▲福永祐一調教師が今年の宝塚記念を解説(撮影:桂伸也)
馬から降りて、“調教師”の立場からGI戦線をご覧になっている福永祐一調教師。オークス、ダービー時には、3歳馬の勢力図を解説し、大きな反響をいただきました。今回は、週末に迫る宝塚記念を分析いただきます。
前編では、「向き不向きがはっきりとわかれる」というレース傾向に加え、主役のイクイノックスに“隙”はあるのか、5キロの斤量差がある3歳馬に勝機はあるのかなど、気になるポイントを検討していきます。
(取材・構成=不破由妃子)
宝塚記念はローテーションよりコンディション
現役時代、宝塚記念は2009年のサクラメガワンダーの2着が最高だったが、1997年を皮切りに計20回参戦して思うのは、「雨の多い時期」「非根幹距離の2200m」という条件に、向いている馬とそうではない馬がはっきりとわかれる傾向があること。
あくまで個人の印象だが、宝塚記念に向いていると思うのは、「ダービーでは持ち味を発揮できないような馬」。それだけダービーとは求められる要素が違い、実際、過去に何頭ものダービー馬が出走しているが(2000年以降では、12頭のダービー馬が出走)、近年で宝塚記念を勝ったのは、2006年のディープインパクトと2012年のオルフェーヴルだけ。2着や3着はあるものの、この突き抜けた2頭以外は勝ってない。
▲2006年の覇者ディープインパクト(阪神競馬場改修工事のため京都開催)(C)netkeiba.com
▲2012年の覇者オルフェーヴル(C)netkeiba.com
今年はダービー馬の参戦はないが、適性を考えるうえで、この傾向はヒントになると思う。
余談になるが…、返す返すもサクラメガワンダーの宝塚記念は悔しかった。「あれは乗り方ひとつで勝てていたレースだったなぁ」と今でも思うし、あのときの悔しさはハッキリと覚えている。
▲福永騎手(当時)が騎乗したサクラメガワンダーが一旦は先頭に立つも、外からドリームジャーニーが強襲(C)netkeiba.com
ローテーションを気にする人もいるはずだが、宝塚記念に限らず、ひと叩きが必須だった昔の概念は消え去った。もちろん馬にもよるが、いまや休み明けはまったく不利ではないし、厩舎側も気にしないところが多い。
自分が宝塚記念で重要だと思うのは、ローテーションよりコンディション。今の時期、一番の課題は