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【中京記念】4歳馬の大活躍が続く夏競馬 騎手の先手主張で逃げ切り勝ち

  • 2023年07月24日(月) 18時00分

位置取りで能力全開が望めるタイプであることを示す


重賞レース回顧

中京記念を勝利したセルバーグ(c)netkeiba.com


 ちょっとカベに当たっているのかと思えた4歳牡馬セルバーグ(父エピファネイア)の鮮やかな逃げ圧勝。これで芝1600m【4-0-3–4】。1分32秒台の記録を2回も持つ馬だけに、勝たれてみれば納得だが、テン乗りだった直前の米子S(2番人気)を中位追走失速で12着に凡走した松山弘平騎手の、果敢な先手主張が大正解だった。

 これでセルバーグは全5勝のうち新馬戦を除く4勝までが、先手を奪ったときか、すんなり2番手を進んだ際となり、今回は「前半45秒9-(1000m通過57秒4)-後半47秒1)=1分33秒0。少々ペースはきつくても、自分のリズムで先行すれば能力全開が望めるタイプであることを示した。

 この重賞が中京の7月になって以降、4歳馬の勝利(連対)は初めてだった。今年の夏のローカル重賞は「函館スプリントS」の4歳牝馬キミワクイーンを出発に、「CBC賞」がジャスパークローネ、「七夕賞」がセイウンハーデス、「プロキオンS」がドンフランキー、先週の「函館記念」は4歳ローシャムパークが圧勝して、3着も4歳ブローザホーン。そしてこの「中京記念」も4歳セルバーグが勝って、3着も4歳牝馬ルージュスティリア(父ディープインパクト)など、4歳馬の大活躍が続いている。

 夏らしくベテランホースの必死の健闘もあるが、秋に向けて若い4歳馬の大攻勢は例年とはだいぶ違って、好ましい流れなのだろう。

 2着のディヴィーナ(父モーリス)は5歳とはいえ、ここへきての上がり馬であり、直線はきっちり伸びて1分33秒3。人気に応えた。ちょっと前半置かれすぎた印象があり、2勝クラスの9Rの勝ち馬がほとんど同じ1600m1分33秒4だったので、ちょっと物足りない印象もあったが、これは5馬身差で独走した9Rの勝ち馬ショウナンアレクサ(父キズナ)が素晴らしかったから。確実に良くなっている。次走は関屋記念の予定があり、いつ重賞に手が届いても不思議ない存在になった。

 1番人気に支持されたルージュスティリアも、このペースだからだろうが、前半最後方にも近い位置での追走。そのうえ、4コーナー手前でつまずいたシーンもあり、上がり最速の34秒7で突っ込んだが、今回は能力全開の結果ではなかったろう。ディヴィーナとともにマイル重賞ならたちまちチャンスが訪れる。

 4着ウイングレイテスト(父スクリーンヒーロー)は、好位で流れに乗り、直線も伸びているが、今回は若いグループの勢いに少しだけ見劣ってしまった。494キロの馬体は夏場だけに細いなどということはまったくないはずだが、5歳以降になっての好走例はすべて500キロ以上の際であり、些細な数字ではあるが、前回減っていた馬体がもどっていなかったのが最後の詰めを欠いた原因か。

「なんとかきっかけをつかみたい」としていた4番人気の4歳ダノンスコーピオン(父ロードカナロア)は、初の59キロもあったが、スタートでぶつけられる不利。前半からリズムに乗れなかった。3コーナー過ぎから外を回って一気に脚を使い、これなら…と思わせるシーンもあったが、残り1ハロンあたりで脚さばきが鈍り、1秒2差の完敗。身体が締まって決して気配は悪くなかった。追い上げた動きにさすが、と思わせるところもあった。復活はあるはずだが、いきなり不利を受けるあたりツキにも見放されている。

 伏兵評価のメイショウシンタケ(父ワールドエース)も今回は不運。もともと難しいところのある馬だけに、藤岡康太騎手の落馬負傷で急な乗り替わりは運がなかった。直線はインから差を詰めているが、残念ながら形作りの印象になってしまった。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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