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【フローラS】この難しいルートでオークスの道は開くのか

  • 2023年04月22日(土) 12時00分

狭き門を通過するのは


 フローラSをステップにオークス馬に、このルートで頂点に立てた牝馬はそうはいない。だが、狭き門でも、ここを通るしかないものにとっては、このチャンスをつかむしかない。当時の4歳牝馬特別から現在のフローラSとレース名が改められたのは2001年。それ以来22年間で3頭が、このトライアルを経てオークス馬に輝いている。その数少ないサクセスストーリーを辿ってみたい。

 初めて日本のクラシックレースを勝った外国人騎手は、アメリカのケント・デザーモ騎手で、その2001年のオークスのレディパステルだった。2000米のミモザ賞を快勝し、フローラSで2着に入って本番への出走権を得ていた。このトライアルでデザーモ騎手は初めて騎乗したが、ペースが上がらない向正面で馬が少し行きたがるのを引っ張り気味になり、それが最後の伸びを欠く原因になっていた。ケンタッキーダービー2勝で4000勝ジョッキーの名手は、オークス本番ではこれを考慮し、スタートで押していくと行きたがるのでやや立ち後れ気味にだし、後方で折り合うことに専念していた。直線ではデザーモ騎手の本領とも言える力強いアクションでレディパステルをオークス馬に導いていたのだった。

 2頭目は、2010年のサンテミリオンで、アパパネとの同着で栄光をつかんでいた。年明け1月にデビューし、連勝してフラワーC3着、そして4戦目にフローラSを勝って目標としたオークス馬になっていた。2000米、1800米と走らせ、フローラSでは大外枠から出て2番手で折り合いをつけていたが、オークスでも最外枠で内には潜り込めず中団の外目でうまく折り合いをつけていた。そして4角から仕掛け気味に進出し、桜花賞馬アパパネとの同着という、GI史上初の決着を生んだのだった。遅いデビューながら、着実にオークスへの道のりを歩んできたという印象だった。

 そして3頭目は、2年前のユーバーレーベンになる。デビューは6月の新馬戦1800米と早かった。白毛のソダシと同期で、阪神JF、年明けの始動となったフラワーC、そしてフローラSと重賞は3戦連続3着に終わっていた。疝痛でチューリップ賞が使えず、早目にオークスを目標に切り換えていたが、エンジンのかかりが遅く、フローラSでは開幕週の馬場で位置取りの差が出ていて、上がり3ハロン33秒2を駆使したが2着にハナ届かなかった。それでも2戦目の札幌2歳S2着で賞金が加算されていて、オークスに出走できていた。2走続けて減っていた馬体が回復し、外目から脚を伸ばし、ダンスパートナー以来史上3頭目の1勝馬のオークス制覇になっていた。

 今年の顔ぶれでは唯一の2勝馬キミノナハマリア、母がオークス馬のイングランドアイズ、粘り強いゴールドシップ産駒ゴールデンハインドをマークしたい。

「この切符 期待できるか 本番も」

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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