過去の取引馬にはマンノウォーやフライトラインの名も
8月7日と8日の2日間にわたって、ニューヨーク州のサラトガで行われる「ファシグティプトン・サラトガ・イヤリングセール」の上場馬が発表になった。
創設されたのが1917年で、すなわち、1世紀以上の歴史を誇る伝統のマーケットが、サラトガ・イヤリングセールである。
2年目の開催となった1918年に、20世紀の米国競馬を代表する不朽の名馬マンノウォーが購買されたのを皮切りに、サラトガセールは数多の活躍馬を送り出してきた。昨年は、2019年の当セールにて100万ドルで購買されていたフライトライン(父タピット)が、全米年度代表馬のタイトルを獲得。老舗市場が持つ底力を改めて見せつけている。
出身馬による活躍は今年も続いており、例えば、3歳3冠2戦目のG1プリークネスS(d9.5F)を制したナショナルトレジャー(牡3、父クオリティロード)が、21年の当セールで購買された馬だった。G1アッシュランドS(d8.5F)勝ち馬ウェルチョーズンや、G1ソードダンサーS(芝12F)勝ち馬テリングらの近親にあたる同馬。購買価格は50万ドルだった。
3冠路線を戦った今年の3歳世代では、フェアグラウンズ競馬場のG2ルイジアナダービー(d9.5F)を制してG1ケンタッキーダービーに臨んだキングズバーンズ(牡3、父アンクルモー)が、21年の当セールにて25万ドルで購買されていた馬だし、ガルフストリームパーク競馬場のG3ホーリーブルS(d8.5F)勝ち馬で、こちらもケンタッキーダービーに駒を進めたロケットキャン(牡3、父イントゥミスチーフ)も、同じく21年の当セールにて24万5千ドルで主取りになっていた馬だった。そして、昨年秋のG1シャンパンS(d8F)勝ち馬で、G1プリークネスSでナショナルトレジャーの2着となったブレイジングセブンズ(牡3、父グッドマジック)も、21年の当セールにて22万5千ドルで購買されていた馬だ。すなわち、今年のG1プリークネスSは、サラトガ・イヤリングセール出身馬による1、2フィニッシュだったのである。
3歳牝馬戦線に目を転じれば、チャーチルダウンズ競馬場のG2エイトベルズS(d7F)、ガルフストリームパーク競馬場のG3フォワードギャルS(d7F)という2重賞を制しているレッドカーペットレディ(牝3、父オスカーパフォーマンス)が、21年の当セールにて18万ドルで購買された馬だ。
3歳世代では、芝路線でG2ピルグリムS(芝8.5F)、G2ペンマイル(芝8F)、G3キトゥンズジョイS(芝8.5F)と3重賞を制しているメジャーデュード(牡3、父ボルトドーロ)も、21年の当セールにて55万ドルで購買されていた馬だ。
まだいる。5月6日にアイルランドのネース競馬場で行われたG3ブルーウインドS(芝10F)を制したキャロラインストリート(牝3、父ノーネイネヴァー)も、21年の当セールにて20万ドルで購買され、ヨーロッパでデビューしていた馬だった。
21年のサラトガ・イヤリングセールは、上場頭数が180頭だった。そこに、これだけ多彩な未来の重賞勝ち馬たちが潜んでいたのだ。品揃えの良さという点で、サラトガ・イヤリングセールは米国でも随一と言って良さそうである。
今年のカタログ記載馬は230頭で、このうち20頭が、兄姉にG1勝ち馬がいるか、母がG1勝ち馬という血統背景を持っている。
全米2歳牝馬チャンピオン・カレドニアロードの全弟となる上場番号23番の牡馬(父クオリティロード)、G1ホイットニーSなど4つのG1を制したインプロバブルの半妹にあたる上場番号138番の牝馬(父イントゥミスチーフ)、G1BCディスタフを2度制したのを含めて11ものG1を制したビホールダーの5番仔となる上場番号165番の牡馬(父カーリン)、G1CCAオークスなど4つのG1を制したプリンセスオブシルマーの半弟にあたる上場番号178番の牡馬(父ジャスティファイ)などが、目玉商品と言われている。
今年のサラトガセールも、目の離せないマーケットとなりそうだ。