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【オークス回顧】僕は今、自分の物差しでは計り切れないレベルの馬と過ごしている──月刊 川田将雅

  • 2023年05月25日(木) 18時03分
“VOICE”

▲リバティアイランドと制したオークスを振り返ります(撮影:下野雄規)


リバティアイランドとのコンビでオークスを制し、牝馬二冠を達成した川田騎手。

桜花賞に続き、今回も当日の様子から「こういう走りになるな」というのは想定通り。最後の直線では、先を見据えて無理のない範囲で最後まで動きを求めました。

川田騎手がご自身で「今までで一番重たい責任を背負っている」と話すリバティアイランドへの思いと、共同会見で行った異例の呼びかけについてもお話しを伺いました。

(取材・構成=不破由妃子)

今まで経験してきたことのすべてを一番いい形でこの馬に生かしたい


──リバティアイランドでの二冠達成、おめでとうございます。

川田 ありがとうございます。

──私たちは衝撃的な勝利を目撃したわけですが、川田さんは相変わらず、恐ろしいくらいに落ち着いていましたね。

川田 それが僕の仕事ですから。具合に関してなにも問題がなかったので、あとは桜花賞を使った影響がどの程度出るかなと。桜花賞を走ったことで、かなり気持ちにスイッチが入りまして、どうしてもテンションが高い時間が長かったので。とはいえ、桜花賞当日の彼女の雰囲気でどういう競馬になるかわかったのと同じで、今回も当日の様子から「こういう走りになるな」とわかっていました。

──ジョッキーカメラの映像の終盤で、迎えにきたスタッフさんに「気持ちが入っていたからずっと力んでいたけど、十分いい走りだった」と報告されていました。多少影響があったところであの結果ですから、「いい走りだった」という言葉がすべてなのかなと。

川田 気持ちが入った走りになることも含めて想定通りですが、それでもよく我慢して、リズムよくいい走りをしてくれたと思います。

“VOICE”

▲最高の結果に喜びを噛み締め、固い握手を交わした(撮影:下野雄規)


──そういえば、今回も舌鼓(ぜっこ)を駆使していましたね。

川田 ゲートのなかの雰囲気とゲートを出た瞬間の彼女のアクションに桜花賞のときのような緩慢さがあったので、ちょっとネジを締めるようなイメージで3、4回鳴らしました。桜花賞より進んでいくのは間違いなかったのですが、もうちょっとちゃんとバランス良く走るんだよっていうね。

──さて、直線ですが、後ろが離れることはわかっていたけれど、今後のことを考えて、あえて最後まで動きを求めたとのこと。

川田 あそこまでくると、もう負けることはないんですが、ジェンティルドンナ(2012年オークス)のときは僕も若かったので、勝ちを確信してからも強く追うことをやめることができなかった。でも、今回はまた違った意味で、まったく無理のない範囲で最後まで動きを求めました。

“VOICE”

▲「まったく無理のない範囲で最後まで動きを求めました」(撮影:下野雄規)


──二冠が懸かったGIの直線で、すでに先を見据えた走りをさせるなんて…。リバティのポテンシャルはもちろん、川田さんのその冷静さも、もはや異常ですね。

川田 リバティからすれば、ずっと1600mを走ってきたなかで、急に1.5倍の距離を走るわけです。もちろん、2400mを上手に走れるように厩舎スタッフが日々を積み重ねて作ってきたのですが、はたして2400mという距離がこの馬にとってどうなのか、それは実際に走ってみなければわからなかった。

 今回のオークスに限らず

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1985年10月15日、佐賀県生まれ。曾祖父、祖父、父、伯父が調教師という競馬一家。2004年にデビュー。同期は藤岡佑介、津村明秀、吉田隼人ら。2008年にキャプテントゥーレで皐月賞を勝利し、GI及びクラシック競走初制覇を飾る。2016年にマカヒキで日本ダービーを勝利し、ダービージョッキーとなると共に史上8人目のクラシック競走完全制覇を達成。

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