データから見る近年の牝馬評
今週の大阪杯では、4歳牝馬のスターズオンアースが1番人気になるかもしれない。5歳牝馬のジェラルディーナも上位人気に食い込むだろう。
ここ10年ほどの間に競馬を始めた方には想像できないだろうが、日本の競馬ではかつて、牝馬が牡馬を相手に中長距離のGIを勝てない時代があった。
1200mや1600mではそれなりに走れていたのだが、芝2000m以上のJRA全性・牡牝GIとなると、1989年ジャパンカップのホーリックスから1997年天皇賞秋のエアグルーヴまで8年飛び、そこから2005年宝塚記念のスイープトウショウまでまた8年飛んでいる。
ホーリックスは外国調教馬だから、日本調教馬に限るとエアグルーヴの前は1980年天皇賞秋のプリテイキャストまで遡り、これはグレード制導入前の話になる。
そういった時代を経験すると、どうしても「牡馬相手のGIで人気の牝馬」には身構えてしまう。では、実際のところ「牡馬に挑む牝馬」はどの程度の成績をあげているのだろうか?
ウオッカがダービーを勝った2007年を起点に数えると、3歳GI(NHKマイルCを除く)を勝った牝馬はのべ50頭・重複があるので実頭数は37頭。それらの馬の成績は、
となっており、データを見るといまの時代に嫌う必要はないということが分かる。ただ牡馬を相手に芝2000m以上のGIに出た馬の絶対数が18頭、連対したのは7頭で「超のつく限られた名牝が数字を引き上げた」とも考えられる。あとはスターズオンアースがそのような名牝の1頭なのかどうか、ということになるだろう。
ここまで書いておいても古い人間である筆者はスターズオンアースを本命にする勇気は出ないかもしれないし、本命にするとジェラルディーナと牝馬が2頭絡む買い目が多くなるので、それを避けるため敢えて本命にしないかもしれない。それでもとりあえず、「昔のイメージを引きずって牝馬を侮ってはいけない」ということを確認できたのはよかった。