競馬の祭典・日本ダービーが開催された5月。一般財団法人ホースコミュニティ(旧サンクスホースプロジェクト)の設立10周年記念式典に参加された常石さん。馬と人の関わりといのちの大切さを改めて学んだそうです!
今年のダービーは、90回目のメモリアル開催!
3歳馬7708頭のうち18頭が選ばれ、その頂点を狙う日本ダービー(GI・芝2400m)。名馬・名勝負はいつの時も語り継がれていますよね。競馬界の人だれもが夢見る舞台。
タスティエーラ陣営の皆様おめでとうございます。この瞬間に乾杯!
▲今年のダービー馬、タスティエーラ(撮影:下野雄規)
ダービーにかける思い…関係者それぞれにドラマがあり、ファンにとってもそれぞれの思いがあると思いますが、僕にとっても忘れられない思い出があります。
デビュー2年目に小倉3歳Sをタケイチケントウ号で制覇し、さあダービーへいくぞ! 出走させたい! と意欲満々でしたが、僕の経験不足と思いの甘さで走らせることができませんでした。ダービーとは、本当に難しいレースだと思う。思いは叶わぬまま落馬事故で引退という残念な結果になってしまいました。
2004年に小倉で落馬後、カメラマンの久保吉輝さんに「つねちゃん東京へダービー見に行くか?」と声をかけて頂き連れて行っていただいたこともありました。目の前を駆けるディープインパクト号の雄姿と武豊騎手の清々しい雄姿が、目に焼き付いています。ディープコールと豊コールが東京競馬場に響き渡っていました。
調整ルームに引きあげてきた豊騎手に「おめでとうございます」と声をかけると、「ディープは、すごい馬だよ。つねちゃんが乗っても勝てるくらいの馬だよ」とリハビリ中の僕に最高の励ましの言葉をかけていただきました。豊騎手のやさしさと心の深さに感謝しかありません。
最近では、ユーイチとコントレイル号のダービー制覇も、とっても格好よかったです。同期の誇りです。
僕にとってもダービーは、思い入れのあるレースです。今の僕のエネルギーになっています。形は変わっても馬での挑戦。パリパラリンピックは、僕のダービーなんですね。
角居勝彦元調教師が立ち上げた、引退した競走馬をセカンドキャリアへ繋げるため様々な活動をされている、一般財団法人ホースコミュニティ(旧サンクスホースプロジェクト)設立10周年記念式典に参加しました。
▲ホースコミュニティ設立10周年記念式典の様子
ホースコミュニティの目的は、『馬の持つ潜在能力を十分に理解し、馬と人の共生関係による活動を、医療、福祉、スポーツ、馬事、就労などにかかわる幅広い分野で普及、促進、することにより、国民の心身の健全な発展及び福祉の向上並びに社会の繁栄に寄与することを目的とする』。
引退馬支援やホースセラピーを行っている団体などを紹介し、金銭的負担の軽減や社会的ハンディを持つ方々への生きがい、リハビリテーションの選択肢の一つとして障がい者乗馬やセラピー乗馬を選択していただけるお手伝いをされています。
こういった活動から馬に関わり、馬に感謝し、障がい者や高齢者、子供たちだけでなく、幅広い層に馬事文化が浸透して、心身ともに健康な社会の構築につながってくれることを願っています。
▲旭堂南鷹さん、和田竜二騎手と
角居元調教師がご実家の石川県能登市の隣、珠洲市に乗馬クラブを作り引退競走馬とともに活動をされているので、僕も以前、少し参加させていただきました。
綺麗な海岸が近くにあるのですが、ゴミがいっぱいです。角居先生はいろんな施設の子供たちや地元の中学生と一緒に馬の鞍の横に籠をつけて海岸のゴミ拾いをし、お礼に馬と触れ合う機会を作っておられました。最初は怖々近づいていた子供たちも、ニンジンをあげたり顔をなでたりして少しずつ楽しんでくれるようになる様子を見て、僕もうれしかったです。
馬は人と共に生きる優秀な動物。このような地道な活動から輪を広げています。
リトレーニング中の馬たちは、競走馬の時は、レースに勝つために懸命に走ることを覚え頑張ってきましたが、リトレーニングでは、ゆっくり歩くことや、一定のリズムで歩く、いろんな人と仲良くなることを勉強しています。
気性の激しかったあの馬がこんなに穏やかな顔、穏やかな性格になるのかと驚きでした。リトレーニングの重要性を知りました。
記念式典に来られたJRA馬事担当理事・菊田淳さんは「JRAも活動を応援していきたいです」と述べられていました。
▲旭堂南鷹さん、角居先生、JRA馬事担当の菊田理事
滋賀県栗東市の武村市長や武豊騎手も、それぞれお祝いの言葉を述べられていました。
最後に角居元調教師からホースコミュニティを応援してくださった方への感謝状が贈られました。
最後に、「無駄な馬はどこにもいない。競走馬として結果が出せなかった馬、生まれてきても競走馬になれなかった馬たちも何か他にやれることがある。人の役に立ってくれるはずです。そんな思いから始めたこの団体がもっと必要になっていくことを願っています。
全国の馬ファンのご支援のお陰で引退馬支援活動が広がりを見せ、思いある馬主をはじめJRAからも支援をいただき活動しております。200頭を超える引退競走馬のセカンドキャリアとしての余生が広がりつつあります。
人と馬が身近にいる社会を目指して活動していく所存です」と締めくくられました。
障がい者馬術をしていることに誇りが持てる機会にもなりました。ドイツへ行ったときは3歳の子供が馬の上で寝そべっているのに驚きましたが、人と馬と共に生活し助け合っていることを実感しました。馬は昔から私たちを助けてくれ、ずっと共に生きてきたんですね。
この式典に参加させていただき、馬と人の関わりといのちの大切さを学びました。
先の先まで考えて活動される角居勝彦という人の大きさに心が揺さぶられ凄い凄いの連発でした。現役時にお会いでき、今もこうしてお会いできることに感謝です。
最後に「お母様にお花を持っていってあげて」と角居先生自ら花束をつくってくださりいただいて帰りました。オカンはビックリ仰天し喜んでくれました。感謝です。
オカン 角居先生には、現役時にもお世話になり取材活動の時もいつも快く話してくださり助かりました。馬の背にいる角居先生の顔はいつもにこやかで素敵な方です。
珠洲市にも一緒に行き息子の顔を見た瞬間「ドリちゃんに乗るか」と言ってくださり、嬉しそうに跨る息子を見たときは、思い切って来てよかったと思いました。その後も暫くお世話になりありがとうございました。また機会があれば珠洲市まで行きたいと思います。雪が深く地震なども多いようですが、馬たちの健康と先生の活動の発展を応援したいと思います。感謝。
(※文中敬称略、次回の更新は7/1(土)を予定しています)