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【ラジオNIKKEI賞】予想外の流れにも積極策で対応したエルトンバローズが勝利

  • 2023年07月03日(月) 18時00分

思い描いた通りの会心の騎乗


重賞レース回顧

エルトンバローズが抜け出して勝利(撮影:下野雄規)


 良馬場に回復した開幕第1週の芝で、前後半バランス「47秒7-(12秒0)-47秒2」=1分46秒9。飛ばしていくはずのグラニット(父ダノンバラード)がハナを切ったわりには少しも速くならず、前半1000m通過は59秒7。スローとはいえないが、予想外に落ち着いた流れになった。

 積極的に先行したエルトンバローズ(父ディープブリランテ)が未勝利戦から3連勝で重賞初制覇を達成し、同じように果敢に先行したシルトホルン(父スクリーンヒーロー)がしぶとく粘り込んで2着。圧倒的な支持を受けた1番人気のレーベンスティール(父リアルスティール)は3着にとどまった。

 西村淳也騎手(23)は、これでエルトンバローズと【3-0-0-0】。レース前に思い描いた通りの先行抜け出し作戦。会心の騎乗だった。日本ダービー馬アドマイヤベガ、アドマイヤドン、ニュースヴァリューなどが代表する一族。父ディープブリランテ、母の父ブライアンズタイムの組み合わせは、2017年のこの重賞を勝ったセダブリランテスと同じでもある。マイルから2000m級で力強さを生かすタイプに成長してくれるだろう。陣営は「究極の目標は秋のマイルCSになる」と強気だ。

 2着シルトホルンも好スタートから2番手で流れに乗る積極策。目下のデキの良さと、54キロのハンデをフルに生かし切った好騎乗だった。確実に成長している。

 残念な3着に終わったレーベンスティールは、騎乗した戸崎騎手が「もう少し前のポジションを取るべきでした」と振り返ったように、上がり最速の34秒4で猛然と突っ込んだが、結果的に脚を余した形だった。前向きに行きたがる気性を考えて少し控える策。さらにワンタイミング仕掛けを遅らせる戸崎騎手独特の騎乗だったが、開幕週の良馬場でこのペース、予測とは逆に、ペースが上がらない流れに対応できなかった。

 2番人気で6着だったのはグラニット。2歳秋のサウジアラビアRC1600m(東京)で、前半1000m通過57秒8で飛ばしドルチェモア(朝日杯FS勝ち馬)に食い下がった快速が印象的だが、その後のレース内容はもう一歩。中間はそろそろ脚質に幅を持たせたいと模索した期間でもあり、今回は小回りの福島1800mなので先手を主張したが、好調時のスピード発揮とはならなかった。

 4着バルサムノート(父モーリス)は巧みに流れに乗れたが、ペースアップした3コーナー過ぎの反応もう一歩。ゴール寸前は寄られる不利がありながら、最後までしっかり伸びている。小回りコース向きとはいえなかったが、これから成長する手応えはあった。

 全体に落ち着いたペースになったため、上位6着までに入線した馬は、みんな期待を受けた6番人気以内の馬ばかりだった。秋のビッグレースでいきなりと思わせる大器はいなかった印象は残ったが、今回は物足りなかったレーベンスティールは、2勝クラスは確勝だろう。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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