▲騎手としての“限界”について(撮影:桂伸也)
まさに絶頂期という今、惜しまれつつ引退を迎える福永騎手。一見して華やかに見える福永騎手の騎手人生ですが、30歳を過ぎた頃にはジョッキーとしての限界を感じていたとのこと。
そんな福永騎手は佑介騎手に「佑介は自分にリミッターをかけてるやろ?」と言葉を投げかけます。実際に30歳を越えてから限界を突破した福永騎手は、今の佑介騎手には当時の自分と重なる部分があるようで…。
(取材・構成=不破由妃子)
「俺もよくわかるよ、佑介の気持ち。でもね」
──福永さんの騎手人生を振り返ると、確かに周囲のバックアップがあっての恵まれたスタートだったかもしれませんが、その後には挫折も経験し、一念発起して「リーディングを獲る!」と公言して実際に獲り、デビュー23年目にしてダービー初制覇。その後、「スターホースに出会いたい」とモチベーションを語るなかでコントレイルに出会い、無敗の三冠を達成。そして、年間100勝記録を更新するなかでの調教師転身…。27年間の騎手人生を通して、なんかすごいものを見せてもらったような気がしています。
佑介 なんか小説みたいですよね。
祐一 漫画的な(笑)。
佑介 若い頃にいい馬に出会って、バーッと階段を駆け上がるのも華やかでいいですけど、やっぱり自分が一番充実しているときに、それまでの経験をすべて注ぎ込める馬が出てくるというのは、一番いいシチュエーションですよね。同じジョッキーとしては、すごく憧れます。
祐一 晩成がいいよ、佑介。だって俺、30歳を過ぎたあたりで、一度本気でジョッキーを辞めようとしたからね。
佑介 北橋先生と瀬戸口先生が相次いで引退したあたりですね。
祐一 うん。でも、友人から刺激をもらってマインドチェンジできて、あとは結婚(2013年)したことによる妻からの刺激も大きかった。今思うと、自分のマインドが変わったことで、周りの環境も変わっていったんだよね。自分で勝手に「ここまでだ」と決めつけていた自分の可能性のリミッターを、周りの人が外してくれたから。そこから成長していけたように思う。
佑介 ずっと祐一さんを見てきて、なんかわかるような気がします。
祐一 自分一人の考えでやっていたら、俺は30歳の時点で止まってた