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競走中止したタイトルホルダーへの本音「勇気を持って止めたから、異常なしで済んだのかもしれん」

  • 2023年05月09日(火) 18時01分
太論

▲まずは先週の振り返りから (撮影:桂伸也)


先週の土曜日は、小牧騎手の目の前で加矢太騎手が6勝目を決めました。そして翌日にも勝利を積み上げ、ついに障害リーディングトップに! 快進撃を続ける息子を前に、はたして父の胸中とは!?

そのほか、先週のレース回顧、ユーザーからの質問など、今回も盛りだくさんの『太論』。タイトルホルダーの競走中止についても、ジョッキーの本音を明かしてくれました。

(取材・文=不破由妃子)

加矢太騎手が7勝目「ケガさえせんかったら、リーディング争いできる」


──先週は、加矢太さんが土日で2勝。土曜日は同じ新潟にいて、初めてバレットのひかりさんと揃って加矢太さんの勝利を目の前で見届けたそうですね (5月6日・新潟4R・障害4歳上未勝利・ハンディーズピーク)。

小牧 そうそう。1着のところで、初めて3人が揃ったわ。なんとも言えん気持ちになった。

──応援にも、いつも以上に力が入ったのではないですか?

小牧 うん。ちょっと危なかったからね、飛びが。検量室でヒヤヒヤしながら見てたわ。

──初障害の馬でしたからね。で、加矢太さんは、翌日の新潟4R (障害4歳上未勝利・ショウナンバルディ)も勝って。これが今年7勝目で、ついに障害リーディングのトップに立ちました。

小牧 障害で土日勝利なんて、ただでさえなかなかないことやし、しかも7勝目やからね。レースを見ていても、上手いこといってるのがわかるし、いい感じや。あとはケガをせんようにね。ケガさえせんかったら、リーディング争いはできるでしょう。

太論

▲5/7(日)新潟4Rをショウナンバルディとのコンビで勝利した加矢太騎手 (撮影:小金井邦祥)


──では、先週のレース回顧を。

小牧 こっちは上手いこといかんねぇ。もうひとつ…。

──土曜日のキャロリン(5月6日新潟6R・3歳未勝利・芝1200m12着)は、道中の行きっぷりはよく見えたんですけどね。

小牧 ああ、だいぶよくなってるよ。馬体が増えた (プラス10キロの410キロ)のもよかった。ここまで3戦、芝1200mを使っているけど、ダートのほうがやっぱりいいんじゃないかな。ダートやったら、もうちょっとやれるんちゃうかなと思うんやけどね。なんせ、体が減らんことが条件やね。

──日曜日のハワイアンパレスは、初めて芝のレースを使って(5月7日京都4R・3歳未勝利・芝1600m9着)。

小牧 初芝だったけど、すごい馬場やったからなぁ。ダートみたいな馬場やった。

──でも、ダートに比べて追走が楽そうに見えましたが。

小牧 うん。ダートよりはいい走りをしていたから、芝のほうがいいと思う。でも、ちょっと距離が長いわ。最後は止まった。次に使うとしたら、芝1400mやね。

──タイムリミットが近づいてきているなかではありますが、2頭とも好転しそうな条件があるのは希望ですね。

小牧 そうやね。次こそは…と思えるからね。

──そういえば見ましたよ、『カンテレ競馬』 (関テレのYouTubeの公式チャンネルで、田中学騎手と加矢太さんと共演!)。

小牧 ああ、おもしろかったでしょ? 半日のロケだったけど疲れた…。2本録りで、後半が田中学とのトークだったんやけど、後半の僕、ちょっと疲れてたでしょ (苦笑)。

──リラックスしているなぁと思いました (笑)。

小牧 座って休憩してた (笑)。でも、ああいう機会は少ないからね、楽しかったよ。

──けっこうご覧になったファンの方も多いようで、質問がいくつか届いていました。「園田屋さんのおでん、僕も好きです! 大根をオススメされていましたが、小牧さんはどういうタイミングで園田屋さんに行ってたんですか?」。

小牧 あのね、調整ルームに持ってきてくれたりとかしててん。あと、開催がない日は営業してないんやけど、あのへんで花見をするときとか、プライベートで呼んでくれたりしてたから。長い付き合いやからね。もう友達みたいな感覚で付き合ってた。
 ここ1、2年のことだと思うけど、奥さんが亡くなりはってね。そのお母さんが元気のいい人で、ようしてくれたんやわ。だから、ちょっと寂しくなったね。

──そうでしたか。今まであんまり思ったことがなかったんですが、画面を通して小牧さんと加矢太さんを見ると、やっぱり似てますね。

小牧 そりゃあ、親子やから (笑)。加矢太との馬券対決も盛り上がったので、まだ見ていない方はぜひ見てください。

──では、もうひとつ質問を。「天皇賞・春では、タイトルホルダーが競走を中止しました。でも、検査結果は異常なし。そういうことって、よくあることなのでしょうか」。

小牧 よくあることではないけど、歩様が硬かったんちゃうかな。すごく微妙な感覚やけど、なんとなく気持ちが悪い…みたいなことはあるよ。

太論

▲天皇賞(春)で競走中止となってしまったタイトルホルダー (ユーザー提供:Ruさん)


──それもひとつの故障につながる兆候なんですよね。

小牧 うん。結果的に骨折したりして、「ああ、やっぱりか…」となった経験もある。明らかに悪ければ迷わず取り消すけど、大したことがなかったら、簡単に取り消されへんからね。これは本当に難しいところやで。

 出走を止める判断をするのも、レースを途中で止めるのも、勇気がいること。勇気を持って止めたから、異常なしで済んだのかもしれんしね。

(文中敬称略)
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。2024年には再度園田競馬へ復帰し、活躍中。史上初の挑戦を続ける。

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