文句なしの名配合 更なる成長見込める傑作イクイノックス
■先週の血統ピックアップ
・12/25 有馬記念(GI・中山・芝2500m)
勝負どころで外から進出したイクイノックスが、直線で楽々と抜け出して2つ目のGIを制覇しました。3歳馬が天皇賞・秋と有馬記念を連勝するのは昨年のエフフォーリアに次いで史上2頭目です。天皇賞・秋の上がり3ハロンは32秒7、有馬記念は35秒4。距離も展開も回りも違う2つのビッグレースを制覇したのは、純粋に高い能力の証といえるでしょう。
体質面に弱さを抱え、一戦ごとに苦労していた春とは見違えるように成長しました。父キタサンブラックは2017年にこのレースを制しているので親仔制覇となります。ヴァイスメテオール(ラジオNIKKEI賞/父キングカメハメハ)の半弟で、母シャトーブランシュはマーメイドSの勝ち馬。母の父キングヘイローは、ピクシーナイト、ディープボンド、ウォーターナビレラ、アサマノイタズラなど多くの重賞勝ち馬の母の父となっています。
イクイノックスがそうであるように、キングヘイローはサクラバクシンオー(父キタサンブラックの母の父)と相性が良く、キタサンミカヅキ(東京盃2回、東京スプリント)、ローレルベローチェ(シルクロードS-2着)、ピクシーホロウ(ピクシーナイトの母)などがこの組み合わせを持っています。キタサンブラック産駒はヘイロー-サンデーサイレンスのラインをクロスさせた配合が成功していますが、本馬はヘイロー4×4。
それに加え、血統構成のよく似た三種の血、「ヘイロー、ドローン、サーアイヴァー」を執拗に重ねており、文句なしの名配合といえるでしょう。アルザオ(ブラックタイドの母の父)とダンシングブレーヴ(キングヘイローの父)は、配合構成がよく似ているのでニックスの関係にありますが、本馬はこの両血脈を抱えています。2023年は海外のレースも視野に入れていくとのことですが、さらなる成長が見込める傑作だけに大きな期待が掛かります。
・12/24 阪神C(GII・阪神・芝1400m)
好位追走のダイアトニックがグレナディアガーズとの追い比べをハナ差制しました。直線半ばではいったん交わされたのですが、ゴール直前で差し返しました。これで重賞5勝目。芝1400mでは[8-1-1-0]という成績で、唯一連対を外した一昨年の阪急杯は2位入線の3着降着ですから、崩れたことがありません。2着グレナディアガーズも1400mでは相当強いスペシャリストなのですが、ダイアトニックが一枚上でした。
近い世代にサンデーサイレンスとアレミロードを併せ持つロードカナロア産駒なので、ケイデンスコール(マイラーズC、京都金杯、新潟2歳S)と配合構成がよく似ています。ロードカナロア産駒は今年JRA重賞12勝目。ディープインパクトの10勝を上回り、種牡馬別の年間重賞最多勝を確定させました。総合種牡馬ランキングは現在2位。今年、首位ディープインパクトを追い抜く可能性はありませんが、来年のリーディングサイアーの最短距離にいるといえるでしょう。
■今週の血統注目馬は?
・12/28 カウントダウンS(3勝クラス・中山・芝1600m)
中山芝1600mと相性のいい種牡馬はリオンディーズ。連対率30.0%は、2012年以降、当コースで産駒が20走以上した104頭の種牡馬のなかで第2位。当レースに産駒が登録している種牡馬のなかではナンバーワンです。インダストリアはリオンディーズ産駒。6月以来半年ぶりのレースですが、ケイデンスコール(重賞3勝)の4分の3弟。荒れた馬場も合うタイプでしょう。
■今週の血統Tips
2022年を締めくくるJRA最後のGIはホープフルS。登録馬19頭を眺めるとジャスタウェイ産駒が4頭いるのが目立ちます。現2歳のジャスタウェイ産駒は、初年度のヴェロックス、アウィルアウェイなどが活躍した直後に種付けが行われた世代なので、総体的に質の高い繁殖牝馬から誕生しています。なおかつ、産駒数も多いため、良駒が目に付きます。
その代表格が東京スポーツ杯2歳Sを勝ったガストリック。GI昇格後のホープフルSにおいて東京スポーツ杯2歳Sの勝ち馬は[2-0-1-0]。ホープフルSには過去ジャスタウェイ産駒が2頭出走し、[1-1-0-0]といずれも連対を果たしているので、血統的にも相性のいいレースです。