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【日経新春杯 AI予想】この相手なら妙味十分! AIの挙げた伏兵は絶好の狙い目かも

  • 2023年01月10日(火) 18時00分

京都金杯は単勝オッズ7.4倍(5番人気)のイルーシヴパンサーが優勝(c)netkeiba.com


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳"が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳"がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)


人気薄の馬が波乱を演出した年は意外と少ない


AIマスターM(以下、M) 先週は京都金杯が行われ、単勝オッズ7.4倍(5番人気)のイルーシヴパンサーが優勝を果たしました。

伊吹 陣営はもちろん、手綱を取った岩田望来騎手にとっても会心の勝利だったのではないでしょうか。五分のスタートから冷静にポジションを探り、道中は中団のインコースを追走。ゴール前の直線でポジションを押し上げ、先に抜け出したプレサージュリフト(3着)、やや外めから伸びてきたエアロロノア(2着)を、内から難なく差し切っています。このエアロロノアやプレサージュリフト、そして4着のピースワンパラディは、道中でイルーシヴパンサーの前や横にいた馬。周囲を固めていたのがそう簡単には失速しなさそうな実績馬ばかりだったので、「勝負どころが来れば自然と進路は開くはず」という読みが岩田望来騎手の中にあったのかもしれません。実際にゴール前の直線では馬群がバラけて、進路の確保に苦労するような場面はほとんどなかったわけですからね。

M イルーシヴパンサーは明け5歳馬。3走前の東京新聞杯に続く2度目の重賞制覇となりました。

伊吹 前走の関屋記念(11着)は展開的にノーチャンスでしたし、2走前の安田記念(8着)は勝ち馬との差がわずか0.2秒だったうえ、上がり3ハロンタイムが出走メンバー中1位タイ。いずれも着順から受けるイメージほど悪くはない内容で、大きく評価を下げる必要はなかったのだと思います。こういう脚質ですから、今後も似たような状況で人気を落としてしまう場面が必ずあるはず。狙い時を逃さないよう、今回のパフォーマンスをしっかり記憶しておきましょう。

M ちなみに、前回の当コラムでAiエスケープが注目馬に挙げていたのは2着のエアロロノア。こちらは単勝オッズ5.9倍の4番人気でした。

伊吹 レースの傾向からも強調できた一頭で、最終的に私も重いシルシを打ったのですが、期待通りの走りを見せてくれて良かったです。明け6歳とはいえ、昨年もGIやGIIで上位に食い込んでいましたし、能力の高さは証明済み。そのうち馬齢が嫌われる場面もあるでしょうから、こちらも引き続きマークしておくべきだと思います。

M 今週の日曜中京メインレースは、実績馬の参戦も多い注目のハンデキャップ競走、日経新春杯。昨年は単勝オッズ5.6倍(3番人気)のヨーホーレイクが優勝を果たしました。その2022年は3連単の配当が2万6610円にとどまったものの、単勝オッズ19.6倍(7番人気)のショウリュウイクゾが勝った2021年は3連単96万1790円の高額配当決着。荒れやすいレースか否かという印象は、人によって異なるかもしれませんね。


伊吹 2014年以降の過去9回中6回は3連単の配当が4万円未満で、そのうち3回は1万円未満。近年の傾向からすると、どちらかと言えば堅く収まりがちなレースと言えるでしょう。過去10年の単勝人気順別成績を見ても、単勝1番人気馬の連対率は7割に達しています。



M 3着以内馬30頭中、単勝7番人気以下だった馬は8頭。決して少なくはありませんが、人気薄の台頭が目立つと言えるかどうかは微妙なところです。

伊吹 より細かく見ていくと、単勝2〜4番人気の馬は2013年以降[4-2-6-18](3着内率40.0%)、単勝5〜7番人気の馬は2013年以降[2-2-2-24](3着内率20.0%)、単勝8番人気以下の馬は2013年以降[1-2-2-75](3着内率6.3%)でした。上位人気馬はそれなりに信頼できるという前提で買い目を組み立てた方が良いかもしれません。

M そんな日経新春杯でAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、サンレイポケットです。

伊吹 面白いところを挙げてきましたね。上位人気グループに入ってくるかどうかはわかりませんが、少なくとも超人気薄ということはないはず。

M サンレイポケットは明け8歳。2021年に天皇賞(秋)とジャパンCで4着となった実績がある馬ですし、前走のチャレンジCでも4着に健闘しています。妙味ある伏兵として注目している方も多いのではないでしょうか。

伊吹 馬齢や近走成績が嫌われそうな雰囲気ではあるものの、Aiエスケープが推してきたということは、今回のタイミングが絶好の狙い目なのかもしれません。レースの傾向も参考にしつつ、買い目上の位置付けを考えていきたいですね。

M 日経新春杯の予想を行っていくうえで、最初に注目すべきポイントはどのあたりだと考えていますか?

伊吹 やはり直近のパフォーマンスでしょう。2016年以降の過去7年に限ると、3着以内馬21頭中20頭は前走の着順が1着、もしくは前走の1位入線馬とのタイム差が0.7秒以内でした。



M 大敗直後の馬は強調できませんね。

伊吹 実績の差が負担重量によって調整されることもあってか、ハンデキャップ競走は得てしてこういった傾向になりがち。このレースも前走好走馬を素直に重視した方が良さそうです。

M サンレイポケットは前走の1位入線馬とのタイム差が0.4秒。合格ラインをしっかりとクリアしています。

伊吹 あとは、前走の末脚も見逃せないファクターのひとつ。前走が条件クラスのレースだった馬を除くと、前走で出走メンバー中4位以内の上がり3ハロンタイムをマークしていない馬は苦戦していました。



M サンレイポケットは前走の上がり3ハロンタイム順位が2位。こちらの傾向からも有力と見て良いのではないでしょうか。

伊吹 ちなみに、前走の条件がオープンクラス以外だった馬は2016年以降[3-4-3-8](3着内率55.6%)と非常に堅実。実績馬よりも負担重量に恵まれがちなので、前走で出走メンバー中上位の上がり3ハロンタイムをマークできなかった馬も侮れません。

M なるほど。昇級組や格上挑戦組の一発はしっかり警戒しておきたいところですね。ただ、今年の該当馬はヴェローナシチーだけ。サンレイポケットのような実績馬にとっては与しやすいメンバー構成と言えます。

伊吹 おっしゃる通り。伸びしろを警戒しなければならない馬が比較的少ない点は、強調材料のひとつと見て良いでしょう。ただし、明け8歳の高齢馬である点は少々気掛かり。2016年以降の3着以内馬21頭中19頭はキャリア21戦以内でした。



M サンレイポケットはキャリア29戦です。

伊吹 2021年の日経新春杯(4着)に出走した時点ではキャリア16戦。臨戦過程は当時と遜色ないのですが、やはり加齢の分だけ評価を下げた方が良いかもしれません。

M 不安要素もないわけではない、と。

伊吹 今回はより信頼できそうな馬が他にいますし、おそらく私は◎を打たないと思います。ただ、人気薄が予想される馬の中だと、今のところもっとも魅力を感じるのはサンレイポケットです。配当的な妙味は十分過ぎるほどにあるわけですから、Aiエスケープの高評価を信じてこの馬から入るというのもひとつの手でしょう。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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