとカッコいいなって思いました。

池添　その時だけかーい(笑)