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【有馬記念】「あれで俺、壊れたんやから」──岩田康誠を狂わせた“ジェンティルドンナ”という超名牝

  • 2022年12月19日(月) 18時02分
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▲岩田康誠騎手がジェンティルドンナを語る(撮影:下野雄規)


エリザベス女王杯を制し、有馬記念でジェンティルドンナとの母娘制覇を狙うジェラルディーナ。その両馬の背中を知るのが、岩田康誠騎手です。

三冠牝馬にして、史上初のジャパンカップ連覇。それも、あのオルフェーヴルを破っての勝利。そんな超名牝のジェンティルドンナと過ごした日々は、本当に本当に、様々なことが起こりました。中でも、あの乗り替わりは騎手人生で最大級の衝撃で、それをきっかけに「俺、壊れたんやから」と岩田騎手。

netkeibaでは来春、岩田康誠騎手の短期連載を公開予定。今回は「エピソード・ゼロ」として、岩田騎手の転機となった名牝との思い出を振り返ります。

(取材・構成=不破由妃子)

自身は紆余曲折の三冠ロード、それでも「馬を勝たせるために」


──今回は、有馬記念特集の一環で、ジェラルディーナの母ジェンティルドンナについて、改めてその才能と思い出を語っていただこうという企画です。

岩田 俺、有馬記念(2014年/戸崎圭太騎手で勝利)乗ってないやん(笑)。なにしろ、その前の年のジャパンC(2013年/ライアン・ムーア騎手で勝利)で乗り替わりになったことをきっかけに、俺、壊れたんやから(苦笑)。

──乗り替わりにショックを受けて、調整ルームのお風呂場で「俺のジェンティルー!」って叫んだというエピソードも。

岩田 そやったっけ? 忘れたわ(笑)。今でこそ、乗り替わりは当たり前やけどさ、当時は人に取られることがあまりなかったから…。とにかくあの乗り替わりはヘコんだよ。

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▲「俺のジェンティルー!」って叫んだという噂もある(c)netkeiba.com


──それだけ、ジェンティルドンナへの思い入れが深かったということ。

岩田 そうやね。でもね、最初に乗ったときは、「すげー走る!」っていう感じじゃなかったよ。まさか三冠を獲るような馬になるとは思わなかった。もちろん、厩舎の期待馬だったとは思うけど、「走るんちゃうかなぁ」みたいな。

──初めて跨ったのは、チューリップ賞の1週前追い切りでしたね。

岩田 そうそう、よく覚えてる。ごくごく普通な感じやった。坂路で走らせても、コースで走らせても普通。「牝馬の割にドシッとしてるな」とは思ったけどね。

 それがさ、レースに行ったら能力が爆発するっちゅうんかな。チューリップ賞は4着に負けてしまったけど、乗りやすいのもあったし、次の桜花賞に向けて計れたというかね。次は逆転できるんじゃねぇかって。実際、桜花賞は自信を持って乗れたよ。

──レースの上がり35秒3に対して、後方から34秒3の脚で差し切った。これは強いと思いました。

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▲自信を持って乗れたという一冠目桜花賞(c)netkeiba.com


岩田 俺自身、ウオッカやブエナビスタにいろいろ教えてもらったから、ジェンティルの頃には、馬に教えてあげられることもあった。

 とはいえ、「俺が勝たせた」なんて思ってないよ。馬の足を引っ張らんように、一緒にレースをすることができるようになっていたということ。とにかく、乗りやすいしやな、力もあるし、オークスの距離も絶対に持つやろうと思った。

──そのオークスは、騎乗停止で乗れず…。川田将雅騎手が代打を務めましたが、ものすごく詳細に“勝つためのアドバイス”をされたそうで

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