血統面から裏付けされるアグリのスプリント適性
重馬場だった2020年は、降着になった4着馬まで同タイム1分08秒7。同じ重馬場だった2021年は、「クビ、クビ」差の決着で1分09秒2-3。さらに重馬場が連続した2022年の上位は「クビ、ハナ、クビ、クビ」差で1分08秒3-4。今年も渋馬場は避けられない。大接戦が予測される。1分08秒台ならどの馬でも台頭できるからだ。
伏兵アグリの父系は、起点の大種牡馬ストームキャット(ナムラクレアの母の父)は、4勝中3勝が6Fだった。その直仔ヘネシーも4勝中3勝が6F以下。さらにその直仔ヨハネスブルグも6F以下は6戦5勝。さらにその直仔のスキャットダディも6F以下は2戦2勝で、2019年の勝ち馬ミスターメロディの父となり、今年はロータスランドの母の父に登場する。
さらに次の世代の直父系種牡馬で、アグリの父カラヴァッジオの全7勝は6F以下に集中する(うち3勝が欧州の重馬場)。重要なサイアーラインは距離の幅を広げる。大種牡馬ストームキャット系もそうだが、その中でスプリンター能力を失わない分枝がアグリに連なる父系ラインといえる。
阪急杯1400mで先頭に立った1200m通過は、まだ余力を残して1分07秒6だった。もちろん1200mで0勝は大きな死角だが、1400mを乗り切れるくらいでなければ、GIの1200mは苦戦するのも事実であり、アグリの場合は1200m1分07秒6の隠れた記録から、実は1200mの方が本当の適距離の可能性もある。
アグリの属するファミリーの牝馬で日本でも知られるのは、JRAレコード1分06秒5(当時)を樹立した後の欧州遠征で、1999年のアベイドロンシャン賞5F(仏G1)を制したアグネスワールド(武豊)の、小差2着だった牝馬インペリアルビューティ。
この牝馬は2年後の2001年、当時は欧州に拠点を移していた武豊騎乗で不良馬場のアベイドロンシャン賞を勝ってみせた。アグリは母方も短距離向き牝系に近い。
もちろん強敵はナムラクレア(母の父ストームキャット)、好仕上がりのメイケイエールだが、日本では代を経てから逆に評価の高まったストームキャットの血を血統図の中に持つ馬が、今年はロードカナロア産駒を中心に8頭もいる。母の父にスキャットダディが登場するロータスランド(重・不良馬場で3回連対)は穴馬にマークしたい。