▲ララクリスティーヌとのコンビでヴィクトリアマイルに挑む菅原明良騎手 (C)netkeiba.com
春の東京開催では早々に7勝を挙げ、いいリズムに乗ることができたと話す菅原明良騎手。ララクリスティーヌとのコンビでは6戦して6連対と相性バツグンで、人馬ともに初のGIタイトルを狙います。
ララクリスティーヌは波がなく堅実。いつもいい状態に仕上がっていて、「今回は少し落ちているかな」というようなことを感じたことがないと言います。
そして、自身の初重賞制覇となったカラテと重なる部分も…?
(取材・文=赤見千尋)
狭いところも怯まず抜けてこられる強さがある
──前走の京都牝馬Sはハナ差で差し切りました。レースを振り返ってください。
菅原 前半はいつものように元気が良くて、ちょっとなだめるような形でした。右回りというか、阪神の内回り1400mのようなコースだと、コーナーから仕掛けていく流れになるわけですが、その時に勝負所で少し手応えが甘くなるところがあるんです。でも今回はスムーズでしたし、直線の伸び脚は素晴らしかったですね。想定していたよりも1列後ろの位置取りになってしまいましたが、よく差し切ってくれました。
▲京都牝馬Sで重賞初制覇となったララクリスティーヌ(右) (C)netkeiba.com
──最初にララクリスティーヌとコンビを組んだのは2021年10月新潟の寺泊特別(2勝クラス)でした。その頃と比べて変化というのは感じますか?
菅原 最初に乗せていただいた時からいい馬だなと感じましたし、特に切れのあるいい脚を使うという印象がありました。どこかが大きく変化したというよりも、全体的にパワーアップしていると思います。
──この馬の武器、強さの要因というのはどの辺りでしょうか?
菅原 ある程度前目の位置を取った中で、終いもキレる脚が使えるので競馬がしやすいです。体の能力的な部分も高いですし、気性的な部分もとても競馬向きだと思いますね。牝馬ですが狭いところも怯まず抜けてこられる強さがありますし、いつも真面目で一生懸命走ってくれる馬です。
真面目だからいいというわけではなくて、難しいのは真面目な子ほど使っていくうちに気持ちがどんどん後ろ向きになってしまったり、女の子ですから気性的に難しさが出てきてしまう場合もあるのですが、この子はそういうところがなく、素直で一生懸命。毎回毎回真剣に走ってくれるので、そこが一番の強さだと思います。
▲牝馬ですが狭いところも怯まず抜けてこられる強さがあります (C)netkeiba.com
若手騎手の活躍も刺激に「団野は競馬学校時代の同期」
──ヴィクトリアマイル(東京1600m)はキャピタルSでオープンを勝った舞台です。
菅原 先ほどもお話ししましたが、コーナーで急かして加速していくよりも、持ったまま直線に向かっていける東京コースは合っていると思います。もちろん阪神の内回りも合わないわけではなくて、勝負所で一瞬手応えが甘くなるだけで、ピッチ走法ですし小回りにも対応できる器用な馬です。ただ広い東京の方がより競馬がしやすいというのはありますね。
▲東京1600mではキャピタルSを勝利 (撮影:下野雄規)
──これまでコンビを組んだ6戦ですべて連対と、菅原騎手と相性バツグンですね。
菅原 こういう馬に出会えて、継続的に乗せていただき、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。水曜日に1週前追い切りで栗東に伺った時、斉藤崇史調教師ともお話ししたんですけど、いつもいい状態に仕上げて下さるので、ちょっと今回は少し落ちているかな、というようなことを感じたことがないんです。波がなく堅実にいつも一生懸命頑張ってくれるというのも、この馬の大きな武器ですね。1週前追い切りの感触もすごく良かったですし、いい状態でGIに挑めると思います。
──昨秋から若手騎手の初GI制覇の流れが続いていますが、意識していますか?
菅原 GI制覇というのは目標の一つですし、若手の騎手の勝利はすごく刺激になります。(坂井)瑠星さん(2022年秋華賞で初GI制覇)とは僕が小学生の頃から中山競馬場の乗馬クラブで一緒に乗っていましたし、団野(大成騎手、2023年高松宮記念で初GI制覇)は競馬学校時代の同期ですから。
僕自身、今年は勝てない時期が続いていたんですが、春の東京開催が始まって7つ勝たせていただいて、フローラS(7番人気ゴールデンハインド)も勝つことが出来ました。やっといいリズムに乗ることができてホッとしているところです。このいい流れに乗って、大きいレースでアピールできればと思います。
▲フローラSを7番人気ゴールデンハインドで勝利 (撮影:下野雄規)
──それでは最後に、ヴィクトリアマイルへの意気込みをお願いします。
菅原 京都牝馬ステークスを勝ったことで、堂々とGIへ駒を進めることが出来ました。条件クラスから一緒に階段を上ってGIへ、というのは、僕が初めて重賞を勝たせていただいたカラテと重なる部分がありますし、いいタイミングでいつも乗せていただいて、チャンスをいただけて本当にありがたいです。
この馬の成長に負けないよう、自分自身もステップアップしていきたいです。ヴィクトリアマイルはメンバーも揃っていますから、ここでいいところを見せられるよう頑張ります。
▲この馬の成長に負けないよう、自分自身もステップアップしていきたい (撮影:下野雄規)
(文中敬称略)