父譲りの鋭い決め手でマイラーズCを勝利したシュネルマイスター
先週の血統ピックアップ
・4/23 フローラS(GII・東京・芝2000m)
好スタートからハナに立ったゴールデンハインドが後続を突き放して逃げ切りました。昨年7月に福島で未勝利戦を勝って以来、久々の2勝目が重賞勝ちです。父ゴールドシップは有馬記念、天皇賞・春、宝塚記念(2回)、菊花賞、皐月賞と6つのGIを制覇した名馬。その父ステイゴールドは三冠馬オルフェーヴルをはじめ牡馬を中心に大物を送り出しましたが、息子のゴールドシップはそれとは正反対で、ゴールデンハインドを含めた5頭の重賞勝ち馬のうち4頭は牝馬です。また、連対率、1走あたりの賞金額とも、牡馬よりも牝馬が上回っています。
オークスの成績は良好で、代表産駒のユーバーレーベンは勝利し、ウインマイティーは13番人気ながら3着と健闘しています。ゴールデンハインドの母オレゴンレディはアメリカで芝9ハロンのG3を勝ったほか、カナダで行われたポリトラック12ハロンのステークスで2着となっているので、2ハロンの距離延長は問題ないでしょう。
・4/23 マイラーズC(GII・京都・芝1600m)
後方に控えたシュネルマイスターが直線で外から鮮やかに差し切りました。3歳秋の毎日王冠以来、約1年半ぶりの勝利です。
父キングマンは欧州年度代表馬に選出された名マイラー。ゴール前で繰り出す鋭い決め手が持ち味でした。種牡馬としても非凡で、パーシャンキング(ムーランドロンシャン賞、仏2000ギニー、イスパーン賞)、パレスピアー(ジャックルマロワ賞2回などマイルG1を5勝)といった名マイラーを出して成功しています。今年の英3歳牝馬戦線にもコミッショニングという大物(フィリーズマイルを含めて3戦全勝)がいたのですが、残念ながら故障により引退してしまいました。
サドラーズウェルズもデインヒルも持たず、比較的軽めの血で構成されているため、日本に輸入された産駒も好成績を挙げており、本馬のほかにエリザベスタワー(チューリップ賞)、ダノンジャスティス(デイリー杯2歳S-4着)、イングランドアイズ(フローラS-4着)などが出ています。本馬はドイツオークス馬セリエンホルデを母に持ち、サリオスやサラキアが出たドイツの名牝系に属しています。いずれ種牡馬となった際も魅力十分です。
今週の血統注目馬は?
・4/30 ブリリアントS(L・東京・ダ2100m)
東京ダ2100mと相性のいい種牡馬はメイショウボーラー。連対率31.8%は、2013年以降、当コースで産駒が20走以上した72頭の種牡馬のなかで第2位で、当レースに産駒が出走している種牡馬のなかではナンバーワン。キタノヴィジョンはメイショウボーラー産駒。母グリーンオリーヴの半兄にJRA賞最優秀ダートホースに選出されたメイショウホムラがいます。前走のマーチSは11番人気ながら3着と健闘しており、上り調子で臨むここはチャンスでしょう。
今週の血統Tips
20年11月に京都競馬場がリニューアル工事に入るまで、ディープインパクト産駒は京都芝3000m以上のGIレース(菊花賞と天皇賞・春)を5連勝していました。
18年菊花賞…………フィエールマン
19年天皇賞・春……フィエールマン
19年菊花賞…………ワールドプレミア
20年天皇賞・春……フィエールマン
20年菊花賞…………コントレイル
京都芝はディープインパクト産駒が最も得意とするコース。勝率、連対率、複勝率とも、全10場のなかでトップの数値を記録しています。京都競馬場の長距離戦は、スタミナに加えてラストの決め手も問われるので、瞬発力に強みのあるディープインパクト産駒にとって向いた舞台といえるでしょう。
ちなみに、ディープインパクトのミオスタチン遺伝子は、TT型と推定されています(産駒にCC型がいないため)。同遺伝子はサラブレッドの距離適性に関わっており、CC型(短距離)、CT型(中距離型)、TT型(長距離型)の三種類に分類されます。ディープインパクト産駒は気のいいタイプが多いので、どの距離でもまんべんなく走っているのですが、自身の本質的な資質は長距離型というわけです。今回の天皇賞・春は、ディフェンディングチャンピオンのタイトルホルダーをめぐる争いとなりそうですが、メンバー中最多の5頭が登録しているディープインパクト産駒がどこまでやれるかにも注目です。