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【ラジオNIKKEI賞 AI予想】波乱必至のハンデ戦! AIの注目馬をさまざまな角度から分析

  • 2023年06月26日(月) 18時00分

先週は宝塚記念で単勝オッズ1.3倍(1番人気)のイクイノックスが優勝(c)netkeiba.com


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

3着以内馬のうち半数近くを7番人気以下の馬が占めている


AIマスターM(以下、M) 先週は宝塚記念が行われ、単勝オッズ1.3倍(1番人気)のイクイノックスが優勝を果たしました。

伊吹 お見事と言うほかありません。スタート自体は決して悪くなかったものの、先行争いに参加することなく道中は馬群の後方を追走。リアルタイムで観戦していた時の私は◎を打ったスルーセブンシーズ(2着)の動向ばかり見ていて、すぐ前を走っているのがイクイノックスであることに途中で気付き驚いたのですけど、陣営や鞍上のC.ルメール騎手にとっては、おそらくこのような展開も想定の範囲内だったのでしょう。その後は3コーナーで大外に持ち出し、先に仕掛けたジェラルディーナ(4着)、やや前のポジションにいたジャスティンパレス(3着)を追う形で中団に進出。先行勢が横に広がっていたこともあり、4コーナーでは大きく外に振られてしまったものの、残り200m地点を過ぎたあたりで難なくジェラルディーナらを捕らえ、そのままスルーセブンシーズやジャスティンパレスの追撃を凌ぎ切っています。これまでの戦績を見る限りだと阪神芝内回りがベストとは思えない馬で、今回もレース運び自体はその見立て通り。それでもなお最高の結果を出してみせたわけですから、やはりとんでもない馬です。

M イクイノックスはこれでGI4連勝。得意条件ではないうえ、GIウイナーが8頭、GIで連対経験のある馬が12頭も揃った一戦を制したわけですから、もう国内の古馬とは完全に勝負付けが済んだと見て良いのかもしれませんね。

伊吹 国内に限った話ではないでしょう。ご存じの通り、イクイノックスは初めての海外遠征となった今春のドバイシーマクラシックを完勝し、2023年の1月1日から4月9日までを対象としたロンジンワールドベストレースホースランキングで1位となりました。対戦する条件などにもよるとはいえ、現在のイクイノックスと対等に渡り合える古馬は、世界中を探しても数えるほどしかいないと思います。

M この秋はジャパンCを大目標とするようです。

伊吹 今回よりも明らかに向いていそうな舞台でどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、今から楽しみで仕方ありません。「イクイノックスを倒して世界最強の称号を手に入れよう」と、現3歳世代の有力馬や世界各国の実績馬が参戦してきてくれればより楽しみ。そのためにも、まずはイクイノックスが何事もなく夏を過ごしてくれることを祈りましょう。

M 今週の日曜福島メインレースは、この時期の風物詩とも言える名物レース、ラジオNIKKEI賞。昨年は単勝オッズ7.2倍(3番人気)のフェーングロッテンが優勝を果たしました。3歳限定のハンデキャップ競走という特殊な条件だけに、波乱の決着を期待している方も多いと思うのですが、伊吹さんはどう見ていますか?

伊吹 過去10年の単勝人気順別成績を見ると、3着以内馬30頭中14頭は単勝7番人気以下。パブリックイメージ通りの、荒れやすいレースと見て良さそうですね。


M 逆に、上位人気グループの馬は総じて好走率が低め。注目度の高い馬は基本的に過信禁物と見るべきなのでしょう。

伊吹 一応補足しておくと、単勝10番人気以下の馬は2013年以降[0-2-1-53](3着内率5.4%)、単勝オッズ25.0倍超の馬は2013年以降[0-1-2-47](3着内率6.0%)。超人気薄の伏兵が馬券に絡んだ例はそれほど多くありません。人気の盲点となっている実力馬を的確にピックアップするようなイメージで予想に臨むべきだと思います。

M そんなラジオNIKKEI賞でAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、アイスグリーンです。

伊吹 面白いところを挙げてきましたね。ある程度の支持は集まりそうですが、人気の中心ということはないはず。

M アイスグリーンは前走の白百合Sで勝ったバルサムノートとクビ差の2着に健闘。デビュー3戦目の新潟2歳S(5着)で単勝1番人気の支持を集めた馬ですし、今回も狙っている方は少なくないと思うのですが、まだ重賞で馬券に絡んだことはないわけですから、懐疑的に見ている方も多いのではないでしょうか。

伊吹 見方によって評価がガラッと変わる一頭かもしれませんね。Aiエスケープが有力視していることを踏まえたうえで、私はレースの傾向からこの馬の期待度を判定していきたいと思います。

M 最大のポイントはどのあたりですか?

伊吹 まずは臨戦過程をチェックしておきたいところ。前走のレースが青葉賞・皐月賞・プリンシパルSだった馬は2013年以降[4-2-3-18](3着内率33.3%)と比較的堅実でした。一方、前走のレースが青葉賞・皐月賞・プリンシパルSだった馬を除くと、前走との間隔が中8週以上の馬はあまり上位に食い込めていません。


M はっきりと明暗が分かれていますね。

伊吹 日本ダービーのトライアル競走から直行してきた馬でない限り、休養明けで臨む馬は評価を下げるべきでしょう。

M アイスグリーンは前走の白百合Sから中4週での参戦。臨戦過程は問題ないと判断して良さそうです。

伊吹 いや、残念ながら、不安要素がないわけではありません。過去4年の3着以内馬12頭中10頭は、前走の距離が1800m超。近年は1800m以下のレースを経由してきた馬が期待を裏切りがちでした。


M なるほど。前走で今回より長い距離のレースを使っていた馬が優勢、と。

伊吹 なお、前走の距離が1800m以下だったにもかかわらず3着以内となった2頭は、いずれも前走の着順が1着、かつ前走の出走頭数が11頭以上だった馬。前走が今回より短い距離か今回と同じ距離のレースで、なおかつその前走を勝ち切れなかった馬や、その前走が極端な少頭数だった馬は、疑ってかかるべきだと思います。

M 今年の白百合Sは8頭立て。勝ち切れなかった点だけでなく、少頭数だった点も気掛かりです。

伊吹 ただ、3走前に14頭立てのあすなろ賞を制している点は相応に高く評価して良さそう。同じく過去4年の3着以内馬12頭は、いずれも“JRAの、中山以外の、1600m超2200m未満の、出走頭数が10頭以上のレース”において1着となった経験がある馬でした。


M あすなろ賞は小倉芝2000mのレースですから、距離適性に関してはまったく問題ないと見て良いのではないでしょうか。

伊吹 中山のレースを勝ち上がってきた馬はあまり信頼できないのですが、中山を除く1800mや2000mのレースにそれなりの実績がある馬は、たとえ人気薄であっても侮れません。

M 不安要素も強調材料もあるという状況で、なかなか悩ましいところですね。

伊吹 まぁ、他ならぬAiエスケープが有力と見ているわけですし、少なくとも無理に嫌う必要はないはず。もともと私も、何らかのシルシは回すべきだろうと考えていました。最終的なメンバー構成やオッズも踏まえたうえで、買い目上の位置付けをじっくり検討したいと思います。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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