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▲ユニコーンS出走予定のペリエールを管理する黒岩陽一師(撮影:下野雄規)
UAEダービーでは4着という結果に終わりましたが、黒岩厩舎の管理馬として初めての海外挑戦となったペリエール。この馬にとって距離が長いということは織り込み済みだったそうで、距離の克服をテーマに挑み、良い経験になったとのこと。
今回の舞台は2走前にヒヤシンスSを勝った東京ダート1600m。同舞台で行われる来年のフェブラリーSに向け、現時点でのペリエールへの期待をお話ししてくれました。
(取材・文=デイリースポーツ・小林正明)
「勝てると思っていました」強敵ユティタムを相手に3馬身半差の圧巻デビュー
──UAEダービーは4着でした。振り返ってください。
黒岩 この馬にとっては距離が長かったので、距離の克服に着眼点をおいたレースをしました。
結果的には前へ行った馬が強かったですね。ただ、3角から4角にかけて馬群の内でスペースがなくなって脚を余す形だったし、その状況下でも前が開いてからゴールまではいい脚を使ってくれました。その点は良かったと思っています。
──黒岩厩舎としては初めての海外遠征となりました。
黒岩 管理馬を伴っての海外遠征は初めてのことでした。私自身を含めて厩舎スタッフも準備段階からいい経験をさせてもらいました。
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▲UAEダービーではO.マーフィー騎手とコンビを組んだ(撮影:高橋正和)
──この中間の調整過程はどうですか。
黒岩 ドバイへの出国検疫でナーバスになり、馬体が減ってしまいました。現地に到着してからは落ち着いており、そこはいい経験になりましたが、数字が減ったままでの出走となったので、今回は馬体を回復させることに主眼をおいてやってきました。幸い、回復状態は良く、前走よりも馬体は増えています。
──5月31日と6月7日に美浦Wで併せ馬を行いました。
黒岩 レース2週前の段階では、この馬の課題でもある前のめりで走るようなところが見られましたが、1週前追い切りではバランスが整って、収縮性がありました。しまいはいくらでも伸びそうないい走りでしたね。気持ちと体がフィットしています。
──デビュー前のことをうかがいたいと思います。ペリエールを初めて見たときの印象はどうでしたか。
黒岩 体高がやや低く、その体高に対してすっと伸びのあるタイプだなと思いました。へニーヒューズ産駒のイメージにある筋肉質というよりは上品な体つきでしたね。
──2歳の6月と早い時期に美浦へ入厩しました。
黒岩 体質や体つきに関してすごくいいというわけではなかったけど、早めにトレセンへ入厩することができて、順調な調整ができました。
追い切りをこなしていく過程で時計を詰めることができたし、それでいてへこたれるところも見られない。その辺りは素晴らしいと思いました。
──デビュー戦は札幌ダート1700m戦。その後に3連勝で青竜Sを快勝したユティタムに3馬身半差をつけて勝ち上がりました。
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▲2着に3馬身半差をつける圧勝だったデビュー戦(撮影:高橋正和)
黒岩 予定していた1回札幌1日目の新馬戦で除外されたのですが、その段階から多頭数でも勝てると思っていました。
デビュー戦は2回札幌5日目になりましたが、うちの厩舎はしっかり乗り込んでレースに臨むスタンスです。十分に仕上がっていたので、いい競馬はできると思っていました。
──その後はオキザリス賞を強いレースぶりで完勝。重賞初挑戦となった全日本2歳優駿は、1番人気に推されたものの3着に敗れました。
黒岩 結果的には早仕掛けだったかもしれませんが、人気もしていたし、動き出しとしてはあそこがベターな選択だったと思っています。初ナイターや小回りなど、色々な部分を克服してくれたので、悲観する負け方ではなかったし、収穫のある一戦でした。
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▲色々な部分を克服し、収穫のある一戦だった全日本2歳優駿(撮影:高橋正和)
──ここまでを振り返ってこの馬のストロングポイントはどこになりますか。
黒岩 ダートでもいいスピードを発揮できるし、それに加えて精神面では理解力が高いです。肉体面だけで言うのであれば、スピードがあるため短距離馬になってしまう可能性があります。
ただ、この馬はそのスピードをコントロールできる精神力があります。スピードがある上に、学習能力が高くてまじめな馬です。
──今回は東京ダート1600m戦となります。
黒岩 短距離に向いてしまう可能性のある馬ですが、今は精神面に余裕があって馬体の緩さも解消しつつあり、体をしっかり使えて走ることができています。気持ちと体のバランスが取れている状態です。この舞台でヒヤシンスSを勝っていますし、1600m戦でレベルの高いパフォーマンスを見せられると思っています。
──今回の舞台ではGIのフェブラリーSが行われます。
黒岩 東京のマイル戦はGIが行われる舞台です。そこへ向かうためにも、現時点のペリエールがここでどんな走りを見せてくれるのか、確認の意味を含めて期待しています。
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▲ペリエールが勝利したヒヤシンスSは福永祐一元騎手の現役最後の勝利となった(撮影:下野雄規)
(文中敬称略)