脚質と距離経験が重賞な大阪杯(c)netkeiba.com、撮影:高橋正和
GIIからGIに昇格して、今年で7年目になる大阪杯。2021年は1番人気・コントレイルと2番人気・グランアレグリアの対決で未曽有の盛り上がりを見せ、2022年は1番人気・エフフォーリアと2番人気・ジャックドールの対決が大いに注目された一戦です。しかしこれら4頭はいずれも該当年の大阪杯では人気ほどに走ることはできませんでした。
大阪杯を予想する上で、肝となりそうなデータは2つ。脚質と距離経験です。それも単純な前走脚質や前走距離ではなく、大阪杯に出走する各馬がこれまでに歩んできた全レースが対象となります。まずは脚質面からの特徴を探ってみましょう。
■大阪杯、1コーナー2番手以内を経験している馬の成績
あり 189戦【11-13-13-152】勝率6% 単勝回収41%
なし 91戦【11-9-9-62】勝率12% 単勝回収203%
※2001年以降、JRA成績のみ。
GI出走馬ともなれば普通に走っているだけでも(スピード能力の違いから)条件戦などでは自然と4コーナーで先団に付けることになる馬も多いのですが、レースの序盤、最初から前へ前へと行くような馬の大阪杯成績は芳しいものではありません。
きっとこのデータを意外だと思う方も多いはずで、それが大阪杯が荒れ傾向となっている一因でもあるのでしょう。レースキャリアの中で、1度でも“1コーナー2番手以内”のレースを経験している馬は対象です。
もちろん、大阪杯がGIになって以降もこの傾向に変わりはありませんし、先に挙げたコントレイル、グランアレグリア、エフフォーリアとジャックドールの(人気で敗れた)4頭も、1コーナー2番手以内を経験している馬たちでした。
今年の特別登録馬の中では下記の9頭が対象となります。大阪杯の予想はここをスタート地点と考えているのですが、今年も上位人気が想定される馬の多くがこのグループに含まれてしまう辺りは、大きなポイントになってくるのではないでしょうか。
■2023年大阪杯、1コーナー2番手以内を経験している出走予定馬
ヴェルトライゼンデ
ジェラルディーナ
ジャックドール
ダノンザキッド
ノースザワールド
ノースブリッジ
ヒシイグアス
マリアエレーナ
モズベッロ
2つ目に紹介したいデータは距離経験。ウマい馬券では、ここから更に踏み込んで大阪杯を解析していきます。印の列挙ではなく『着眼点の提案』と『面倒な集計の代行』を職責と掲げる、岡村信将の最終結論にぜひご注目ください。
■プロフィール
岡村信将(おかむらのぶゆき)
山口県出身、フリーランス競馬ライター。関東サンケイスポーツに1997年から週末予想を連載中。自身も1994年以降ほぼすべての重賞予想をネット上に掲載している。1995年、サンデーサイレンス産駒の活躍を受け、スローペースからの瞬発力という概念を提唱。そこからラップタイムの解析を開始し、『ラップギア』と『瞬発指数』を構築し、発表。2008年、単行本『タイム理論の新革命・ラップギア』の発刊に至る。能力と適性の数値化、できるだけ分かりやすい形での表現を現在も模索している。
1995年以降、ラップタイムの増減に着目。1998年、それを基準とした指数を作成し(瞬発指数)、さらにラップタイムから適性を判断(ラップギア)、過去概念を一蹴する形式の競馬理論に発展した。『ラップギア』は全体時計を一切無視し、誰にも注目されなかった上がり3ハロンの“ラップの増減”のみに注目。▼7や△2などの簡単な記号を用い、すべての馬とコースを「瞬発型」「平坦型」「消耗型」の3タイプに分類することから始まる。瞬発型のコースでは瞬発型の馬が有利であり、平坦型のコースでは平坦型に有利な流れとなりやすい。シンプルかつ有用な馬券術である。