クラシックへ向けて文句なしの有力候補
弥生賞を勝利したタスティエーラ(C)netkeiba.com、撮影:下野雄規
ここが3戦目になるタスティエーラが、2015年の勝ち馬だった父サトノクラウンと同じように3戦目で皐月賞トライアルの弥生賞ディープインパクト記念を快勝した。
史上、タスティエーラと同じようにキャリア2戦で勝った馬は「2001年アグネスタキオン、2005年ディープインパクト、2015年サトノクラウン、2016年マカヒキ」の4頭。全馬がのちにGI馬に育っている重要なトライアルだから価値がある。
芝コンディションの差はあるが、2分00秒4の勝ち時計は、2016年マカヒキ(皐月賞2着、日本ダービー1着)のレースレコード1分59秒9、1993年ウイニングチケット(1993年の日本ダービー馬)の2分00秒1に次ぐ史上3位の好タイムだった。
この週はかなり高速馬場だったが、レース全体の流れは「61秒0-59秒4」=2分00秒4(上がり35秒0)。快時計になるペースでもないから中身は濃い。
陣営は「共同通信杯も使っているので、状態をしっかり見極めたい」と慎重だが、皐月賞に出走するなら文句なしの有力候補だろう。初の中山、初の2000mも難なくこなし、最後の1ハロンも11秒9だった。
過去10年の皐月賞で3着以内に快走した30頭の経由した3歳重賞の中で、もっとも多いのは、ともに8頭が出走していた「共同通信杯(トキノミノル記念)と、弥生賞ディープインパクト記念」の2重賞。両方に出走していた馬はいないが、タスティエーラは重要なポイントになる両レースで好走したことになった。
母の父マンハッタンカフェ。4代母クラフテイワイフから発展するファミリーは、タフな活躍馬を送る牝系として知られ、カンパニー、トーセンジョーダン、ビッグテーストなど3歳時だけでなく、古馬になってのビッグレース勝ち馬も多く存在する。
2着トップナイフ(父デクラレーションオブウォー)は、またまた2着止まり。レース巧者ぶりを発揮し、崩れない候補であることを示したが、うまく内枠から流れに乗せた横山典弘騎手の手腕によるところが大きい印象が残った。一戦ごとに確実にパワーアップしているのは事実だが、皐月賞は9戦目なる。
近年の皐月賞は、4〜6戦目に勝つ馬が大半で、近年もっとも皐月賞制覇までのレース数が多かったのは2006年メイショウサムソンの「10戦目」。トップナイフは非常にタフなので大丈夫と思えるが、さらにスケールアップが望めるかがカギになる。
3着に快走したのもキャリア2戦だけだった新星ワンダイレクト(父ハービンジャー)。
最後に内からトップナイフに差されたのはキャリアの差だったと思える。皐月賞の出走権を得たので出走するはずだが、騎乗したC.ルメール騎手は求めるものが大きいためか「距離は1800mくらいがベストかな…」と、微妙な口ぶりだった。
獲得賞金から皐月賞出走可能なグリューネグリーン(父ラブリーデイ)は、レース間隔が空いたせいか、パドックに入った時からずっとチャカつき気味。ハナを切ってレースを先導するかと思えたが、肝心なダッシュもう一歩。先行できなかった。
上がり最速の34秒2で突っ込んできた4着アームブランシュ(父キズナ)、34秒4で差を詰めてきた5着フォトンブルー(父ハーツクライ)は、皐月賞優先出走の権利は獲得できなかったが、5月28日の日本ダービーにはまだ2カ月半も時間はある。