距離延長と長い直線を味方に付けたい
ずば抜けた末脚を武器に阪神ジュベナイルF、桜花賞と、ここまで同世代のGIを連勝してきたリバティアイランドの牙城は揺るぎないように見える。
このケースでオークスに出走した馬は、これまでに5頭いたが、オークスを制したのはブエナビスタ、アパパネ(1着同着)の2頭のみで、条件ががらっと変わるここで勝利するのは、本当はたやすいことではないということも承知しておきたい。
他の3頭は、1992年のニシノフラワーが7着、2001年のテイエムオーシャンが3着、そして2年前のソダシが8着だったが、どれも短距離からマイル色の濃い馬だった。一気にのびる距離への対応をどの馬も取っているが、2009年、10年のブエナビスタ、アパパネは、コースを長めに乗る調教をやっていたことが思い出される。そして、それに応える資質をそなえていたこともつけ加えておきたい。
今年のリバティアイランドは、父が2冠馬ドゥラメンテであることは心強い。前に行ってインを通った馬が有利な馬場の桜花賞で、16番手からこの馬場傾向をくつがえす上がり3ハロン、32秒9の最速で駆け抜けた力は確かに抜けていた。
この10年のオークス馬をみると、上がり3ハロンが最速だったものが7勝もしている。そして他の3頭も、レースでは上位の末脚を見せていた。東京の長い直線を味方につけられることが大きなポイントと言える。
では伏兵にあてはまる条件にはどんなものがあるかだが、この10年で7番人気以降で3着までに入った馬は、全部で6頭。2着には、4年前のカレンブーケドール(12番人気)、3年前のウインマリリン(7番人気)、昨年のスタニングローズ(10番人気)がおり、3着には3年前のウインマイティー(13番人気)、2年前のハギノピリナ(16番人気)が名を連ねている。そしてこの全てが、前走の1800米以上のレースで勝っていた。充実一途の上昇馬に目をやるのもひとつの手と言える。
この2年は1番人気馬が敗れているが、その結末も見ておこう。去年のサークルオブライフは12着だったが、放馬があってスタートが15分も遅れ、長く待たされた影響を受けてしまっていた。桜花賞は16番枠で仕掛けが遅れ4着だったが、阪神ジュベナイルF1着が評価されていた。
2年前はソダシが5戦全勝で桜花賞を勝っていたが、距離のカベが立ちはだかり、4角6位から直線残り200米までは脚を伸ばしたが、失速して8着に終わっていた。吉田隼人騎手は「道中ガマンさせることもやってきたが、やはり距離ですかね」と語っていた。
総合して今年を占うと、リバティアイランドの中心は動かし難く、問題は相手さがし。成績の目立つ桜花賞組から距離を重視してハーパー、コナコーストを相手候補に。正攻法の戦いが生きるとみた。押さえにはソーダズリング、ドゥアイズの先につけて渋太い馬を考えておきたい。
「強すぎる 次元の違う 末の脚」