2023年、初GI! フェブラリーステークス(ダート1600m)。新ダート王誕生! レモンポップ号は、力の違いを見せつけてくれました。坂井瑠星騎手は一番人気の重圧をはねのけ、落ち着いた見事なエスコートで、GI3勝目。
▲レモンポップと坂井瑠星騎手(撮影:下野雄規)
昨年挙げたGI2勝が自信につながり成長されているのを感じます。これからの活躍が楽しみです。
3月は、新旧交代の時期。
いよいよ福永祐一騎手から調教師になる瞬間ですね。僕たち花の12期生の誇りです。一足早く調教師になった高橋亮調教師に次ぐ2人目です。
競馬学校時代から、騎手から調教師へと夢を抱いていた様に思う。父(福永洋一さん)の偉大さは、超えられないけど、競馬史に残る馬に乗りたいと言っていました。同期として過ごした時間は、とっても貴重な時間です。
年上でしたが「同期だからみんな一緒だよ」と気さくで、ゆーいっちゃんとかユーイチとか呼んで、仲良く厳しい競馬学校時代も楽しく訓練していました。
同期には女子も3人いて、授業以外でもみんなでトレーニングをしたり、団らんの時間も楽しかった。
▲競馬学校12期生、模擬レースにて
ユーイチは乗馬をしていたので、騎乗スタイルは格好よく上手かったです。反対に僕はいつも迷惑をかけていました。一番悔しかったのが、(馬への)飛び乗りができなかったこと。何度も何度も飛び乗りを練習しました。確か2人いたかな? 他のみんなは馬上からずっと待っていてくれて、やっと乗れたと思うと、「次は反対側から」と教官に指示され…「鬼教官!」という思いを飲み込み頑張ったのを覚えています。
騎手になってからの活躍は、素晴らしかったです。経験も豊富で、エピファネイアの悔しいダービー2着から、勝ち取ったダービー3勝。3冠馬コントレイルとの絆も深く、その初仔も誕生し思い入れも強くなっていると思う。いろいろ悩んだ時期もあったそうですが、もともと考えがしっかりしていて勉強熱心で、いつも本を読んでいる印象があります。
また、学生時代はサッカー部に所属していたそうで、Jリーグの試合をよく見て研究しているようでした。サッカーは、後ろから指示を出すキャプテンが優れているチームが強いと言われますが、ユーイチはそのポジションが上手く、とってもいい目でチームを観察していて、調教師としてもそれが活かせると思うので活躍が楽しみです。
私が落馬し、リハビリの時や引退式の時、肩をポンポンと叩いて「ずっと見ているから頑張れよ」と声をかけてくれました。記憶障害のある僕ですが、その言葉だけはずっと頭の奥に残っています。
▲福永騎手を取材した時の様子
福永騎手をはじめ同期みんなは、トレセンに取材に行くようになってからもいつも応援してくれる、偉大な同期です。
そんな同期が誇りです。僕もちょっとだけ頑張ろう!
形は違っても、馬の背中にいたいから障がい者乗馬をはじめ、障がい者乗馬のGIを獲りたいと思い日々特訓中。
僕の指示にはなかなか反応してくれない馬と切磋琢磨していますが、個人レッスンから部班トレーニングに切り替え、トレーニングの幅も広がりましたし、昨年11月の国際パラ馬術大会で5位に入賞し、ほんの少し明るい兆しが見えて気合を入れています。
2月14日兵庫県スポーツ優秀選手賞で表彰していただきました。
兵庫県知事・斎藤元彦氏から「常石勝義」と名前を呼ばれたときは、うれしかった。何度呼ばれてもいい気分ですね。また頑張ろうという気持ちが湧いてきてワクワクしました。
▲2月14日に行われた表彰式
その中にすごい選手がいました。フィギュアスケートの坂本花織さん、三原舞依さん、車椅子テニスの上地結衣さんなど。そんなすごい方達の仲間入り出来たことが誇りです。
みなさんの体験談を聞き、モチベーションアップさせていかないと上にはいけないということがよくわかりました。いつも思ってるんですが、なかなか習慣付けられないのが弱いところです。恥ずかしい自分がいます。今度は、もうちょっと上を目指そうと思いました。
みんなになんで滋賀ではないの? と聞かれましたが、僕が所属しているのは明石乗馬協会なので、兵庫県ということで認めていただきました。2020年から3年連続で表彰していただいています。13年連続100勝のユーイチに続こう(笑)! 大きな目標があるから頑張れるなー、頑張ろう。
▲2020年に行われた表彰式にて
昨年は、海外の大会に参加できなかったけど、今年はコロナも少し緩和してきたので海外の大会にも参加していきたいと思っています。
3月には、新厩舎開業、新人騎手もデビューし、新しい風が吹く。僕が騎手デビューしたとき、調教師に脚を持ち上げていただき馬に跨ったときの感動は、今でもはっきり覚えています。
そして4月には京都競馬場が新しくなり、競馬界が盛り上がってきますね。春もみんなで楽しみましょう。
オカン 同期で同じターフを駆けた仲間がいることが彼の生きる力になっていると思う。週末のレースを見ているとき、自分の騎手時代を思い出しながら解説したりして楽しんでいるのを見ると、素晴らしい経験ができたんだなーと嬉しくなります。
その経験を糧に障がい者乗馬に取り組んでほしい。思うようにいかないときも、こうなんだけどな、いつも言われるけどできないとか、今日はできて先生に褒められたとか…馬の話をしている時は、最高の笑顔になっています。
祐一騎手の引退式(3月4日)、参加できることを願っています。できなくても結婚式に招待していただき、感動をもらいました。同期でよかったね、宝物です。
▲福永祐一騎手と
厩舎開業の時には、絶対に取材に行くからねと今から準備しています。自分で目標を立てそれに向かう息子が、落馬してから20年という年月から少し成長している。記憶が少し戻っている。いや新しい脳の回路ができたかと思う。と感じる日々です。馬の力とパワーに改めて感謝し友達と強い絆でつながっている息子がうらやましく思う。
もっと大きく成長してください。楽しみにしてるわ。
つねかつこと常石勝義&おかん
(文中敬称略、次回の更新は4/1(土)を予定しています)