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【#8】「笑って暮らすことは最低ライン」福永祐一元騎手の背中が“鬼嫁”を誕生させた

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  • 2023年06月11日(日) 18時01分
shirahama

▲鬼嫁誕生の瞬間を振り返ります(撮影:桂伸也)


障害ジョッキーの白浜雄造騎手の奥様が、昨夏の落馬から復帰を目指して奮闘する夫と家族のリアルな姿を描く新連載。

滋賀の自宅に戻り夫の命の危機は完全に脱したという連絡を受けた後も、不安に襲われることがあったという由紀子さん。そのたびにマネージャー兼バレットとして見てきた「福永ご一家の幸せいっぱいな姿」が思い浮かんだといいます。

そして福永祐一元騎手に話を聞いてもらううちに…ついに“鬼嫁”が誕生します──。

「取り乱すことなく生活を送れたのは、福永ご一家のおかげ」


 ご存じの通り、ジョッキーにケガは付き物です。なかでも障害騎手は落馬が多く、リスクが高いのは言うまでもありません。それでも私は夫との結婚を決断しました。

 なぜなら、長年福永ご一家を間近で見てきて、「どんなことが起きてもきっと大丈夫。裕美子さんのようにブレない気持ちをしっかりと持っていれば、何があっても幸せでいられる」と思えたから。

 もし私が祐一さんのマネージャーをやっていなかったら、バレットをやっていなかったら……。当然、福永ご一家とここまで関わる機会はなかったわけで、そういう気持ちになるまでに長い時間が必要だったでしょうし、下手をすれば数年かかったかもしれません。

 でも、私は初めから知っていました。だから比較的冷静に、いろいろなことに対応できたのではないかと思っています。

 それでも、ふとしたときに「もし夫に大きな障害が残ったら、子供たちは結婚できるのだろうか。お相手のご家族に受け入れてもらえるのだろうか。夫の存在がハンデになるのではないか…」などと、急に不安に襲われることもありました。でも、そのたびに浮かぶのが、幸せいっぱいの福永ご一家の姿。

「いや、待って! それは父親も息子も超スター騎手だからじゃないの?? あ! 北村さん(元障害騎手で祐一さんの叔父さま。落馬で怪我をして引退されました)の息子さんもご結婚されてたわ!」などと、頭のなかで堂々巡りを繰り返しつつも、そのたびに福永家のみなさんの明るい笑顔を思い出し、不安がスーッと消えていくのでした。

 私が取り乱すことなく安定した生活を送れたのは、間違いなく福永ご一家のおかげです。私は福永ご一家に救われたのです。

 祐一さんにお電話をしたときは、調教師試験に向けての勉強が佳境に入る大切な時期でした。それにも関わらず、長時間、親身になって話を聞いてくださった祐一さん。

 そして、「力になれることがあれば、何でも言ってくれて構わないからね」と、心強い言葉をくださいました。

 私がバレットを始めた20代の頃、祐一さんからは「騎手は危ない仕事だから、乗り役と付き合うのはやめておいたほうがいいよ」と言われていたので、夫とお付き合いを始めたとき、競馬関係者のなかでは真っ先に祐一さんに報告しました。

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1981年9月9日生まれ。2015年に障害騎手の白浜雄造と結婚。1男1女をもうける。結婚前は四位洋文調教師や福永祐一調教師(両名、当時騎手)らが所属していたマネージメント会社にてマネージャーを務め、TV番組収録やイベント等、様々な現場で騎手をサポート。福永調教師の引退までの16年間はバレット業務も兼任。福永厩舎開業後は経理兼秘書業務を担当予定。現在はオンラインサロン「福永祐一 競走馬研究所」の運営スタッフを務める傍らフリーランスとして活動中。新たな目標のアイシングクッキー講師としても活動すべく準備中。(旧姓は坪田、また戸籍上の表記は幸子)

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