▲性格も騎乗スタイルも対極なおふたり(撮影:福井麻衣子)
ともに日本競馬界のトップに立ちながらとても仲が良いおふたり。しかし、騎乗スタイルや性格といったタイプは対極で、互いに学ぶことが多いと言います。
“強烈な自我”を持つイメージのある川田騎手、対して“自分というものがない”と話す戸崎騎手。正反対だからこそ互いに影響を与え合う。そんなおふたりの掛け合いから、正解のないジョッキーという仕事の奥深さが見えてきます。
(取材・構成=不破由妃子)
「俺と将雅は本当に極端に違うよね」
──2019年に戸崎さんにインタビューさせていただいたとき、「僕には“自分”というものがない」とおっしゃっていて。片や川田さんは、強烈な自我がある。ともに頂点を極めたトップジョッキーでありながら、タイプとしては対極にあるおふたりですよね。
戸崎 ホントですよねぇ。
川田 (福永)祐一さんもそうですし、戸崎さんもそうですけど、僕とは全然違う人間だからこそ、仲良くさせていただけるのかなと思いますね。僕と似たような人間と一緒にいたら、腹が立ってしょうがないと思いますから(笑)。
戸崎 うん。それは間違いないね(笑)。
川田 まったくタイプが違うからこそ、仕事の仕方や馬との向き合い方など、学ばせていただくことも多いです。
──自分にはない相手のストロングポイントにも、気づきやすいのでは?
川田 そうですね。戸崎さんは、競馬においても「俺が俺が」の主張が少ない人。乗り方にしても、馬のリズムとバランスを一番大事にされていて、僕みたいに無理やり動かしたり、無理やりポジションを取りに行ったりといったことも少ない。スムーズにレースを組み立てながら、スムーズにその馬の能力を発揮させる…、そんなイメージがあります。フォームは違えど、やっぱり祐一さんと似ている部分が多いと思いますね。
▲戸崎騎手と福永騎手は似ている部分が多いと感じるそう(撮影:福井麻衣子)
──そうかもしれませんね。
川田 僕とは違うアプローチの仕方をされているので、僕にもそういう部分を取り入れて、違いを埋めるというか、ジョッキーとして引き出しを増やせればいいなと思ってずっとやってきたし、実際にそのための試行錯誤を繰り返してきた結果が今なので。やはり、違うからこそ、学べることも多いんですよね。僕、戸崎さんのこと、本当に観察してますよ。だから、戸崎さんの心境の変化にも気づけた。ただ漠然と見ているわけではありませんからね。しっかり見てますから。
戸崎 言われて改めて実感しているけど、俺と将雅は本当に極端に違うよね。将雅が言うように、その違いは馬乗りにも出ているし、やっぱり馬を動かすというか、俺にはできないことを将雅はしている。俺もね、そういう騎乗を求めていた時期もあったんだけど、なんか求めすぎて、リズムが狂っちゃって