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【福永祐一×藤岡佑介】ジョッキーから調教師へ──心を動かしたいくつもの出来事「競馬界にはこだわってなかった」/第1回

  • 2023年02月08日(水) 18時01分
“with佑”

▲福永祐一騎手と藤岡佑介騎手の対談がスタート(撮影:桂伸也)


2月末でのジョッキー引退を間近に控えるなか、福永祐一騎手がゲストに来てくださいました。2019年以来2度目となる『with佑』への出演ですが、当時の福永騎手は引退について「今はジョッキー以上に面白そうだと思える仕事がない」との考えを示していました。

それから4年が経ち、調教師になるという決断をした福永騎手。この4年間のどんな出来事がジョッキーから調教師へと福永騎手の心を動かしたのでしょうか。全4回に渡る“ジョッキーとして”最後の福永騎手との対談が始まります。

(取材・構成=不破由妃子)

最後の有馬記念「寂しいなって、あのとき初めて思った」


──福永さん、調教師試験合格、おめでとうございます。

佑介 おめでとうございます!

福永 ありがとう。

──合格して以降、どんな気持ちで競馬に乗ってらっしゃるのかなと思って。

福永 正直、先週(1月最終週)くらいまでは、まったく変わらなかったかな。これまで通りのルーティンで、いつも同じように準備して乗っている感じやった。でも、有馬記念の日は、さすがに思うところがあったね。

佑介 これで有馬は最後やと。

福永 うん。昼休みやったかな、芝の状態を見ながらコースを歩いたんやけど、あの日はお客さんがギッシリでさ。「こんな景色、久々やなぁ」と思いながら、「やっぱりいいな。こんな景色のなかで乗れなくなるのは、ちょっと寂しいな」って。あのとき初めて思った。

“with佑”

▲ボルドグフーシュと挑んだ最後の有馬記念(撮影:下野雄規)


佑介 ジョッキーにしか見られない景色ですものね。

福永 そうやね。これまで通り、競馬サークルのなかで生きていくとしても、あれだけの人数の歓声を浴びることは二度とない。そう思ったら、ちょっと寂しくなったね。

佑介 今週(2月1週目)からじゃないですか、一気に「ここが最後」「これで最後」が増えていくのは。

福永 うん。実際、中京は先週が最後やった。中京はデビューした地でもあるし、ちょっとやっぱり…ね。最終レースのパドックも行ったし。

佑介 日本での騎乗は、実質あと6日間(取材時点)ですもんね。

福永 そうやねん。先週が終わった時点で、「あ、もうあと3週で終わりか」とは思った。それまでは、「引退の日が近づいてきているけど、どう?」とか聞かれても、何の実感も湧いてこなかったけど、だんだん「いつも通り」じゃなくなってきた感じはあるよね。

“with佑”

▲だんだんと引退への実感が湧いてきた(撮影:桂伸也)


佑介 現場でも、「福永さんが乗っているのを見られなくなるのは寂しい」みたいな記者さんたちの声が聞こえてきて、けっこうみんな感傷的な部分があるんやなと。「ずっといますよ」って言うたんですけどね(笑)。

福永 俺自身も、調教師として引き続き“ここ”にいるっていうのがあるから、そこまで感傷的になっていないのかも。レースとレースの合間には、相変わらずゲームしているし

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JRAジョッキーの藤岡佑介がホスト役となり、騎手仲間や調教師、厩舎スタッフなど、ホースマンの本音に斬り込む対談企画。関係者からの人望も厚い藤岡佑介が、毎月ゲストの素顔や新たな一面をグイグイ引き出し、“ここでしか読めない”深い競馬トークを繰り広げます。

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1986年3月17日、滋賀県生まれ。父・健一はJRAの調教師、弟・康太もJRAジョッキーという競馬一家。2004年にデビュー。同期は川田将雅、吉田隼人、津村明秀ら。同年に35勝を挙げJRA賞最多勝利新人騎手を獲得。2005年、アズマサンダースで京都牝馬Sを勝利し重賞初制覇。2013年の長期フランス遠征で、海外初勝利をマーク。2018年には、ケイアイノーテックでNHKマイルCに勝利。GI初制覇を飾った。

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