▲今回解説するのはイクイノックスの父・キタサンブラック (撮影:榎本良平)
“超”のつく競馬オタクの坂井瑠星騎手が、豊富な知識と自身の経験から種牡馬を解説する「使える種牡馬辞典」。第二弾の今回は、リーディングを賑わす注目の種牡馬から、自身の中央GI初制覇のコンビとなったスタニングローズの父・キングカメハメハなど、レジェンド種牡馬もお届けします。
今回取り上げるのはキタサンブラック。代表産駒のイクイノックスが有馬記念への出走を控えていますが、同馬やラヴェルの走りから、「イメージを変えなくちゃいけない…」と坂井騎手。わずか2世代で違った魅力を出してきたキタサンブラック、現時点での坂井騎手の見解は?
(取材・構成=不破由妃子)
◆大反響!「種牡馬辞典」第一弾はこちらから福永騎手とも意見が一致した「意外性」
阪神ジュベナイルフィリーズのラヴェルは11着。道中で力んだぶん、消耗してしまい、本来の持ち味を引き出すことができませんでした。馬券を買ってくれたファンのみなさんには申し訳ない気持ちでいっぱいですが、ラヴェルはデビュー前から「走る!」と確信できた馬。また強いラヴェルをお見せできるよう、春に向けて誠心誠意取り組んでいくので、引き続き応援していただけたらうれしいです!
そのラヴェルのお父さんといえば、強力な先行力を武器にGI7勝を挙げたキタサンブラック。デビューしたのは現在の2歳がまだ2世代目で、産駒頭数もそれほど多くはないなか、初年度からイクイノックス(2021年東スポ杯2歳S、2022年天皇賞・秋)、ガイアフォース(2022年セントライト記念)、2世代目からはラヴェル(2022年アルテミスS)と、現時点で3頭の重賞勝ち馬を送り出しました。
▲強力な先行力を武器にGI7勝を挙げたキタサンブラック (撮影:下野雄規)
▲武豊騎手との最強タッグでターフを沸かせた (撮影:下野雄規)
ディープインパクトの全兄(ブラックタイド)の息子とはいえ、はたして種牡馬として成功するのかどうか…正直、僕は半信半疑でした。でも、蓋を開けてみればこの活躍。つい先日も、種付け料が500万から一気に倍の1000万になったことがニュースになっていましたね。改めて血の力を思い知りましたし、疑ってしまったキタサンブラックには「ごめんなさい」と謝りたいです(笑)。
キタサンブラックといえば、同期の(荻野)極がいつも調教に乗っていたこともあり、歩いている姿も走っている姿もよく見ていました。脚が長くてスラッとした体形は、産駒にもしっかり受け継がれていて、見た目的には似ている馬が本当に多いです。
▲今年の天皇賞(秋)で念願のGIウイナーとなったイクイノックス (撮影:下野雄規)
▲坂井騎手の手綱で重賞タイトルを手にしたラヴェル (撮影:下野雄規)
見た目だけではなく、乗り味にも共通点があり、背中の使い方やストライド、馬上からの景色など、「ああ、キタサンブラック産駒だなぁ」と思う瞬間がいくつもあります。