まあ、タイトル通りのお話で。競馬を予想する人間のほとんどにとって、「穴馬探し」ほど痛快な作業はないかと思います。パッとしない戦績をなめ回すように分析し、好走する可能性を探っていく地道な作業に見合うだけの快感を、確かに穴馬券には持っている。「大多数の普通の人の裏をかいてやった」という自尊心をくすぐり万能感を刺激する心理的高揚は、競馬における最高の瞬間であるとさえ言えるかもしれません。野球でいうと、逆転サヨナラ・ホームランのようなもんでしょうか。
ただまあ、確かに穴馬狙いで面白いんですが、「それで果たしてほんとに儲かるのか」というのは別の問題。穴党の中には「本命から買う奴は素人」なんて声もありますが、控除率という厚い壁は何番人気だろうと平等に適用されるわけで、その馬にバリュー(期待値的に利が残っている状態)があるかは何番人気であっても関係ないはず。確かに一番人気馬の単勝は被りすぎて手を出せない水準なことが多いですが(その2倍台前半の馬、2回に1回勝てる馬ですか?)、かといって人気馬が馬券圏内の大半を占めることも事実だけに、これを蹴り飛ばすとなると安定感は捨てざるを得ない。しかも三連系馬券に関してはマルチ・総流し人口の増加に伴い穴馬が1頭飛び込んできただけではまったく見合わないオッズしかつかないことが多いので、一般的な穴党というのは打率2割でホームラン20本のブン回しバッターのようなもの。それで打点100クラスのリターンを狙うのはかなり厳しいのでは、と思わざるを得ません。中には打数を絞るなどで打率を上げることができる強者がいるのかもしれませんが、その場合ネット上や紙媒体に存在しているほとんどの穴予想家がとっている「毎週メインだけを予想する」という形態は間違っていることになります。いや、全く新しい予想概念を用いることで、素の実力で3割30本いける天才の存在自体は否定しませんけど、それってほんとにあなたのことですか?
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