勝馬率は驚異の64%「母方にゴーンウェストを持つドゥラメンテ産駒」が大成功
先週の血統ピックアップ
・4/9 桜花賞(GI・阪神・芝1600m)
出脚がつかず後方からレースを進めたリバティアイランドが、直線で大外に持ち出すと鮮やかに差し切りました。2着コナコーストとの差はわずか3/4馬身ですが、先に行った馬、内を回った馬が有利な馬場コンディションでこの勝ちっぷりは衝撃的です。
父ドゥラメンテは昨年のスターズオンアースに続き2年連続の桜花賞制覇。母ヤンキーローズは南半球のオーストラリアで誕生し、同国で芝1400mと2000mのG1を勝ったあと、日本に輸入されました。
母方にゴーンウェストを持つドゥラメンテ産駒は大成功しており、出走馬わずか25頭からタイトルホルダーと本馬がGIを制覇したほか、勝馬率64%、2勝以上馬率40%という驚異的なアベレージを誇ります。2代母コンデサールは名牝ベストインショー3×4で、リバティアイランド自身はベストインショーの孫にあたるトライマイベストとエルグランセニョールの全兄弟クロス(5×4)を持つ、という見事な組み立てです。
ちなみに、女傑アーモンドアイは、トライマイベストとロッタレースの4分の3同血クロスを持っていたので、リバティアイランドとアーモンドアイは配合的な骨格がよく似ています。休み明けの今回は目いっぱいの仕上げではなく、血統的に距離が延びたとしても問題ないタイプ。そしてなにより、現時点で他馬との相対的な力量差がきわめて大きいので、同世代の牝馬が相手ならどの距離であろうと当分負けることはなさそうです。
・4/8 ニュージーランドT(GII・中山・芝1600m)
好位につけたエエヤンが直線で危なげなく抜け出しました。父シルバーステートにとってウォーターナビレラに次ぐ2頭目の重賞勝ち馬で、2世代連続で重賞勝ち馬が誕生したことになります。初年度の種付け料は80万円、2年目が100万円と安く、繁殖牝馬のレベルもそれなりのものでしかありませんでしたが、すでに重賞で馬券圏内に入った馬は上記の2頭を含め6頭を数えます。昨年から種付け料は600万円に上がっており、繁殖牝馬の質も改善されています。現当歳がやがてどんなパフォーマンスを繰り広げるのか楽しみです。
本馬はプレイアンドリアル(京成杯)の半弟。父がディープインパクト系、母の父がティンバーカントリーですから、京都大賞典など重賞を3勝したラストインパクト(父ディープインパクト、母の父ティンバーカントリー)に似ています。また、2代母シルクフレアーは「ダンジグ×アリダー」という組み合わせですが、2代父ディープインパクトはこの組み合わせを抱えた配合が成功しており、たとえばジェンティルドンナの母の父ベルトリーニ、サトノダイヤモンドの母の父の父ルアーは、いずれも「ダンジグ×アリダー」です。
ティンバーカントリーを持つなど全体的にパワー色が強めの配合なので、少し渋った馬場も良かったのでしょう。シルバーステート産駒は中山で抜群の成績を残し、東京は不振なので、NHKマイルCでは過信できません。
今週の血統注目馬は?
・4/15 天満橋S(3勝クラス・阪神・ダ1400m)
阪神ダ1400mと相性のいい種牡馬はディストーテッドヒューマー。連対率26.1%は、2013年以降、当コースで産駒が20走以上した136頭の種牡馬のなかで第3位。当レースにはメイショウヒューマが登録しています。前走はレース間隔があいて馬体重が500kgとデビュー以来最高でした。一度叩いた今回は絞れているはずなので一発の魅力十分です。
今週の血統Tips
2023年の総合リーディングサイアーは、桜花賞終了時点で1位ロードカナロア、2位ドゥラメンテ、3位ディープインパクトの順。昨年まで11年連続首位の座にあったディープインパクトは、海外でもG1を30勝しており、国際的にもきわめて高い評価を得ていた大種牡馬でした。
しかし、2019年に死んでしまったため、今年は稼働産駒数が少なく、首位を維持するのは困難な状況です。そろそろPOGの季節がやってきますが、どの2歳馬を指名したらいいのかという点に関して、数年前まではディープ産駒の良血馬から選ぶのが常識でした。ところが、この大黒柱を失ってしまったいま、代わりの種牡馬が見当たりません。その結果、良血牝馬の交配相手が分散してしまい、以前に比べて当たりを見つけるのが難しくなっています。
なおかつ、ノーザンファームの獲得賞金シェアが少しずつ下がり、社台ファーム以下が盛り返している状況なので、ノーザンファームの馬だけ検討すればいいという時代も過去のものとなった感があります。大混戦時代に突入したPOGは、それだけにおもしろいといえるかもしれません。